学問・資格

2022年12月18日 (日)

【イベント】「人類の誕生と地球の未来」(第37回 国際生物学賞記念シンポジウム)

時間が経ってしまったので聴講の記録だけ(現在1/15)。

妹に教えてもらって事前登録してみた。
久しぶりに半日がっつりと講義を聞いた。
「自分にはもうそんな集中力は残ってないだろーな、途中で投げ出したくなったらどうしよう」と思っていたが、案外、最後までもったので何とかなるもんなのかも。
(ただ二足歩行のシミュレーションの話はどうしても頭に入ってこなくて、個人的には休憩時間になってたかも……)

一番驚いたのは、第37回国際生物学賞の受賞者であるティモシー・ダグラス・ホワイト博士のご講演がものすごく聞き取りやすかったことだった。
会場で聴講している人たちには同時通訳機があるらしかったが、オンライン聴講だとそれがないので、英語のママで聞くことになる。
全部が全部わかったわけじゃないけど、かなりわかったと思う(私であれくらいわかったんだから、英語慣れしている人は全部わかったはず)。
凄いな~。
偉い先生だな~。
学生相手にわかりやすく講義することにものすごく慣れてて、何よりもちゃんとそういう点を気遣ってくださる方なんだと思う。
ご自分がどういう研究(とフィールドワーク)をやってきたかを説明したあと、固定観念は覆されるもので、そういう転覆を起こすような多様な視点が重要とも云っていたような気がするが定かではない(スミマセン)。
最後に「教育が一番重要だ」という話で締めくくられていた。

ほかの日本の先生方による講義も面白かった。
まあ、トリ頭なのですぐに全部忘れちゃうんですけどね……。
最近になく、知的好奇心を刺激されるイベントだったと思う。
教えてもらってよかった~。

以下、プログラム概要の記録。
(ちなみに各講義が押して押して、当初は懇談の時間を取っていたのが全部なくなったようだったので以下のプログラムからも抜いてある)

◆開催趣旨
 国際生物学賞は、昭和天皇の御在位60年と長年にわたる生物学の御研究を記念するとともに、本賞の発展に寄与されている上皇陛下の長年にわたる魚類分類学の御研究を併せて記念し、生物学の奨励を図ることを目的とした賞です。国際生物学賞委員会が毎年1つの授賞分野を選定し、当該分野の研究において世界的に優れた業績を挙げ、世界の学術の進歩に大きな貢献をした研究者が授賞されています。
 第37回国際生物学賞の授賞対象分野は「ヒト進化の生物学」であり、カリフォルニア大学バークレー校教授のティモシー・ダグラス・ホワイト博士が受賞されました。ホワイト博士は、440万年前のアルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)化石を始めとする様々な段階の人類化石や、その周辺の動物層及び環境(古環境)資料の発見と分析を通じて、それまでは不明であった初期人類の起源とその進化過程の理解を飛躍的に高め、その業績は国際的にも高く評価されています。
 本シンポジウムは、ホワイト博士の受賞を記念して、「ヒト進化の生物学」をテーマに企画されました。1日目はホワイト博士による特別講演、および国内外からお招きした関連分野の研究者による研究者・大学院生向けの講演が行われます。2日目は、ホワイト博士による特別講演(同時通訳)に加え、同分野における先端的な研究に取り組まれている日本人の研究者にご講演を頂き、「ヒト進化の生物学」の最前線を紹介します。

◆プログラム
12月18日(日)13:00~17:50(開場12:00)
東京大学 大講堂(安田講堂)
司会:大橋 順(東京大学)

13:05~13:25 諏訪 元 (東京大学)
「ホワイト博士と人類進化研究」
13:25~14:15 ティモシー・D・ホワイト(カリフォルニア大学バークレー校)
「Integrating the Physical, Social, and Biological Sciences to Illuminate Human Emergence/人類の成り立ちを地球・社会科学と生物科学の融合から探る」(同時通訳)

14:35~15:00 古市 剛史 (京都大学)
「ボノボから学ぶヒトの進化:メスたちがつくる平和社会」
15:00~15:25 中務 真人(京都大学)
「中新世アフリカの類人猿進化:類人猿って何?」
15:25~15:50 河野 礼子(慶應義塾大学)
「歯の形態から探る人類の進化」

