時間が経ってしまったので簡単に(現在1/22)。
ペルーのレイメバンバ博物館のミイラも出品されているというので、観に行った。
会場は、「1.南北アメリカのミイラ」「2.古代エジプトのミイラ」「3.ヨーロッパのミイラ」「4.オセアニアと東アジアのミイラ」という4ブロックに分かれていた。
ペルーのミイラはもちろん最初のブロックにあったわけだが、「南北」って……南アメリカのミイラしかいなかった気がするんだけど……(しかもほぼペルー一色)。
チャンカイなど南海岸部のミイラは、そもそもは遺体を放っておくとミイラになっちゃうだけで、エジプトのようにミイラを作ろうとして作られたわけじゃない。
まあ、ミイラ化することがわかったうえで埋葬しているのだろうけど。
ミイラの肛門に蓋をしてあったのが面白かった。
一方、チャチャポヤ=インカ文化のミイラは、海岸でなくアマゾン側、レイメバンバのコンドル湖のそばにそそり立つ崖の中腹から出土している。
湿度が高そうで、実際に霧が立つような環境らしい。
ただ、崖の中腹の高度はちょうど風通しがよくて、腐敗せずにミイラにできたらしい(土地の人たちがそれを知っててやっていたのだろう、と)。
実は、このへんの話を昨年のシンポジウムで仕入れてあったので、それも踏まえて鑑賞できたのはよかった。
レイメバンバもコンドル湖も素敵なところなので行ってみたいが、クルマで8時間かかるとか(湖はさらに馬で行く必要があったかも)。
古代エジプトのブロックはさすがに見ごたえがあった。
ミイラの作り方のビデオも面白かったし。
ただ、これまでに見た展示の繰り返しっぽいのは否めない。
ヨーロッパのミイラは、まあ、「偶然ミイラになっちゃった」やつばかりだった。
ミイラ文化はあまりないらしい。
オセアニアは、かつてのペルーと同じように、死者と生者の距離が近いようだった。
ある土地では死んだ人はミイラ化され、決まった場所に安置されて、何年かそこから生きている人々を見守る。
遺体が崩壊しちゃったらお役目終了で埋葬しなおすのだろうか(このへんがちょっとわからなかった)。
他にも死者の頭蓋骨を用いてオブジェのように飾るとか、いろいろ。
さて、わが日本にもミイラはいるが、日本は多湿でミイラづくりに全く向かない環境である。
ペルーのように「転がしておくとミイラになる」などとはあり得ない。
したがってミイラの点数もごくわずか。
そのなかで、江戸時代の本草学者のミイラというのがあって、これが傑作だった。
ミイラとしての完成度(?)も高いし、何よりこの本草学者は「自分の考案した方法でミイラを作れるはず」といって自分自身で実験したのだそうだ。
それを証明するために、子孫に自らの墓を暴いてよろしいとお墨付きを与えている。
ミイラは全体に赤い色で、これは柿の種(ホンモノの柿の種、タンニンが含まれる)を死ぬ直前に大量に摂取したのだろうということだった。
まあ、立派なミイラになっちゃって、ミイラのくせにどや顔してるようにしか見えませんことよ(笑)。
本来はその次(最後)に展示されていた「即身仏」の方が目玉だったんだろうけど、われわれは本草学者のミイラにすっかりまいってしまったのだった(笑)。
▼本展示のサイトはこちら。展示は2月24日(月・祝)まで。
https://www.tbs.co.jp/miira2019/
★追記: お土産販売コーナーのグッズはなんだかとても充実していた(笑)。
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