文化・芸術

2020年2月22日 (土)

【舞台】「ヘンリー八世」(彩の国さいたま芸術劇場、埼玉・与野本町)

時間が経ってしまったので簡単に(現在3/5)。

先にお断りしておくと、感想は好き勝手に思ったままを書くが、基本的にシロートの言にすぎないのであまり気にしないでほしい(気になる人は読まないでおくといいかも)。

今回の演出は、前回までのような「オレが、オレが」という我を抑えてあって、わかりやすかった。
ものすごく新奇なものはなかったが、とにかくわかりやすくて安心して見ていられた。
BGM以外は。

BGMが生演奏、って、使いどころは限定されていたのでセリフの邪魔とかにはならなかったんだけど、何しろボリュームが大きすぎる。
音楽ホールなら適当に音が拡散するかもしれなかったが、ここは違う。
あんな音量で流したら、電気的ノイズが妙に反響して、耳障りでしょうがない。
ボリュームを下げてほしかった。
そも、パイプオルガン的雰囲気を狙ったんじゃないのか、それならアコースティックじゃいかんかったのか。

幕間のとき、一階の吹き抜けのところで、オルガンとバロックチェロの演奏を聴いた。
どうもあとから考えるに、明日の発表会のリハーサルをしてたんじゃないかと思う。
つまりアマチュアの演奏だったんじゃないか。
でも、素直な演奏を聞いてて(たぶんバッハだった)、「これでいいじゃん。こういう音がいいんだよ」と思って癒されたのだった。
こういうBGMにしてほしかった(ワガママ)。

さておき、ほかは面白かった。

キャサリン妃は高貴でよかった。
『ヘンリー八世』におけるヒロインはやっぱりこっちだよなー。
欲を云えば、もうちょっと声量を上げていただけると……。

アン・ブーリンは、演者自体が役を解釈しきれていない気がした。
まあ、難しい立ち位置ではある。
どう解釈するかで、印象もがらりと変わるだろう。
今回は優等生的な演出だったのかな。

タイトルロールのヘンリー八世は、なぜだかパラノイアに見えて仕方がなかった(笑)。
もっとも、開幕から終幕までに奴のせいで3人の大物が死ぬわけで、あながちハズレでもないのかも?
考えてみれば変な脚本だ。
主役はタイトルロールの王様なのに、脚本上、時間をかけて描かれているのは、バッキンガム公、枢機卿ウルジー、そしてキャサリン妃という3人の死である。
それもみんな「失寵」による死と云っていい。
これに「千日アン」まで含めれば(舞台の出来事の数年後には斬首されるから)、4人の失寵による死を内包した脚本ともいえる。
しかも舞台のラストは女王陛下へのお追従である(どう考えてもお追従……「これは追従ではない」とか断ってたけどお追従以外の何物でもナイ)。
わからん(笑)。
変な脚本……。

まあ、あの当時に書かれた以上は、エリザベス一世バンザイ脚本になるのは仕方がない。
だがしかし、どうにもそのパパであるヘンリー八世が胡乱だ(笑)。
阿部寛は立ち居振る舞いも声もカッコいい……はずなんだけどなあ……喋りがカッコよければカッコいいほどになぜだか「この王様、狂ってるんじゃないか?」という印象がせりあがってくるという……なんとも不思議だった。
寵愛していた者を次の瞬間に平気で見捨てそうな危うさがあって、しかも自分は被害者の立ち位置を確保するという、そのあたりがパラノイアチックということなのか……?
だから、最後のカンタベリー大司教のくだりはちょっとホッとした。
「またか?」と思ったら違ったから(「また失寵による死者が?」と)。
そのカンタベリー大司教が女王陛下へのお追従を謳いあげるのはなんだか象徴的だった。

一度脚本を文字で読もうっと。
気になって仕方ない……。
(注文したのだがまだ届いてない)

