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2017年3月29日 (水)

【読書】『天国の囚人』


書名:天国の囚人
著者:カルロス・ルイス サフォン (Carlos Ruiz Zaf´on)/木村 裕美 (翻訳)
出版社:集英社(文庫)
発行日:2014/10/17
ISBN-13: 978-4087606911

あらすじ 1957年、バルセロナ。父の書店で働く青年ダニエルは、結婚間近の親友フェルミンの様子がおかしい事に気づく。彼宛に不可解なメッセージを残す謎の男の来店もあり、友人を問い詰めると、フェルミンは自らの過去を語り始めた…。18年前、監獄に収容された事。そこで出会った作家マルティンの事、彼と交わした約束の事―『風の影』『天使のゲーム』をつなぐ、「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾!

時間が経ってしまったので簡単に(現在4/10)。
若干のネタバレがあるかもなので、嫌なヒトはここでストップ。

「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾。
四部作と聞いていたが、どうもこれを含めて5作になるらしい。
本作は、第1作の主人公だったダニエルが例の彼女と結婚してからの話で、ダニエルを主人公に据えているものの、その友人フェルミンの昔話がメインである。
半分くらい、『モンテ・クリスト』へのオマージュかも(笑)。

やはり第1作に比べると面白さはだんぜん落ちるが、どうもこのあとの展開に必要そうな情報が散りばめられているので、次を読むなら外せない感じ。
そして重要なことはほとんど何も決着が着いておらず、謎がいっそう深まるばかり。
ヒキョーだよ(笑)。

それにしてもフェルミンの口の悪さとゆーか舌鋒の鋭さとゆーかその回りっぷりには脱帽するわ。
バルセロナに住む人たちって、みんながみんなああいうユーモアを持ってるのか?
本当にあのまま喋られたら、冗談だかなんだかこっちにはわからないですわ(汗)。

フェルミンの口の悪さを楽しめる人は読んで苦痛じゃないだろう。
続き(これから書かれる2作)を読みたい人も読むべきだろう。
それ以外の人たち、少なくとも前2作を読んでいない人たちには、正直なところさほどお勧めしない。
前2作(『風の影』『天使のゲーム』)は確かに独立して読める作品だったが、本作は、前の2作のいずれも読んでないヒトまでが楽しめるかというとかなり怪しい(解説には「独立している」ように書かれていたが承服しかねる)。
やはり『風の影』『天使のゲーム』のいずれか1作だけでも読んで、気になった人が読むべき本だろう。
だいたいミステリのくせに謎が解けてないし……(笑)。
「人間力」みたいなもので問題を解決していく展開は、私は好きだけどね。

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