映画・テレビ

2024年11月 1日 (金)

【映画】「八犬伝」

時間が経ってしまったので簡単に(現在11/29)。

なかなかに面白かった。
馬琴たちのリアルと八犬伝(物語)のフィクションとがうまく交差していて、構成がめちゃくちゃ巧みだった。
脚本の力なのか、監督の構成力なのか。
とにかく全体に構成が凄く巧い。
八犬伝の後半の物語をバッサリ切って捨ててる(笑)あたり、また「うまいなあ」と唸らされた。

馬琴や北斎はとても人情味があって魅力的だった。
鶴屋南北もヌルヌルしてて素晴らしかった(笑)。
ああいう作品を書く以上はああいう破戒的な人物であってほしいもんね。
現実がすべてままならないからこそフィクションでは勧善懲悪を書きたい馬琴と、フィクションでさらにままならないリアルを拡大して見せたい南北と、対比が面白かった。
北斎はただ絵を描きたいだけ(笑)。
そういえば北斎はだいたい真っ黒な足で現れるので、笑ってしまった。
江戸っ子なんだから風呂へ行け!!(笑)
あとは寺島しのぶが、実にガミガミなおかみさんを演じていて、まあ、上手かった(笑)。
何をやらせても上手い女優さんだ。

これらの「ままならない」リアルに対して、『八犬伝』側の映像はけれん味たっぷりに描かれていた。
やってる役者さんたちがみんなアクションが巧くて、見せ方を心得ている感じ。
信乃と現八の屋根の上決戦はスペクタクルだったし。
悪役も実に悪役らしくてよかったし。
「フィクションだからこれでいいんだよ、これが楽しいんだよ」といった映像が小気味よかった。

最後に、『八犬伝』が完結したのは、奇跡のような出来事だったことが描かれる。
物語は奇跡のようなきらめきを伴うものだが、こいつはそも成り立ちが奇跡だった、と。
面白かった。

 

 

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2024年9月 5日 (木)

【映画】「きみの色」

時間が経ってしまったのでごくごく簡単に(現在10/8)。

「平家物語」の山田監督作品ということで見に行った。
なんだかんだで面白かったんだよね、「平家物語」。
最初から「悲劇」とわかっているものなんて見たらツラいに決まってる、と、思ってたんだけど、そこまでツラくならずにきちんと最後まで「面白い」と感じながら見られたのは、監督の手腕だと思う。

というわけで劇場版アニメも鑑賞。
女の子たちがとても女の子らしくて安心(笑)。
(逆に男の子はちょっと「綺麗すぎる」かな~という気がしなくもないが、まあ、フィクションだし)

シスターがいい味を出していた(笑)。
あと、主人公の女の子の特殊な設定(他人(の心)がそれぞれ異なる色彩で視えてしまう)は、あまり特殊な感じがしないように散りばめられており、むしろ内面の描写に活かされているようで、巧いと思った。
なんというか、「特殊な設定ありき」の作品ではまったくなかったってことで。
「こういうふうに世界が見える人もいるかもしれないよね」くらいに思えるだけのリアリティが付与されていた。

音楽もなかなかよかったし、観てよかった。
一度も目の疲れることのない、美しいアニメだった。

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2024年8月30日 (金)

【映画】「侍タイムスリッパー」

時間が経ってしまったので簡単に(現在10/2)。
そしてこの映画はネタバレしない方がいい作品なので、ごくごく簡単に。

すごく面白かった!!!!!
8月末はまだ東京ではシネマ・ロサでしか上映していなくて、そこへ見に行ったんだけど(しかも台風来てた)、「ここで終わるなんて絶対もったいない!!」と確信するほど面白かった。
カッコよかったし。
役者さんもいいし、演出もいいし、なんといっても脚本がめちゃ面白い(よくある「なろう系」じゃないのがイイ)。
そして殺陣がすばらしい。
そうなの、こういうのが見たかったの。
最近の「ナンチャッテ殺陣」はあまり好きじゃないの。

「これが単館で終わって全国展開しなかったら、もったいなさすぎるし日本映画界が終わってるってことじゃね?」と思って、とにかく周りの映画好きには薦めまくったのだが、そこからあまり日をおかずに東宝や松竹で上映されることが決定して胸をなでおろしたのだった(←そのくらいのめり込む面白さだった)。