全体に質の高い舞台だった。
笑いがきちんとちりばめられていたし、狂言回しの紳士たちはセリフも演技も達者だったし、権力闘争に明け暮れる貴族や神職どもはきちんとイヤらしかった。
(そのなかで王様だけが異質だった気がするが、演出の意図はどうだったんだろ。)
客席まで含めて縦横無尽に空間を使うやり方は、かつての蜷川演出を彷彿させる。
あと、最後に、観客全員で旗振りをしたのは楽しかった。
旗振りの音頭を取った役者さんは、セリフの感じやらタイミングやらがとても美味かったように思う。

なお、自分は運よく見られたが、結局コロナ騒ぎによってこの舞台も中途で打ち切られてしまった。
血のにじむような努力をもって準備してきただろうキャストもスタッフも、実に気の毒と云わざるを得ない。
残念だ。

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幕間で見た(聴いた)オルガンとバロックチェロの演奏。

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2020年2月 7日 (金)

【展示】日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」(東京国立博物館、東京・上野)

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東博で、楽しみにしていた「出雲と大和」の展示を見てきた。
おもに「出雲」サイドに期待。

開催趣旨は以下のとおり。

 令和2年(2020)は、我が国最古の正史『日本書紀』が編纂された養老4年(720)から1300年という記念すべき年です。その冒頭に記された国譲神話によると、出雲大社に鎮座するオオクニヌシは「幽」、すなわち人間の能力を超えた世界、いわば神々や祭祀の世界を司るとされています。一方で、天皇は大和の地において「顕」、すなわち目に見える現実世界、政治の世界を司るとされています。つまり、古代において出雲と大和はそれぞれ「幽」と「顕」を象徴する場所として、重要な役割を担っていたのです。
 令和2年は、日本が国内外から大いに注目される時でもあります。「幽」と「顕」を象徴する地、島根県と奈良県が東京国立博物館と共同で展覧会を開催し、出雲と大和の名品を一堂に集めて、古代日本の成立やその特質に迫ります。

「幽」ってアンタ……
「この世のすべてはおれっちが治めるけど、お前には常世(とこよ)とかでの権力認めてやるわ(そんなものが存在すればだがな!)」
っていうふうにしか読めないんだが。
大和朝廷、ひでえ。まったく尊崇の念が湧かないわ。施政者ってのはだいたいこういうペテン師である、と。うんうん。
(あるいはまた、「国譲り」となっちゃいるけど、詭弁を弄して慰撫に努めなければならないほど実は怨念やら祟りやらが酷かったとか……)

でもって、こんな取り決めをしたおかげで、天皇即位の折には出雲から宮司かだれかを呼ばないといかんようになっとるらしい(友人談)。
だからといって、出雲に伊勢ほどのお金が落ちてるとは思えないし、その程度のことですがね。

余談さておき。
いろいろと見ごたえのあるものが多かった。
とくに出雲の出品。
硝子の勾玉とか(めちゃめちゃ美しい)。
管玉とか(細かくて美しい)。
昔の巨大な柱の一番下の部分とか(信じられないでかさ)。

あと、荒神谷(こうじんだに)遺跡出土青銅器(銅剣・銅鐸・銅矛)から計189点、加茂岩倉(かもいわくら)遺跡出土銅鐸のうち30個が展示されていたらしい。
確かにたくさんあった。
そういえば2012年11月に出雲関連の展示が同じくここ東博で開催されて、荒神谷と加茂岩倉から出土したばかり(発見から1~2年後くらい?)の銅剣と銅鐸が展示されていた。
そのときは整理作業半ば、つまりクリーニングが終わってない大量の銅剣や銅鐸を見た気がする。
今回は当然クリーニング済みのものばかりで、銅剣や銅矛は破損が進行しないようにひとつひとつ保存用の台座に置かれていた。
綺麗になってからもあいかわらず見ごたえあるわー。