16:00~16:25 荻原 直道 (東京大学)
「サルの歩行分析から探るヒトの直立二足歩行の進化」
16:25~16:50 井原 泰雄 (東京大学)
「言語の起源を探る」
16:50~17:15 高畑 尚之 (総合研究大学院大学)
「ゲノム情報からみた人類進化」

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2022年8月29日 (月)

【展示】「きみと、ロボット」展(国立科学未来館、東京・テレコムセンター)

時間が経ってしまったので簡単に(現在9/20)。

気になっていたので、休みを取って見に行った。
遠いよなあ(同じ都内なのに電車に乗ってる時間が長い)。
プチ旅行気分。

まあまあな規模の展示だったが、以前、常設展を見に行ったときのほうが楽しかったかも。
一つには、日本のロボット学の衰退を見るようで心寂しいものが……。
アイボが発売された当時の日本と今の日本のロボット学の勢いを比べると、やっぱりどうしても……ツライ。
ハード面の研究はお金がかかって、とてもじゃないがボストンダイナミクスのような真似はできないから、ソフト面に研究をシフトせざるを得ない潮流が見えるようでツラかった。
みんなはツラくないのかな?
まあ、子どもはただただ楽しいだけかもしれない(ロボットを怖がってる子どももいたが)。

別にあの「役に立たないロボット」群が嫌いなわけじゃない。
あれはあれで面白いし、突き進めれば何かあるかもしれない。
でも同時にハード面も発展させなければだめじゃないのかな。

あともう一つ、メインターゲットをどこに設定しているのかがわからない。
子ども目当てにしては前半に遊びが少なすぎるし、ロボット好きがターゲットでは彼らを満足させられまい。
中高生? うう~ん……企画を受けたイベンターがちゃんと考えたのかどうかアヤシイ。

ちなみに15時過ぎに行ったら、体験できるヤツはすべて受付終了していた。
ちょこっと残念だったが、そのためにもう一度2000円近く支払うのは嫌だ。
そこまでの魅力はなかったなあ。
次回に期待?

▼おまけのガンダム。未来館からちょっと歩いた先にある。

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2020年2月15日 (土)

【イベント】おもてなし講座

時間が経ってしまったので簡単に(現在3/2)。

区のおもてなし講座(運営の大元は都)に申し込んだら当たったので、今日はそちらへ。
グループワークやペアワークなど、忙しかった。
こういうの、凄く久しぶりだ~。

このあと土曜日2回を使ってさらに4講座を受けるはずだったが、コロナウィルス騒ぎで全部中止に(がーん)。
しかもこの「おもてなし講座」は今回が最終回だったので、今後受講のチャンスはない。
修了証ももらえないのかな~。
シクシク。

せっかく久しぶりに前向きなことをやろうと思ったのに……。
コロナウィルスのばか。

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2019年12月14日 (土)

【イベント】「ペルーの文化遺産保護最前線」

ものすごく時間が経ってしまったので聞きに行った記録だけ(現在1/16)。

以下のイベントへ、聴講に行ってきた(頑張って寝なかったさ!)。
いろいろと興味深かった。
が、すでにアンデス文明研究会の講義で耳にしていた内容も多く、まるで予習してから臨んだような仕儀となった(笑)。
(アンデス研における情報の速さに舌を巻いた)

カルロス・ウェステル・ラ・トレ氏の講演に出てきたチョトゥーナとチョルナンカップ遺跡に関する展示を、まさに2019年ゴールデンウィークの旅行中に見たのだと、この日に理解した。
楽しく見て回っただけだったけど、重大発見に関する展示だったのね。吃驚。
発掘地での地域コミュニティの視点に根差した活動の報告を聞いたが、凄かった。
遺跡の維持のために、まず地域のニーズを探って、水や電気を引くという……。
素晴らしい。

ソニア・エリザベス・ギジェン・オネエグリオ氏は、つい最近文化大臣になられて、しかもこのシンポジウムの一週間前くらいにクエラップ遺跡の崩落という大事故があって、来日中止になってしまった。
というわけで、関先生の代読&アドリブ補講だった。
レイメバンバには行ってみたいなあ。遠くて無理かなあ……。
ちなみに、国立科学博物館(上野)で開催中の「ミイラ展」には、レイメバンバのミイラが展示されている。

