【読書】『怪物はささやく』
ものすご~く時間が経ってしまったので、簡単に(現在9/13)。
ネタバレが嫌なヒトはここでストップ(本も映画もね)。
映画を見に行ったあと、気になって読んでみた。
読んでびっくり。
映画版と2点で大きく異なっていた。
あ~、ちなみに「映画版」と書くのは、本書を書いたパトリック・ネス自身が映画の脚本も手掛けたらしいからである(映画のスタッフロールでそう見えた)。
だから本書も「原作」というよりは「小説版」というほうが正しいだろう。
そもそも「原案」はパトリック・ネスじゃないんである(笑)。
夭折した作家シヴォーン・ダウドのアイディアを、編集者に託されてパトリック・ネスが作品化したものなのだった。
だからまぁ、「原作」という用語は、この作品においてはとても使いにくいわけだ。
映画版と大きく異なる点の、まず一つ目。
小説版では、幼馴染の女の子が出てくる!
リリー、だったかな?
映画版ではまるっと削除されていたが。
この子の存在は結構大きい。
イチイの怪物とも、役割(主人公を救うという役割)を共有しているような感じだ。
映画という時間の限られた世界では、情報が多すぎるゆえかえって散漫になるから切られたんだろう。
それは正しいと思う。
ただ、主人公と社会とのつながりのありようが、この子の存在の有無で、結構変わって見えるかも(別に善悪や優劣じゃなく)。
二つ目。
映画版で最後にあった、母が残したスケッチブックのくだり。
小説版にはありません(笑)。
実はこのくだりが気になって、「本にはもうちょっと書いてあるのかも?」と思って読んでいたんだけど、「もうちょっと書いてる」どころか、小説版は「母親が死んだ」ところで終わっている。
きれいにスッパリ。
とゆーわけで、イチイの怪物は「母親の友人として息子を救いにきたのだ」という切り口になっていない(映画はそうなってたと思う)。
このへんは、構成的に、幼馴染の役割分担とも関係あるかもしれない。
映画を先に見たせいで、読んでる間じゅう、イチイの怪物の声はトミー・リー・ジョーンズだった(笑)。
好きだからいいけど。
でも先に小説版を読んでいたら、どういうイメージだったのかな。ちょっと気になる。
とりあえず、読んでみて、シヴォーン・ダウドという作家のほかの作品に興味が湧いた(パトリック・ネスにも)。
書籍は、モノクロのイラストというか背景が散りばめられており、読者がその世界に入っていけるように工夫されていて面白い。
ただまぁ……映画版を見てしまったあとだったからかもしれないけど……とても興味深い話ではあるのだけれど……首の骨が折れそうな衝撃、というのは感じなかったかな。
すごくツルツルと読めます。
読破に2~3時間しかかからなかったと思う。
※電車乗り過ごしキケン度:★★★☆☆
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