書籍・雑誌

2017年8月18日 (金)

【読書】『怪物はささやく』


ものすご~く時間が経ってしまったので、簡単に(現在9/13)。
ネタバレが嫌なヒトはここでストップ(本も映画もね)。


映画を見に行ったあと、気になって読んでみた。
読んでびっくり。
映画版と2点で大きく異なっていた。
あ~、ちなみに「映画版」と書くのは、本書を書いたパトリック・ネス自身が映画の脚本も手掛けたらしいからである(映画のスタッフロールでそう見えた)。
だから本書も「原作」というよりは「小説版」というほうが正しいだろう。
そもそも「原案」はパトリック・ネスじゃないんである(笑)。
夭折した作家シヴォーン・ダウドのアイディアを、編集者に託されてパトリック・ネスが作品化したものなのだった。
だからまぁ、「原作」という用語は、この作品においてはとても使いにくいわけだ。

映画版と大きく異なる点の、まず一つ目。
小説版では、幼馴染の女の子が出てくる!
リリー、だったかな?
映画版ではまるっと削除されていたが。
この子の存在は結構大きい。
イチイの怪物とも、役割(主人公を救うという役割)を共有しているような感じだ。
映画という時間の限られた世界では、情報が多すぎるゆえかえって散漫になるから切られたんだろう。
それは正しいと思う。
ただ、主人公と社会とのつながりのありようが、この子の存在の有無で、結構変わって見えるかも(別に善悪や優劣じゃなく)。

二つ目。
映画版で最後にあった、母が残したスケッチブックのくだり。
小説版にはありません(笑)。
実はこのくだりが気になって、「本にはもうちょっと書いてあるのかも?」と思って読んでいたんだけど、「もうちょっと書いてる」どころか、小説版は「母親が死んだ」ところで終わっている。
きれいにスッパリ。
とゆーわけで、イチイの怪物は「母親の友人として息子を救いにきたのだ」という切り口になっていない(映画はそうなってたと思う)。
このへんは、構成的に、幼馴染の役割分担とも関係あるかもしれない。

映画を先に見たせいで、読んでる間じゅう、イチイの怪物の声はトミー・リー・ジョーンズだった(笑)。
好きだからいいけど。
でも先に小説版を読んでいたら、どういうイメージだったのかな。ちょっと気になる。

とりあえず、読んでみて、シヴォーン・ダウドという作家のほかの作品に興味が湧いた(パトリック・ネスにも)。
書籍は、モノクロのイラストというか背景が散りばめられており、読者がその世界に入っていけるように工夫されていて面白い。

ただまぁ……映画版を見てしまったあとだったからかもしれないけど……とても興味深い話ではあるのだけれど……首の骨が折れそうな衝撃、というのは感じなかったかな。

すごくツルツルと読めます。
読破に2~3時間しかかからなかったと思う。


※電車乗り過ごしキケン度:★★★☆☆


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2017年8月17日 (木)

【読書】『鹿の王』


ものすご~く時間が経ってしまったので、簡単に(現在9/11)。

やっと後半3,4巻が出て買ったものの、読みだすと止まらないことがわかっていたので、これまでお預け状態だった。
やっと読んだ。
そしてやっぱり止まらなかった(笑)。
帰りの電車で読みつつ帰宅し、そのままずっと読みふけって3時。
まだ明日も会社があるのに!!(われながら馬鹿だ~)

政治状況やら風土やら慣習やらをからめつつ描くところは相変わらずだが、今回は病との闘いをめぐる話で、これまでとちょっと違っていた。
おさまりのいい話だったせいか、一通り読み終わったところ、なんとなくそれで落ち着いてしまった。
チャグムやエリンのときは、何度も読み返したりしたものだが、どこが違うんだろう。
カタルシスの質、かな?
あるいは、主人公が「大人」だったから?
なんというか、今までのが「子どもの話」なら、こちらは「大人の話」のように感じた(優劣とかではなくて)。

もちろん、子どもが読んだってきっと面白いよ?
てゆーか、せっかくなんだから子どもも読むべき。
この作品の舞台は異世界だ。
医術を異世界なりに記述するため、現代社会に通用する医学用語をそのまま使うことはできない。
異世界なりの医の道を思い描き、そこで使われる用語をあらためてなぞったり説明したりしていかなければならなかったわけで、その点は苦労されただろうが、おかげで子どもが読んでもおそらく「難しい言葉(専門用語)がいっぱいでわからない」ということがないんじゃないか。