あとは、アンデス研でご縁を結んだ渡辺先生と福原先生にお目に掛かれて僥倖だった。

 

ペルー日本人移住120周年・日本ペルー交流年記念シンポジウム
「ペルーの文化遺産保護の最前線―アンデスの黄金、ナスカの地上絵、インカのミイラ―」
http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/rm/20191214

  • 日時:2019年12月14日(土) 13:00 - 17:20
  • 場所:東京文化財研究所 地下セミナー室(東京都台東区上野公園13-43)
  • 主催:国立民族学博物館、文化庁
  • 共催:文化遺産国際協力コンソーシアム、山形大学、金沢大学超然プロジェクト「古代文明の学際的研究の世界的拠点形成」、科学研究費補助金基盤研究(A)「アンデス文明における権力生成と社会的記憶の構築」(研究代表者 関雄二)
  • 協力:古代アメリカ学会、在日本ペルー大使館
  • 一般公開(参加無料/申込不要/定員110名[先着順])

 

概要

南米ペルーは、インカに代表される古代アンデス文明が成立した場所として知られ、日本人研究者も60年以上にわたって研究調査を続けてきました。
本シンポジウムでは、金製副葬品を伴う貴人墓や、世界文化遺産ナスカの地上絵、そしてインカ時代のミイラなど、近年の発見に触れるとともに、出土した遺構や遺物を地域住民とともに守り、活用する取り組みを紹介します。
文化遺産とコミュニティとの共生、そして持続的活用を模索する事例をとおして、21世紀における文化遺産のあり方を探りたいと思います。

 

プログラム

13:00~13:20 主催者挨拶・趣旨説明
13:20~14:00 基調講演「考古学を通した日本とペルーの文化交流」
 加藤泰建(埼玉大学)
14:00~14:50 「チョトゥーナ遺跡とチョルナンカップ遺跡 ― 調査、保存そしてコミュニティにおける価値付け」
 カルロス・ウェステル・ラ・トレ(ペルー国立ブルーニング考古学博物館)
14:50~15:20 「パコパンパ遺跡 ― 金製品の発見と地域文化遺産の保護」
 関雄二(国立民族学博物館)/ダニエル・モラーレス(ペルー国立サン・マルコス大学)
15:20~15:40 休憩
15:40~16:30 「レイメバンバ ― コミュニティを巻き込んだ博物館活動」
 ソニア・エリザベス・ギジェン・オネエグリオ(ペルー国立考古学人類学歴史博物館)
※来日中止、代読
16:30~17:00 「ナスカ ― 地上絵の調査、発見そして保存」
 坂井正人(山形大学)/ホルヘ・オラーノ(パリ第一大学)
17:00 - 17:20 挨拶:井口欣也

 

講演者プロフィール

ソニア・エリザベス・ギジェン・オネエグリオ(Sonia Elizabeth Guillén Oneeglio)※来日中止
【ペルー国立考古学人類学歴史博物館長】
ペルーを代表する自然人類学者。1997年にペルー北部アマソーナス州のラグーナ・デ・ロス・コンドレス湖に面した断崖で、数百におよぶインカ期のミイラを発見した。NGO を組織し、レイメバンバ博物館を建設。地域住民とともにミイラや考古遺物の保存に努める。

カルロス・ウェステル・ラ・トーレ(Carlos Wester La Torre)
【ペルー国立ブルーニング考古学博物館長】
ペルーを代表する考古学者。2012年にペルー北海岸ランバイェケ地方チョルナンカップ遺跡で、大量の金製品を伴う女性の埋葬を発見した。自らが館長を務める博物館で展示するとともに、地域住民と保存活動に従事している。

加藤泰建
【埼玉大学名誉教授】
専攻は文化人類学・アンデス考古学。1975年より東京大学アンデス調査団のメンバーとして発掘調査に参加。1998年より埼玉大学クントゥル・ワシ遺跡プロジェクトリーダーとして発掘調査、遺跡の保存修復などを行う。