加茂岩倉遺跡の銅鐸埋納状況の模型っていうのもあった。
大きい銅鐸のなかに小さい銅鐸が入れ子になって埋められていたそうな。

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大和の側も、あまり見たことのない品々が並んでいて、興味深かった。
とくに七支刀(これはときどき見るけど)と、円筒埴輪が面白かった。
でっかいハニワだー。
結構力を入れて作られてる埴輪が多いなー。
鹿を見返りの構図にしちゃったりしてさー。
というように、埴輪パートはかなり楽しかった。

そうそう、法隆寺金堂の壁画の複製陶板が見られたのは嬉しかった。
レプリカでもいい、一度見てみたいものだと思っていたので。

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展示は、ボードの色分けによって出雲と大和の別が一目でわかるようになっていた。
説明文や映像資料も多すぎず少なすぎず、とてもバランスがとれていたと思う。
金曜の14時ごろ行ったが混雑も少なく、自分のペースで見て回れた。
なかなかおススメ。
物販コーナーもそこそこ楽しい。

▼公式サイトはこちら。東京では3月8日(日)まで。
https://izumo-yamato2020.jp/

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2020年1月10日 (金)

【展示】「ミイラ展」(国立科学博物館、東京・上野)

時間が経ってしまったので簡単に(現在1/22)。

ペルーのレイメバンバ博物館のミイラも出品されているというので、観に行った。

会場は、「1.南北アメリカのミイラ」「2.古代エジプトのミイラ」「3.ヨーロッパのミイラ」「4.オセアニアと東アジアのミイラ」という4ブロックに分かれていた。
ペルーのミイラはもちろん最初のブロックにあったわけだが、「南北」って……南アメリカのミイラしかいなかった気がするんだけど……(しかもほぼペルー一色)。

チャンカイなど南海岸部のミイラは、そもそもは遺体を放っておくとミイラになっちゃうだけで、エジプトのようにミイラを作ろうとして作られたわけじゃない。
まあ、ミイラ化することがわかったうえで埋葬しているのだろうけど。
ミイラの肛門に蓋をしてあったのが面白かった。

一方、チャチャポヤ=インカ文化のミイラは、海岸でなくアマゾン側、レイメバンバのコンドル湖のそばにそそり立つ崖の中腹から出土している。
湿度が高そうで、実際に霧が立つような環境らしい。
ただ、崖の中腹の高度はちょうど風通しがよくて、腐敗せずにミイラにできたらしい(土地の人たちがそれを知っててやっていたのだろう、と)。
実は、このへんの話を昨年のシンポジウムで仕入れてあったので、それも踏まえて鑑賞できたのはよかった。
レイメバンバもコンドル湖も素敵なところなので行ってみたいが、クルマで8時間かかるとか(湖はさらに馬で行く必要があったかも)。

古代エジプトのブロックはさすがに見ごたえがあった。
ミイラの作り方のビデオも面白かったし。
ただ、これまでに見た展示の繰り返しっぽいのは否めない。

ヨーロッパのミイラは、まあ、「偶然ミイラになっちゃった」やつばかりだった。
ミイラ文化はあまりないらしい。

オセアニアは、かつてのペルーと同じように、死者と生者の距離が近いようだった。
ある土地では死んだ人はミイラ化され、決まった場所に安置されて、何年かそこから生きている人々を見守る。
遺体が崩壊しちゃったらお役目終了で埋葬しなおすのだろうか(このへんがちょっとわからなかった)。
他にも死者の頭蓋骨を用いてオブジェのように飾るとか、いろいろ。

