【映画】「八犬伝」
時間が経ってしまったので簡単に(現在11/29)。
なかなかに面白かった。
馬琴たちのリアルと八犬伝(物語)のフィクションとがうまく交差していて、構成がめちゃくちゃ巧みだった。
脚本の力なのか、監督の構成力なのか。
とにかく全体に構成が凄く巧い。
八犬伝の後半の物語をバッサリ切って捨ててる(笑)あたり、また「うまいなあ」と唸らされた。
馬琴や北斎はとても人情味があって魅力的だった。
鶴屋南北もヌルヌルしてて素晴らしかった(笑)。
ああいう作品を書く以上はああいう破戒的な人物であってほしいもんね。
現実がすべてままならないからこそフィクションでは勧善懲悪を書きたい馬琴と、フィクションでさらにままならないリアルを拡大して見せたい南北と、対比が面白かった。
北斎はただ絵を描きたいだけ(笑)。
そういえば北斎はだいたい真っ黒な足で現れるので、笑ってしまった。
江戸っ子なんだから風呂へ行け!!(笑)
あとは寺島しのぶが、実にガミガミなおかみさんを演じていて、まあ、上手かった(笑)。
何をやらせても上手い女優さんだ。
これらの「ままならない」リアルに対して、『八犬伝』側の映像はけれん味たっぷりに描かれていた。
やってる役者さんたちがみんなアクションが巧くて、見せ方を心得ている感じ。
信乃と現八の屋根の上決戦はスペクタクルだったし。
悪役も実に悪役らしくてよかったし。
「フィクションだからこれでいいんだよ、これが楽しいんだよ」といった映像が小気味よかった。
最後に、『八犬伝』が完結したのは、奇跡のような出来事だったことが描かれる。
物語は奇跡のようなきらめきを伴うものだが、こいつはそも成り立ちが奇跡だった、と。
面白かった。
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