「鹿の王」を愚かと思うか、尊いと思うか、その見方すら一つには決まらないことを前置きしたうえで、作家は最後、主人公にあたかも「鹿の王」のような行動を選択させる。
愚かしさも尊さも関係なく、ただそれが彼にできることであり、やって当たり前だと自分で納得できることだったから。

ああ、うまくまとまらない。
でもなんだかもうちょっとで届きそう。
いま、感想を書いていて、読み返したくなった。
もう一度読もう。


※電車乗り過ごしキケン度:★★★★★






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2017年3月29日 (水)

【読書】『天国の囚人』


書名:天国の囚人
著者:カルロス・ルイス サフォン (Carlos Ruiz Zaf´on)/木村 裕美 (翻訳)
出版社:集英社(文庫)
発行日:2014/10/17
ISBN-13: 978-4087606911

あらすじ 1957年、バルセロナ。父の書店で働く青年ダニエルは、結婚間近の親友フェルミンの様子がおかしい事に気づく。彼宛に不可解なメッセージを残す謎の男の来店もあり、友人を問い詰めると、フェルミンは自らの過去を語り始めた…。18年前、監獄に収容された事。そこで出会った作家マルティンの事、彼と交わした約束の事―『風の影』『天使のゲーム』をつなぐ、「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾!

時間が経ってしまったので簡単に(現在4/10)。
若干のネタバレがあるかもなので、嫌なヒトはここでストップ。

「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾。
四部作と聞いていたが、どうもこれを含めて5作になるらしい。
本作は、第1作の主人公だったダニエルが例の彼女と結婚してからの話で、ダニエルを主人公に据えているものの、その友人フェルミンの昔話がメインである。
半分くらい、『モンテ・クリスト』へのオマージュかも(笑)。

やはり第1作に比べると面白さはだんぜん落ちるが、どうもこのあとの展開に必要そうな情報が散りばめられているので、次を読むなら外せない感じ。
そして重要なことはほとんど何も決着が着いておらず、謎がいっそう深まるばかり。
ヒキョーだよ(笑)。

それにしてもフェルミンの口の悪さとゆーか舌鋒の鋭さとゆーかその回りっぷりには脱帽するわ。
バルセロナに住む人たちって、みんながみんなああいうユーモアを持ってるのか?
本当にあのまま喋られたら、冗談だかなんだかこっちにはわからないですわ(汗)。

フェルミンの口の悪さを楽しめる人は読んで苦痛じゃないだろう。
続き(これから書かれる2作)を読みたい人も読むべきだろう。
それ以外の人たち、少なくとも前2作を読んでいない人たちには、正直なところさほどお勧めしない。
前2作(『風の影』『天使のゲーム』)は確かに独立して読める作品だったが、本作は、前の2作のいずれも読んでないヒトまでが楽しめるかというとかなり怪しい(解説には「独立している」ように書かれていたが承服しかねる)。
やはり『風の影』『天使のゲーム』のいずれか1作だけでも読んで、気になった人が読むべき本だろう。
だいたいミステリのくせに謎が解けてないし……(笑)。
「人間力」みたいなもので問題を解決していく展開は、私は好きだけどね。

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2014年3月27日 (木)

【読書】『アルケミスト』 #アルケミスト #パウロコエーリョ


書名: アルケミスト―夢を旅した少年
著者: Paulo Coelho (原著), 山川 紘矢 (翻訳), 山川 亜希子 (翻訳)
価格: ¥ 580
頁数: 199ページ
出版社: 角川書店 (角川文庫ソフィア)
ISBN-13: 978-4042750017
発売日: 1997/02

内容紹介 羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。

ベストセラー、ということで読んでみた。
が。
う~ん。
中世の啓蒙書みたいで(それよりははるかに易しいだろうけど)、自分的にはイマイチ。
なにしろ読んでて「ワクワク」しない。
つまらないわけじゃないんだけど………。
含蓄のある言葉もあるけれど、う~ん………。

むしろ読んでて「こんなに汎神論チックなことをカトリック教圏で書いて大丈夫なんか?(冷汗)」というところばかり気になったりして(つまり些事にばかり目が向いちゃう)。

同じ(?)人生の啓蒙書でも『君たちはどう生きるか』は面白かったけどなぁ。
宗教的立場から説くか、社会的立場(リベラルな)から説いているかの違いなのかなぁ。

というわけで、個人的にはあんまり評価できない。
ただ、「人はだれでも自分が本当にやりたいことを持っているのに、それをあきらめてしまっているから世界(他者)の支援を得られないのだ」といった内容の言葉には感ずるところがあった。
むしろ、はっきり云えば、ぐっさり刺された気分にはなった(笑)。

でもやっぱり「これを読むなら他の本を」と、私だったら薦める。
どう考えても先日読んだ『あなたはボノボ、それともチンパンジー? 』の方が面白いし、タメになると思う。

こんなこと偉そうに書くと殺されるかもしれんなぁ(ベストセラーってことはファンが多いってことだから)。
ま、ただの「個人的感想」ってことでゆるしていただきたい。


▼この本はこちら。2時間半くらい?