関雄二
【国立民族学博物館副館長・教授】
専攻は文化人類学・アンデス考古学。1979年以来、南米ペルー北高地において神殿の発掘調査を行い、アンデス文明の成立過程を追究するかたわら、文化遺産の保護と活用にも取り組む。

坂井正人
【山形大学学術研究院教授、山形大学ナスカ研究所副所長】
専攻は文化人類学・アンデス考古学。1989年よりペルー共和国の考古遺跡で発掘調査に従事し、2004年よりナスカ地上絵に関する学際的な研究調査を行う。

井口欣也
【埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授】
専攻は文化人類学、アンデス考古学。1988年より東京大学アンデス調査団のメンバーとしてクントゥル・ワシ遺跡の発掘調査に参加。

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2019年8月30日 (金)

【展示】特別展「三国志」(東京国立博物館、東京・上野) #三国志展

やっと金曜夜に時間が取れたので、東博の「三国志」展を見に行った。
混んでおらず、ゆっくり見られた。
なんと今回はすべて撮影OK!(フラッシュは不可)
やるな、東博!!
とゆーわけで、最後に怒涛の写真掲載シマス(それでも展示全体から見ればごくごく一部にすぎないが)。

NHKの人形劇やゲーム「真・三國無双」とのコラボが目立つが、展示内容も真面目でわかりやすく、その当時の世相がわかる仕組みで、とても面白かった。
たとえば三国志時代は今よりも寒かったらしく、そのせいで魏の土地は農作物の収穫が減っていたらしい(それで曹操が屯田制を導入したって話だった)。
戦乱のうえに減収もあって、なにしろ厳しい時代だったんだな。
あとは地図が要所要所で示されていて、いろいろとイメージしやすかった。

蜀は広大な田舎(農業国)、呉は海運盛んな商業国、魏は文化レベルの高い軍事国家、って感じの詩が最後の方に展示されており(書いた詩人としては魏がイチオシ)、あらためて三国の違いを知った。
ちなみに中華文化としては魏が正当な後継なのかもしれないけれど、私には蜀の造形が一番ユニークで一番魅力的だった。

どーでもいーけど、冒頭の展示(関羽像とか)は明・清時代のものだったが、それ以降はみな前漢から三国時代の遺物だった。
なんだかあたりまえのように置かれていて、うっかりあたりまえのように見て回ってしまったが、あの展示品(かなりの数)がすべて2~3世紀の遺物……凄い。
舌なめずりしながら見るべきだったわ~。

各コーナーの冒頭には横山光輝の漫画の生原稿が飾られていた(全部で5枚くらい?)。
個人的には、この生原稿を見るだけでも満足できるレベル。
やっぱり生で見ないとわからないものってあるなあ……。
今はデジタルだからこんなものもないだろうが、ペンタッチの美しさ、効果のラインの細さ(びっくりする細さだった)、人物の主線に宿る勢い、その他もろもろ。
こんなに立体的に迫ってくるものなんだと、ひそかに感動していたのだった。

亀甲文字っぽい「足元注意」の標識には笑った(下記写真参照)。
こういうのって楽しいよね(笑)。

お土産コーナーには、みんな大好きな「げぇ! 孔明!」の手ぬぐいやクリアフォルダが!(笑)
ガチャの中には、これまたみんな大好き?な「一番乗りだ!」も(引き当てるの難しそう)。
「真・三國無双」風のオーディオガイドを聞いて笑い転げているカップルもいたし、きっとだれでも楽しめること請け合い!(?)

▼この展示の公式サイトはこちら。東博での展示は9月16日(月・祝)まで。
https://sangokushi2019.exhibit.jp

以下、写真コーナー。撮影順に(パノラマを除く)。

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横山光輝『三国志』より「桃園の誓い」。

 

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関羽像、15~16世紀(明代)。

 

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御存じ、人形劇の曹操孟徳。

 

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劉氏の財力を表す金の豹、前2世紀(中山靖王劉勝夫婦墓)。

 

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獣形飾(ヒツジ?)、2世紀(中山穆王劉暢墓)。

 

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騎象俑、2世紀(洛陽)。

 

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「天帝使者」印、2世紀。

 

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劉備の主な活動地点の地図。

 

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多層灯、2世紀。死後の世界を照らす土製の灯り。

 

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邸宅(副葬品)、2世紀。
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邸宅の前には犬が!!