多くは語るまい。
とにかく見に行ってほしい。
めちゃくちゃ面白いから。
上映中、あちこちから笑い声が聞かれて、会場全体があたたかくなるから。
本年、一二を争う出色の作品だった。
絶対にもう一度見に行く。

▼上映後の監督とキャストさんたちの挨拶。

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2024年8月22日 (木)

【映画】「フォールガイ」

時間が経ってしまったので簡単に(現在9/9)。

めっちゃ面白かった。
映画好き、とりわけアクション好きには絶対見てほしい一本。
この監督って、本当に伏線の貼り方と回収の仕方が巧いよなぁ~。
あとはいろんな作品へのオマージュが散りばめられていたらしい。
自分一人では気づかなかった部分も多いのだが、それでもめいっぱい楽しめた。

ゲス野郎が清々しいほどのゲスっぷりで、超絶笑えた。
きっと楽しく演じてたんだろうなぁ~。
あとは最後の……うぅ、ダメだ、ネタバレになるから云えない……。
とにかく笑った。
最初から最後のひとかけらまで、笑いどおしに笑った。
面白いから、みんな見てほしい。

私ももう一回見に行きたいかも。

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2024年8月13日 (火)

【映画】「化け猫あんずちゃん」

時間が経ってしまったので簡単に(現在9/6)。

なんかもう、いい加減な奴ら(閻魔様除く)のハナシだったな(笑)。
面白かったけど、なんというか、こう、もやもやと煙に巻かれたまま終わったような印象が何故かある。
そもそもあんずちゃんがいい加減というか行き当たりばったりというか。
……化け猫なんだしそりゃしょうがないよね(笑)。
最初から最後までゆるゆるした話だった。
ハナシはゆるゆるしていても、登場人物はみんなこすからかったりあくどかったり。
善人と云えるのは2人の男の子たちだけだったナ(苦笑)。

結構好き嫌いが分かれそうなので、割引価格で見に行ってみるほうがよさそうだ。
(自分は嫌いじゃない)

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2024年7月31日 (水)

【映画】「デッドプール&ウルヴァリン」

時間が経ってしまったのでごくごく簡単に(現在9/2)。
あまりネタバレするのもよくないし。
感想を書くのが面倒だからじゃないよ、ホントだよ?(汗)

面白かった。
まあ、残酷だけど(戦闘があると惨い攻撃でモブがどんどん死んでいく)。
そりゃまあR18指定になるよね。

面白かったので、最初は字幕で見たが、8月に吹替え版も見に行っちゃった。
ちなみに、自分には吹替えの台詞のほうがマイルドに感じられた。
卑猥な表現はしっかり散りばめられていたけど(ちゃんと攻めてた)、それ以外の部分で。

卑猥で惨くてダメダメなんだけど、観てる間中笑い転げていた。

今後も二人の活躍が見られるといいんだけどな。期待。
でも言っとくけど、ディズニープラスには入らないからね。絶対。

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2024年7月12日 (金)

【映画】「ルックバック」

時間が経ってしまったので簡単に(現在8/28)。

存外面白かった。
前評判が高いのは知ってたけど、なるほどね。
ある意味でリアルじゃない展開も出てくるんだけど、それでもリアリティがしっかりとあって、なかなか凄かった。
どのくらいリアリティがあるかって、「作者の自伝か?」とつい思っちゃうくらい(違うらしい)。

これはまあ、1500円出してもいいや。
観たあとは1500円が財布から消えたことなんか忘れちゃう。

何を書いてもネタバレになるのでこの辺で。
まだ見てない人は見てみてね。

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2024年6月 6日 (木)

【映画】「マッドマックス:フュリオサ」

時間が経ってしまったので簡単に(現在7/8)。

戦闘シーンは馬鹿馬鹿しくて面白かった。
どうするとあんな馬鹿なアイデアが出てくるんだ?(笑)
パラグライダーとか凧とか笑い転げたわ。

しかしニンゲンを描く部分はイマイチ。
たとえばバイカー軍団の頭目の破壊的性格が異常者のそれなのか、そうなるきっかけがあって変貌したのか、それとも中身のない薄っぺらなだけなのか、わからない。
奥行きがないので、中身のない薄っぺらなことをまくしたててるだけの男に見える。
(そもそもヤツにしゃべらせすぎ(笑))

フュリオサはまあ、カッコよく描かれてはいたが、仇に対する最後の顛末はどうよ?
思い切りよく殺してやった方がよかったんじゃ?