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

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2014年3月24日 (月)

【読書】『あなたはボノボ、それともチンパンジー? 』 #サル学 #類人猿 #あなたはボノボそれともチンパンジー?


書名: あなたはボノボ、それともチンパンジー?
著者: 古市剛史 (著)
価格: ¥ 1,365
頁数: 232ページ
出版社: 朝日新聞出版 (朝日選書)
ISBN-13: 978-4022599995
発売日: 2013/12/10

内容紹介 セックスが好きで平和的なボノボ、政治に長けて攻撃的なチンパンジー。対照的な二つの類人猿。彼らと共通のDNAをあなたは持っている。サル研究からわかるヒトの本性とは。そして、そこから見える人類融和への道。

妹から借りて読んだ本。
ものすごく面白かった。
おススメな一冊。
魅力的なので、ぜひいろんな人に読んでもらいたい

日本語はわかりやすいし、話は面白いし、でもちゃんと科学的な内容も(やさしく)書かれていて、読み終わるとちょっぴりお利口さんになれる。
読んだ人がみんなサル学に興味をもつだろうこと請け合いである。
というよりむしろ、「私はサルには興味がないの、ニンゲンを扱う学問やってるの」という意識のヒトは全員読むべきじゃないかと思う。
とりわけ、女性学やジェンダーの研究者がこれを読んでどう考えるかは、興味のあるところだ(意地悪で云っているわけではなく、肯定的な転換が起こるのではないかという興味がある)。

ボノボやチンパンジーの話は、とにかく「面白い」の一言(読んでください)。
ニンゲンについても、「核家族化」がどのような生存戦略によって行われてきたかという説をここで初めて知り、非常に興味深く思った(女性学のヒトに読んでほしいのはココ)。
そこまでが文句なく面白い分、最終章の人間と「口から摂らないエネルギー」についてのハナシは読んでいて暗い気分になってしまったが……。

「フィールドワークって『強い』な」と思うのは、まさにこういう「実感を伴った面白さを感じられる」作品を読んだときである。
もう何年振りかでこの手の「ヤラレタ」感を味わうことができた。
本当に何年振りだろう。
「フィールドワークは強い」なんて、若いころはしょっちゅう実感していて、しかも「希望」のイメージに彩られた概念だったのに……(寄る年波には……ゴホゴホ)。

ボノボのことはほとんど名前しか知らなかったが、とてもあこがれるようになった。
あこがれる、ということは、自分はどっちかというとチンパンジーなのかなー(涙目)。

ああ、ボノボになりたい。私はボノボでありたい。

▼この本はこちら。3時間で楽しく読めます。

あなたはボノボ、それともチンパンジー? (朝日選書)

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2014年3月21日 (金)

【読書】『獣の奏者 外伝 刹那』 #獣の奏者 #上橋菜穂子


書名: 獣の奏者 外伝 刹那
著者: 上橋 菜穂子 (著)
価格: ¥ 725
頁数: 416ページ
出版社: 講談社 (講談社文庫)
ISBN-13: 978-4062776608
発売日: 2013/10/16

内容紹介 王国の行く末を左右しかねぬ政治的運命を背負ったエリンは、女性として、母親として、いかに生きたのか。エリンの恩師エサルの、若き頃の「女」の顔。まだあどけないジェシの輝く一瞬。一日一日、その時を大切に生きる彼女らのいとおしい日々を描く物語集。エリンの母ソヨンの素顔を描いた単行本未収録短編「綿毛」収録。

『獣の奏者』の外伝中編集。

まぁ、そこそこ面白いですが。
本編の面白さには到底かなわない。

あと、ストーリー構成が今までよりくどくなっている。
特に『刹那』は構成がもったいぶりすぎというか、くどすぎて嫌だった。

『精霊の守り人』の外伝集である『流れ行く者』を読んだときにはこういう感想は抱かなかったから、短編や中編がダメというわけではなく、本書のみに限られたことと思う。
(とはいえ、長編こそに本領発揮するタイプの作家さんだとは思うが)

食べ物やらお祭りやらの小道具が魅力的な点は、これまで通り変わらない。
ヒトに対する優しい視点も。
次作に期待。


▼この本はこちら。3時間半くらい?