 

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これも副葬品(2世紀)。2階までは穀倉、3階以上は物見やぐらだそうだ。出土した河南省焦作市は、後漢最後の皇帝・献帝が譲位後余生を送った土地。

 

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副葬品の、三連穀倉楼、2世紀。

 

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赤壁ルーム! 天井に大量の矢が!!(笑)
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赤壁の戦い再現?

 

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鉤ジョウ(金へんに襄)、3世紀。盾の一種で裏面に持ち手がつく。上下の棒状部位と中央の突起で相手の攻撃を受ける。普通はもう片手に刀を持って戦うが、魏の曹丕は一対の鉤ジョウを両手で扱う特殊な武芸を学んだ(シールド攻撃!)。

 

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ゲーム「真・三國無双」の張飛の蛇矛(じゃぼう)レプリカ、馬鹿でかい(笑)。「張飛の蛇矛は実在したか?」ってコラムが貼られてたけど、なぜ実在したかどうかが問題になるのかとゆー前提がよくわからんかった。あとでサイトで見たら「張飛の時代の蛇矛はまだ見つかっていない」と書かれていて、やっとわかった。説明ボードにそう書いておいてほしかった……。

 

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御存じ、人形劇の孔明と孟獲。

 

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「偏将軍印章」印、1世紀
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たぶん「魏帰義氏侯」印(左)と「関内侯印」印(右)、2~3世紀。小粒ながらカッコいい。

 

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これはどれだろう……忘れちゃった。出品目録中の「把手付容器」ってやつだろうか?? だとしたら3世紀の遺物。

 

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これも忘れたけど、ベルト留めだった気がする。出品目録の「帯鉤」なら3世紀の遺物。片方が魏のもので、片方が呉のもの。そっくりさん。

 

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定規!! ものさしが副葬品の中にあった! 3世紀。

 

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厠圏、という出品名だった。便所小屋を併設した豚の囲いのこと(人糞を豚の餌にした)。母豚が子豚たちにお乳をあげているのが楽しい。ちなみにこれも副葬品。2世紀。

 

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溜池模型、2~3世紀。やっぱり副葬品。小舟、鴨、蓮の花、魚などが一緒に作られていて楽しい。

 

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神亭壺(しんていこ)、272年。神亭とは呉から東晋にかけて焼かれた明器の一種だそう。上には楼閣や貯蔵用の甕や家畜や人物などがびっしり。江南の豊かさを物語っているとか? 銘から、かつて孫堅も務めた「長沙大守」にちなむものであることがわかる。側面のカニがかわいい(笑)。

 

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「呉の青磁経済」ってパート(中国の青磁は後漢時代に江南で成熟した「ハイテク素材」であったって話)の最後に展示されていた、銅鼓? 呉の豊かさを示すもの? 忘れちゃった……

 

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亀甲文字風「足元注意」のマーク(笑)。楽しい!

 

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飾板、3世紀。もちろん墓から出土。何かに取り付けられていたようだが、詳細は不明。銀製品。

 

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たぶん「画像石」、3世紀。刻線がシンプルで美しい。

 

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揺銭樹、2世紀。
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揺銭樹(2世紀)の下の方。
四方に伸びる枝葉に、西王母や仙人のほか400個もの銅銭を飾った「金のなる木」(笑)。揺銭樹は大半が蜀の支配地域の墓で出土するそうだ。マジカルワールド、蜀(笑)。

 

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揺銭樹だが、発掘時には台座部分しか残っていなかった。台座は「辟邪」という架空の動物だそうだ。侵入者を威嚇するとともに墓の主を天上世界へと導く役目が期待された。
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揺銭樹台座のアップ、左上の鳥がかわいい。

 

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牛車、3世紀。古来、貴人の乗り物は馬車だったが、三国時代に呉の地では牛車が増加した。呉の有力者の墓から出土。

 

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横山光輝『三国志』より「秋風五丈原」。

 

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蝉文冠飾、3世紀(西晋)。冠に付けた装飾品。すごく小さくてすごく細かい。この写真じゃわからないけど、金のつぶつぶを線状に配置している。