さて、わが日本にもミイラはいるが、日本は多湿でミイラづくりに全く向かない環境である。
ペルーのように「転がしておくとミイラになる」などとはあり得ない。
したがってミイラの点数もごくわずか。
そのなかで、江戸時代の本草学者のミイラというのがあって、これが傑作だった。
ミイラとしての完成度(?)も高いし、何よりこの本草学者は「自分の考案した方法でミイラを作れるはず」といって自分自身で実験したのだそうだ。
それを証明するために、子孫に自らの墓を暴いてよろしいとお墨付きを与えている。
ミイラは全体に赤い色で、これは柿の種(ホンモノの柿の種、タンニンが含まれる)を死ぬ直前に大量に摂取したのだろうということだった。
まあ、立派なミイラになっちゃって、ミイラのくせにどや顔してるようにしか見えませんことよ(笑)。

本来はその次(最後)に展示されていた「即身仏」の方が目玉だったんだろうけど、われわれは本草学者のミイラにすっかりまいってしまったのだった(笑)。

▼本展示のサイトはこちら。展示は2月24日(月・祝)まで。
https://www.tbs.co.jp/miira2019/

★追記: お土産販売コーナーのグッズはなんだかとても充実していた(笑)。

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2019年12月31日 (火)

【イベント】冬の祭典にご来場いただきありがとうございました。

とても時間が経ってしまったので簡単に(現在1/20)。
溜まってた昨年の日記がやっと片付いて、これで最後……。

当日はご来場いただきありがとうございました。

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今年の冬の祭典はわりと暖かくて助かった……。
昨年なんか座ってるだけでも吹き抜ける寒風に体温を奪われていた気がするが、今年はそういうことはなかった。

さて、来客は、古馴染みさんももちろんいらしたけど、今回は新規のお客さんが多かったような気がした。
マグネット付缶バッジの4個組みを何件か買ってもらったし(1個300円だが、4個まとめて買うと1000円でお得なのだ)。

新作のカレンダーはあまり出なかったけど……
新作の年賀ハガキはもっと出なかったし……
新柄のモロップ(イグアナの神)もあまり出なかったナ……

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↑あまり売れなかった新作カレンダー、アイアパエク様小図解。

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↑ほとんど売れなかったアイアパエク様の年賀ハガキ。やはり生首を持ってるのがイカンかったのか?

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↑あまり売れていかなかった新柄「モロップ」(イグアナの神)の缶バッジL。かわいいと思うんだけど。

まあうちのグッズは新柄を出したそのときによく売れるってものでもないから、ぼちぼち売っていくしかないか……。
グッズに関しては、かなりばらけて売れていった(特に一つのものが集中して売れるということはない)。
むしろ、夏に出した新刊『秘露妖怪小路』について、「どーせそんなに出ないだろ」と思って15部しか持っていかなかったら、売り切れてしまったのが吃驚だった。
さらに「新刊ありますか」とも聞かれたけど、もしかして『大妖怪カニ魔王』『秘露妖怪小路』に続く妄想冊子の新刊があるかどうか訊かれたんだろうか?(ガクブル)
さらに出さないとだめ?(笑)

来客数自体は少な目だったように思う。
前回もこんな感じだったから、東館が復活するまではこれが続くのかな~。
おかげで接客は余裕をもって行えた(はず)。
あと、今回は右隣のサークルさんがメキシコ関連(ムフフ)で、突っ込んだお話ができて楽しかった。

次回はゴールデンウィークで、新刊を用意するのはキツイかもしれませんが、懲りずに見にいらしていただければ幸いです。
2020年もよろしくお願いします。

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2019年12月23日 (月)

【舞台】新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」(新橋演舞場、東京・東銀座)

ものすご~く時間が経ってしまったので簡単に(現在1/17)。

オープニングが、泣きそうに美しかった。
お琴で奏でられる(たぶん)久石メロディーがまた胸に響いて泣ける泣ける(お琴と相性いいなあ)。
ここを見ただけでキャストとスタッフの本気の度合いがわかろうというもの。