獣の奏者 外伝 刹那 (講談社文庫)

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2014年3月19日 (水)

【読書】『獣の奏者』3・4 #獣の奏者 #上橋菜穂子


書名: 獣の奏者 3探求編/4完結編
著者: 上橋 菜穂子 (著)
価格: ¥ 790/¥ 760
頁数: 560ページ/512ページ
出版社: 講談社 (講談社文庫)
ISBN-13: 978-4062773447/978-4062773454
発売日: 2012/8/10

3巻の内容 愛する者と結ばれ、母となったエリン。ある村で起きた闘蛇の大量死の原因究明を命じられ、行き当たったのは、かつて母を死に追いやった禁忌の真相だった。夫と息子との未来のため、多くの命を救うため、エリンは歴史に秘められた真実を求めて、過去の大災厄を生き延びた人々が今も住むという遙かな谷を目指すが…。

4巻の内容 闘蛇と王獣。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王の命に従って王獣を増やし、一大部隊を築き上げる。過去の封印をひとつひとつ壊し、やがて闘蛇が地を覆い王獣が天を舞う時、伝説の大災厄は再びもたらされるのか。傑作大河物語巨編、大いなる結末へ。


実は2012年10月27日に読了済みなのだが、もたもたしてて日記に載ってないことが判明。
「今となっては……」だが、とにかく「読んだ」という記録だけ残しておこう。

感想を端的に言えば、「1・2より難しくなったが、やっぱり面白い」、というところかな。

一番心に残ったのは、最後のジェシの感想だ。
戦争は始まってしまえば、どれほど傑出した人物が現れようとも個人で止められるようなものではない、といった部分。
これは、男ども全員に読ませたい
英雄的人物が数人いたところで、戦争の局面を変えるのは困難きわまりないのだ。
「止める」となればなおさらである。
「やらない」に越したことはない、というより、どんなに難しくても戦争を始めないという道をわれわれは選び続けるべきなのである。

エリンが少女の頃のストーリーと比べると、やはり重くて読破スピードは落ちる。
だからといって、電車を乗り過ごさないかというと、場面によってはかなり怪しい(笑)。

お薦めの作品。


▼この本はこちら。何時間かかったか忘れたが、どのみち時間を忘れて読みふけるであろう(なので時間数を書いても無意味ってことで)。

獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)


獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

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2013年10月24日 (木)

【読書】『ルシタニアの夜』 #ルシタニアの夜 #ミステリ


書名: ルシタニアの夜 [文庫]
著者: ロバート・ライス (著), 高澤 真弓 (翻訳)
出版社: 東京創元社 (創元推理文庫)
ISBN-13: 上巻 978-4488204068 / 下巻 978-4488204075
発売日: 2006/9/30

あらすじ モンタナ州の郵便局で、局長と客が射殺された。元刑事の郵政捜査官ルーミスは、同僚ドンブロウスキと捜査をはじめる。彼女は、その郵便局で90年近く前に投函され、配達されなかった手紙と事件との関連に気づくが、その手紙は何者かに盗まれ、殺人はさらに続く。犯人は?目的は?その手紙に書かれていたことは何か?歴史の闇に挑む郵政捜査官の活躍を、注目の新人が描く傑作。


久々に面白いミステリを読んだ気分。
といっても、自分は「面白いよ」と勧められたやつしか読まないからあまりハズレないんだけど。
あ、ミステリなので、まだ読んでいない方はここでストップしてください(すご~く簡単な感想しか書いてませんが念のため)。


確かに面白かった。
「なんだろう? どうなるんだろう?」と思わせる謎が謎としてずーーーっと機能するので、どんどん次を読みたくなるのだ。
大筋とは別にちょっとした人間関係方面でのスパイスも効かせてあって、緊張感の絶えないストーリーテリングが巧いんだな。

細かい部分では「なあんだ」と思わなくもないのだが、そんなのを吹き飛ばすくらい、物語中最大の謎の魅力が最後まで輝き続けるのがイイ。
(↑こんなことを訳知りに書いているが、読むのを止められなくて困ったちゃんの経験済みである……)