 

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獅子形盂、3~4世紀(西晋)。かわいいし、細工が細かい。

 

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数年前に発見された曹操高陵の墓室を再現していた(画像をクリックして拡大してみてね)。曹操は「墓を豪華にするな」という遺言を残したそうで(この一点において心から尊敬する)、実際に他の墓陵と比べると副葬品などが質素だったようだ。遺言自体もよかったけど、後継がちゃんとそれを実行するのもイイね。

 

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2019年8月29日 (木)

【イベント】山口拓夢×斎藤哲也トークイベント「短歌形式の哲学史・ユング入門」

代官山蔦屋書店で開催された対談を聴講してきた。
『短歌で読む哲学史』に続いてこの4月に『短歌で読むユング』が刊行されたことを受けての記念イベントである。

実はさほど期待していなかったんだけど、なかなかに面白かった。
司会というか聞き手の斎藤氏が非常に切れ者で、筆者の山口氏からいろんな話を引き出していた。
どうやって書いていったのか(短歌が先だったのか解説文が先だったのか)、なぜ短歌なのか(山口氏にとっての短歌とは?)、哲学史入門書としての独自性(既存の入門書は参考にせず自分の感性を信じて書いた件)などなど。

話の中で、短歌の専門家からのクレーム(「こんなのは短歌じゃない」「解説付けるなんて狡い」等々)があることに触れていて、これはビックリだった。
山口氏は別に歌壇で活躍しようとしているわけではなく、三十一文字にまとめたら小難しい思想もとっつきやすかろうと思って書いているわけで、そうした書籍の方向性を考えたうえで敢えて批判しているのだろうか。
そういう部分を理解力とか想像力とか云うんではないのか?
……まあ、同じ短歌として認められてるからこその反論と思えば、何も反応がないよりいいんだけど。
いずれ触発されて解説付きの短歌の本が出ちゃったら面白いかも?

思想を深く読み込んで「これだ!」というエッセンスを三十一文字にまとめるのは、私なんかからすると深淵を覗くような果てしない作業に思えるのだが、山口氏は果敢にも次回作の構想をすでに練っているらしかった。
(でも『短歌で読むエリアーデ』はちょっと……販売の際に訴求力が弱いんじゃないかと……心配……)

発行元の田畑書店からは次に発行予定の翻訳小説のプルーフ版をプレゼントされ、「こういう『聴講』も悪くないな」などと、かなり満足して帰ったのであった。

▼件の書籍。読みやすくおススメ。

『短歌で読む哲学史』(田畑書店) 『短歌で読むユング』(田畑書店)

 

▼件のイベントのサイト(もうないかもしれないけど)
hrrps://store.tsite.jp/daikanyama/event/humanities/8161-1412450710.html

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2016年4月15日 (金)

【展示】「恐竜博2016」(国立科学博物館、東京・上野)


時間が経ってしまったので、簡単に(現在5/11)。

スタンスのはっきりしたうまい展示だった。
最初から「キーワードは7つ!」というのを前面に押し出して、今回の展示で伝えたいことに、お客の注目が集まるようにしてあった。
(ちなみにその7つのキーワードは、「起源」「植物食」「飛翔」「水中進出」「赤ちゃん」「恒温」「鳴き声」だった)

自分が気に入ったのは、恐竜の大きさの展示表現。
チレサウルスだったかカマラサウルスだったか、子どもの骨格標本が展示されており、説明ボードに「親はこの○倍の大きさ」みたく書かれていた。
実はこれだけだとよくわからないんだけど、そのすぐそばの壁に親の輪郭がペイントされていて、どのくらい巨大化がわかるようになっていた。
こういう展示が今回は上手かったよなぁ。
「赤ちゃん」のコーナーでも、カスモサウルスの赤ちゃんの骨と、大人の骨格標本がそばに置かれて比較できるようになっていたし。

全体に、ビデオも含めて見るモノが多すぎず少なすぎず、テーマも絞られていて「うまい展示」だと思わされた。
恐竜分野の先生は、こういう展示の企画に慣れているのかも。
個人的には、クリーニング・ラボが作業者風邪によりお休みで残念だった。
映像だけでも気が遠くなるような作業なんである。ちょっと見たかったな。
(それが全部ボランティアなんだから、別の意味でも気が遠くなりそう)