というように、ニンゲン模様については一事が万事こんな感じで物足りない。
「伏線か?」と思ったことは全部スルーされてたし(伏線じゃなかった)。

「マッドマックス」本編(怒りのデスロード)のほうが面白かったな。
きっと「行って帰って、その間ずっと戦闘」だったからだな(笑)。

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2024年5月30日 (木)

【映画】「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」後章

時間が経ってしまったので簡単に(現在6/24)。

ええとごくごく簡単に。
まだ見てない人はここで絶対にストップ。
(観ちゃった人も大したこと書いてないので読まないでいいです……)


予想よりはツラくなかったが、「暗くてどうしようもなく怖い話」を明るい調子で描いているのは前章同様。
どこにフォーカスするのかが前章ではわかりにくかったが、今回、やっとわかった気がした。
個人的な幸せを優先する世界にシフトしたら、そのせいで人類が滅亡することになったわけだね。
観ている側は他人事だから「それでもいいんじゃね?」と思っちゃう。
思っちゃうように演出されていたと思う。
自分も「この子の恋が成就するルートなら、人類滅亡でもそれはアリなんじゃ?」とか「異星人相手に恋ができるならそれはそれでアリなんじゃ?」とか思っちゃったわけだが、冷静になって考えると世界線シフトのせいで友だちの一人は恋路半ばで死亡してるんだよね。
一方を立てればもう一方は立たず……。
そして異星人たちの中身のお顔はかなりキモかった(キモく表現されていた)。

結局のところ、ひでえデストピアだった。
でも一番ひどいのは「いそべやん」だな。
ひどすぎる(笑)。
パロりかたが巧すぎるんだよ……寒気するレベル……。
テーマ曲も、違っているのによく似てるし(作曲者は凄い手練れに違いない)。
トラウマになりそうだった、「とっても大好き、いそべやん」。

まあ何しろコワイ映画だった。

どーでもいーハナシだけど、「後章」ってのが気になる。
「後章」って云わないと思うんだよね。
「後章」に相当するのは「次章」だろうが意味が変わっちゃうし。
つーかそもそも「前章」と云えば、「今読んでいる章よりも前にある章」の意味なわけで、「前編」みたいな意味ではナイ。
なぜ「前編後編」とか「1章2章」にしなかったのか。
ああ、何から何まで気持ち悪かった(笑)。

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2024年5月26日 (日)

【映画】「碁盤斬り」

時間が経ってしまったので簡単に(現在6/18)。

チケット消化のため、見に行ってきた。
もともと時代劇は好きなのだが、最近のNHKに代表される「“なんちゃって殺陣”付き時代劇」はどうも自分には合わなくて、もう新作時代劇を見るのは諦めようかというところ、本作は評価がすごく高いので見に行くことに。
自分的にそこまでの高評価を付けるかどうかは定かじゃないが、面白いのは面白かった。
昔ながらの時代劇ファンの目にもきっと堪えられる作品じゃないか。
ちなみにネタバレは少量でもよろしくないので、まだ見てない人はここでストップ。


昔ながらの、誠実だが堅物でどうしようもなく融通の利かない武士の男(浪人中)が主人公。
なんというか、徹底して「なんでそこで一言云ってから行かないの」と思っちゃうような振る舞いが多く(笑)。
人間として魅力的なんだが、どうしようもなくお堅い印象をしっかり叩き込まれたのは俳優さんのおかげか、演出のおかげか。
アンタ、融通が利かなさすぎよ……まあ、こういうのが武士の魂ってヤツなんだろうけど……。

わりとしっかり正統派の時代劇らしい仕上がりで、面白かった。
殺陣もよくよく練られていたし(「そんな高すぎる天井は江戸に無え!!」とかって叫びたくなるような要素はなく、わりと自然に見られた)、チャンバラを多用しない演出はメリハリが効いててよかった。
人情ばかりがクローズアップされるわけでもなく、最終的には予定調和のニオイもしないわけじゃないものの残酷さと表裏一体の現実が描かれていたのもよかった。
あとは空気のホコリ感。
今と違って大気が濃密な感じのライティングとか、よかったな。
こういう時代劇ならまた見たいかも。

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