全体に、凄い熱気だった。
キャストも凄いが、美術が凄まじい。
立体も平面も「これでもか」という具合に次から次へと繰り出されてくる。
何人か昇天されたんじゃないかと不安になるレベル(笑)。
それでもまだ「未完成」という感じがした。
だからこそ逆に、この演目を歌舞伎でやるのは案外いいかもしれない
ふつうの舞台は一回きりだけど、歌舞伎なら今後も上演される可能性がある。
そして上演を重ねるうちに完成に近づきそうな気がする。
そういうふうに、次に続くかもしれないと思うと期待したくなるのだ。

あとは覚えていることをぽろぽろと。
素人ゆえ当たらないことを書いてたらご容赦。

三幕めの最後にいわゆる宙吊りでメーヴェに乗るナウシカ(菊之助)が登場するのだが、これが凄かった。
最初は2本の足で立ってて(それだけだってあの高さはコワいと思うのに)、最後は足を後ろにあげて腕だけで支えるという、原作でよくやる飛行姿勢を再現したのだ。
左手で舞台上の村人たちに手を振ったりして(つまりこのときの支持は右手のみ)、体操選手か(汗)。

見ていて、右近の身体の使い方が上手いと思った。
必要なところでピタリと止められる。
松也はお疲れなのか、ちょい重心が上気味だったかも。
でもユパ(松也)とアスベル(右近)が虫使いたちとチャンバラするシーンは最初から最後まで見ごたえがあった。
水の使い方も素晴らしかったし、「やるかな?」と思っていたらちゃんと六方で退場してくれたし、敵方は何度トンボを切ったか何度水桶に飛び込んだかわからないくらい激しい立ち回りだったし、歌舞伎の醍醐味が盛り沢山な、サービス満点の場面であった。

クシャナ(七之助)が前半いまひとつノリが悪い感じがした。
それでも三幕めのナウシカとの会話は気概もリズムも感じられてよかった。
立ち姿はいつでも美しいし。
でももっと上手くできるヒトだと思うんだけどなあ……

などと失礼な感想を抱いていたら、夜の部に入ったら全員キレッキレになっちゃって、一切文句ございませんの出来栄え。
どうしちゃったの?(笑)

夜の部でいうと、庭の番人が女形と男の声とを切り替えて演技していて、すごくすごくよかった。
ここは原作以上に面白かったかも。

あとは、墓所の主とオーマとの戦いを獅子舞で表現したのは面白かった。
個人的には非常に納得できた。
このへんはさすがというか、引き出しが多い歌舞伎ならではかも。
クレバーな演出だと思う。

ほかにもいろいろあったんだけど。
書いてると終わらないのでこのへんで。

次回は歌舞伎座でやってくれないかな~(ワガママ)。
来年またやってくれたらまた観に行こうかな。
お小遣いを貯めておかなければ……。

 

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新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」ポスター。

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ツイッターなどでも話題になっていた引幕。世界観を表していて素晴らしい。

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通しで見るとどんだけ時間がかかったか、という証拠にパチリ。

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会場の新橋演舞場。次回は歌舞伎座でやってくれないかな。

 

 

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2019年12月14日 (土)

【イベント】「ペルーの文化遺産保護最前線」

ものすごく時間が経ってしまったので聞きに行った記録だけ(現在1/16)。

以下のイベントへ、聴講に行ってきた(頑張って寝なかったさ!)。
いろいろと興味深かった。
が、すでにアンデス文明研究会の講義で耳にしていた内容も多く、まるで予習してから臨んだような仕儀となった(笑)。
(アンデス研における情報の速さに舌を巻いた)

カルロス・ウェステル・ラ・トレ氏の講演に出てきたチョトゥーナとチョルナンカップ遺跡に関する展示を、まさに2019年ゴールデンウィークの旅行中に見たのだと、この日に理解した。
楽しく見て回っただけだったけど、重大発見に関する展示だったのね。吃驚。
発掘地での地域コミュニティの視点に根差した活動の報告を聞いたが、凄かった。
遺跡の維持のために、まず地域のニーズを探って、水や電気を引くという……。
素晴らしい。