いろいろあったが、実は全体を通して一番感じられたのは、「恐竜研究っていろいろ進化してるんだよ、面白いでしょ。君も一緒に恐竜の研究しない?」ってゆー、子どもたちに対する強烈なスカウト精神だった(笑)。
その意味でも、子ども向けインターフェースを十分に考慮した、いい展示だったと思う。

以下、写真。下3点が「赤ちゃん」コーナーでのカスモサウルスの赤ちゃんと大人の展示。

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2016年2月12日 (金)

【展示】『ワイン展』(国立科学博物館、東京・上野)


時間が経ってしまったので、簡単に記録だけ(現在3/10)。

まあまあな展示だった。
ぶどうを踏むコーナーなど、そこそこ楽しめるようになってはいるけど、いまひとつ「奥行きが足りない」感じだったかな。
力点がない、とゆーか。

もうちょっといずれかにおいてパッションを提示してもらえるとよかった。
「ぶどうは他の果物と比べてものすごく虫害がたいへんで、それをやっつけるのにこんな人の情熱が!」とか、「こんな知恵が昔からあるが科学的にも正しい!」とか、「ぶどう農家(またはワイン生産者)は『ぶどうとお話する』!」とか、「ここがスゴイ、知ってもらいたい」って押し出される部分がないと。
訴求しないデス。

物販コーナーがいつもとまるで違ってて笑った。
ワイン売り場になっとる(笑)。

まぁ、身近な食材を掘り下げよう的なスタンスはイイと思うので、試行錯誤しながら続けてもらえますように。

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2014年5月31日 (土)

【展示】「医は仁術」展(科学博物館、東京・上野) #科博 #医は仁術


ゲーム仲間と大挙して(といっても全部で6人だが)、科博の「医は仁術」展に行ってきた。

地味な内容だからガラガラだろうと思っていたのに、結構たくさんの人が見に来ていた。
どこかテレビで取り上げたのかな?
まぁ、TBSとタッグを組んでやってるようだし。

主に、江戸時代の医学書(それこそ解体新書とか)やら手術キットやら模型やら。
解剖図がたくさん残されていて、結構びっくり。
最初は墨一色だったのが、カラー彩色になり、解剖の際にも尿道だかどこだかに墨汁を流してそれがどうなるかを描いてみたり、どんどんレベルがあがっていくのが面白い。
下賜された遺体の、斬首のありようまで記録されていたりする。
何から何まで「知識」なんだな。
すごい情熱。

あ~、でも私は残念ながら医者にはなれないな~。
頭脳的にもついていけないけど、こーゆーの得意じゃないことがこっそり判明。
さすがに「解剖なんて野蛮だ」などとゆー野蛮なセリフを吐いたりはしませんが。

薬箱が細かくて楽しそうだった(いや、実際は真剣に調合するんだろうけど)。
手術道具は、工具の兄弟分みたいでちょっと怖かった。
でも考えてみたら、現代の外科手術用具だって、切れ味がよくなってはいるだろうけど、工具と似たようなもんだよなぁ。

医学生が勉強するためのサンプルがいろいろ面白かった。
お産を勉強するためのお産人形とか。
すべて木製の骨格標本、「奥田木骨」とか(精度もよくカッコいい)。
図鑑も見逃せない。
身近な植物動物は微細に描かれているのに、カブトガニだけ子どもが描いたマンガみたいでおかしかったりして(実例がなかったんだよね)。

「行政など(お偉いさん)にとっても昔から医は仁術だった」と云われるとかなり抵抗があるが(真に高度な医療はやっぱり金のある奴にしか受けられんわけだし、小石川養生所だって市井からの投書がなきゃできとらんわけで)、その点を除けばまずまずの展示だった。
最後の方に展示されていた3Dプリンタによる臓器模型も興味深かった。
ここまできたか、3Dプリンタ。
積み上げて成型したものとはとても思えない出来栄え。
(ただ、本来はここって「昔の模型」と「現代テクノロジーによる模型」との対比になるべきなんだけど、「昔の模型」がそれなりに品質が高いもんだから、そーゆー対比力が弱いのが難点だったかも(笑))