とにかくドキドキワクワクで、読んでいて楽しかった。
ま、ラヴゼイのダイヤモンドシリーズには及ばないけどね!(笑)
でもこういう良質なミステリが増えると嬉しい。
同じ著者の別な作品も読んでみたいかも。


読書時間: 上下巻で6~7時間くらい??
乗り過ごし危険度(笑): ★★★★☆

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2013年9月 2日 (月)

【読書】『〈完本〉初ものがたり』 #宮部みゆき


書名: <完本>初ものがたり
著者: 宮部 みゆき (著)
価格: ¥ 800
頁数: 477ページ
出版社: PHP研究所 (PHP文芸文庫)
ISBN-13: 978-4569760568
発売日: 2013/7/17

あらすじ 新作3篇をひっさげて、茂七親分が帰ってきた! 茂七とは、手下の糸吉、権三とともに江戸の下町で起こる難事件に立ち向かう岡っ引き。謎の稲荷寿司屋、超能力をもつ拝み屋の少年など、気になる登場人物も目白押し。鰹、白魚、柿、菜の花など、季節を彩る「初もの」を巧みに織り込んだ物語は、ときに妖しく、哀しく、優しく艶やかに人々の心に忍び寄る。ミヤベ・ワールド全開の人情捕物ばなし。

もう何年も前に読んで、ミヤベにハマるきっかけとなった一冊。
新作三篇が追加収録されているというので、速攻でゲットした。
イラストも楽しい。

茂七親分と、稲荷寿司を屋台で売る謎の親父を中心に、界隈で起きる事件を扱った「捕り物」だが、どっちかっていうと人情がメインの「人情もの」に入れるべきかもしれない。
それでもミステリの基本は押さえてあって、なかなかどうして、面白いんである。
何度読んでも面白いぜ。
どう面白いかは、実際に読んでください。
短編集だから、サクサク読めるはず。

一番の問題は、読み始めると止まらないことだな。
電車は乗り過ごすは、睡眠時間は削られるは、全然止められなかった……。
「必ず止める」という強い意志をもって読書に臨んでください(笑)。

で。結局、稲荷寿司屋の親父の謎は明かされないままなのであった。
続編書いてほしい……。
(ミヤベの後書には「他の作品とつながっているので、今後はそちらで楽しんでください」とあった。確かに岡っ引きどもは他の江戸モノにも出てくるけど、もう今や茂七の孫くらいの世代に代替わりしちゃってないかい? 現役茂七はどこで読めばいいんだ……)

そして、『あんじゅう』と合わせて二冊で三、四日しかもたなかったとゆー……。
そのくらい面白いってことで、しょうがないんだけど。
他の人にもぜひ読んでみてほしい、お薦めの一冊。

▼この本はこちら。

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2013年8月31日 (土)

【読書】『あんじゅう』 #宮部みゆき


書名: あんじゅう 三島屋変調百物語事続
著者: 宮部 みゆき (著)
価格: ¥ 860
頁数: 629ページ
出版社: 角川書店 (角川文庫)
ISBN-13: 978-4041008225
発売日: 2013/6/21

あらすじ ある日おちかは、空き屋敷にまつわる不思議な話を聞く。人を恋いながら、人のそばでは生きられない<くろすけ>とは……。 宮部みゆきの江戸怪奇譚連作集「三島屋変調百物語」第2弾、待望の文庫化。

面白かった。続きがまた読みたい。
ちょっとのネタバレも嫌な方はここでストップ。本屋へGo!!
(って、以下もたいした感想を書くわけじゃないが……読了から一か月経っちゃったし)

あとがきにもあるが、明るい話二編と暗い話二編が交互に収録されている。
ラストは暗い話で救いがなくって、最後のエピソードがなければ辛かっただろうな。
でもちゃんとおまけを付けて、何となく読者をほっとさせるところがミヤベの上手いところ。

オーソドックスなお膳立てというか、ある意味「使い古された」手管を使いながらも「なんだ、このタイプか」とは決して思わせず、ちゃんとコワ~い話に仕上げるのはさすが。
(人形とか針とか嗤う○○とかやめてぇ~)

各話とも最後の方になると読むのを止められなくなる。
(特に暗い話はコワいせいで止められません(笑))
電車で読む方は乗り過ごしにご用心。

自宅でも、ひとりきりで夜に読むのはお勧めしない。
(気になって寝られません(笑))

欲を言えば、一編一編がもうちょっと短いとよかったな。
でもとにかく面白かった。

▼この本はこちら。

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