「解体新書クッキー」とかって売ってないかと思ったけど、そーゆーお菓子類は一切なくて残念だった(笑)。
前回の恐竜展の「ゴビの月」に引き続き、「仁の月」でもあるかと期待していたのだが。
目玉のおもちゃを売るなら、目玉の飴玉くらい売ればいいのにな(ブラックすぎる?)。

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2014年5月28日 (水)

【グルメ】高島屋の「大学は美味しい!」展に行ってみた


昨年だか一昨年だか、たまたま行ってみたら面白かったので、今年も行ってみました。
いろいろあって面白かった。
提携している企業の手慣れたおじさんおばさんが売り子をしている大学もあるんだけど、学生自身が店番をしているところが多く、客引きもなんだか大学祭みたいな雰囲気。

いろいろ食べたり買ったり。

・筑波大学のブディーノデリーゾ(玄米粉のプリン)
マイクロウェットミリング製法とかゆー粉砕液化技術を使って、玄米を微細に粉砕し、プリンっぽいスイーツにしてある。
もちもちしてなかなか美味しかった。
脂質がなく、ヘルシーそう。

・立教大学のクリームチーズジェラート
観光学部による試み。観光学部があるんだ、立教って。びっくり。
ジェラートはとても濃厚だった(クリームチーズのままに近かったよーな……)。
確かにこれならワインに合うかも。
https://www.facebook.com/shigaproject

・大分大学のすっぽんジュレ
ここは、提携の企業さんが出展していた。
すっぽんジュレは動物っぽい匂いが全くせず、美味しかった。

・千葉大学のノンメタポーク豚丼
ノンメタポークは、消費者じゃなくて、豚さんがメタボじゃないよという意味だそう。
http://nonmetapork.com/
学生さんが元気よかった。
残念ながらこのあと用事があるので肉類を買うわけにいかず、せめて豚丼でも食べることに。
イートインへ移動して豚丼を注文。美味しかった~。


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ちなみにその食事処は、実に殺風景で、昔の学食のようだった(笑)。
「学食」って看板でも掲げておけばいいのに(今の学生さんにはわからんかもしれんが)。

・新潟大学の無添加ベーコンのアマトリチャーナ
これは買って帰ってあとで食べたところ、売り文句どおりモチモチしてて、なかなか美味しかった。
ゆで時間が、2分半と短いのも楽でいい(生パスタだからな~)。
新潟県産コシヒカリの米粉を30%配合した「米粉入り生パスタ エチゴッティ」。
ネットでも通販しているらしい。


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※粉チーズはパッケージに含まれてません。

・新潟産業大学のとびっきりの網代焼
小判型の小さいおせんべいである。かなりの危険物。
食べ始めたら止まらないから(笑)。

・早稲田大学のソフトスチーム加工玄米(早稲田米)
玄米のくせにほぼ発芽玄米のような感じだった(つまり調理しやすく食べやすい)。
http://akitakomachi.co.jp/wasedamai/

・宇都宮大学のたまり漬けチーズ
確か宇都宮大学だったと思うんだけど……大学が持ってる牧場としては日本一の広さを誇るとか云ってたよーな……。
その牧場で搾った牛乳でマスカルポーネを作り、さらにそれをたまり漬けにしてある。
お酒のおつまみによさそうなお味。
酒は飲まないけど、チーズは好きなので購入してしまった(ちょっとお高いがしょうがない)。

・宮崎大学の日向夏ソフトクリーム
最後に荷物の整理士がてら一息いれようと、椅子に座ったところ、目の前に売り場が(笑)。
ちょうどいいからと、締めに購入した。
日向夏(またはニューサマーオレンジ)らしい、ちょっとほろ苦くてさっぱりしてて、でも甘くて美味しいアイスだった。

他にも買わなかったけど気になったものがいっぱい(売り切れてて買えなかったものもあった)。
佐賀大学のさがんルビー(国産グレープフルーツ)とか、慶應義塾大学の赤城牛とか、青森大学のがまずみ製品とか。

来年も楽しみ。

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