ソニア・エリザベス・ギジェン・オネエグリオ氏は、つい最近文化大臣になられて、しかもこのシンポジウムの一週間前くらいにクエラップ遺跡の崩落という大事故があって、来日中止になってしまった。
というわけで、関先生の代読&アドリブ補講だった。
レイメバンバには行ってみたいなあ。遠くて無理かなあ……。
ちなみに、国立科学博物館(上野)で開催中の「ミイラ展」には、レイメバンバのミイラが展示されている。

あとは、アンデス研でご縁を結んだ渡辺先生と福原先生にお目に掛かれて僥倖だった。

 

ペルー日本人移住120周年・日本ペルー交流年記念シンポジウム
「ペルーの文化遺産保護の最前線―アンデスの黄金、ナスカの地上絵、インカのミイラ―」
http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/rm/20191214

  • 日時:2019年12月14日(土) 13:00 - 17:20
  • 場所:東京文化財研究所 地下セミナー室(東京都台東区上野公園13-43)
  • 主催:国立民族学博物館、文化庁
  • 共催:文化遺産国際協力コンソーシアム、山形大学、金沢大学超然プロジェクト「古代文明の学際的研究の世界的拠点形成」、科学研究費補助金基盤研究(A)「アンデス文明における権力生成と社会的記憶の構築」(研究代表者 関雄二)
  • 協力:古代アメリカ学会、在日本ペルー大使館
  • 一般公開(参加無料/申込不要/定員110名[先着順])

 

概要

南米ペルーは、インカに代表される古代アンデス文明が成立した場所として知られ、日本人研究者も60年以上にわたって研究調査を続けてきました。
本シンポジウムでは、金製副葬品を伴う貴人墓や、世界文化遺産ナスカの地上絵、そしてインカ時代のミイラなど、近年の発見に触れるとともに、出土した遺構や遺物を地域住民とともに守り、活用する取り組みを紹介します。
文化遺産とコミュニティとの共生、そして持続的活用を模索する事例をとおして、21世紀における文化遺産のあり方を探りたいと思います。

 

プログラム

13:00~13:20 主催者挨拶・趣旨説明
13:20~14:00 基調講演「考古学を通した日本とペルーの文化交流」
 加藤泰建(埼玉大学)
14:00~14:50 「チョトゥーナ遺跡とチョルナンカップ遺跡 ― 調査、保存そしてコミュニティにおける価値付け」
 カルロス・ウェステル・ラ・トレ(ペルー国立ブルーニング考古学博物館)
14:50~15:20 「パコパンパ遺跡 ― 金製品の発見と地域文化遺産の保護」
 関雄二(国立民族学博物館)/ダニエル・モラーレス(ペルー国立サン・マルコス大学)
15:20~15:40 休憩
15:40~16:30 「レイメバンバ ― コミュニティを巻き込んだ博物館活動」
 ソニア・エリザベス・ギジェン・オネエグリオ(ペルー国立考古学人類学歴史博物館)
※来日中止、代読
16:30~17:00 「ナスカ ― 地上絵の調査、発見そして保存」
 坂井正人(山形大学)/ホルヘ・オラーノ(パリ第一大学)
17:00 - 17:20 挨拶:井口欣也

 

講演者プロフィール

ソニア・エリザベス・ギジェン・オネエグリオ(Sonia Elizabeth Guillén Oneeglio)※来日中止
【ペルー国立考古学人類学歴史博物館長】
ペルーを代表する自然人類学者。1997年にペルー北部アマソーナス州のラグーナ・デ・ロス・コンドレス湖に面した断崖で、数百におよぶインカ期のミイラを発見した。NGO を組織し、レイメバンバ博物館を建設。地域住民とともにミイラや考古遺物の保存に努める。

カルロス・ウェステル・ラ・トーレ(Carlos Wester La Torre)
【ペルー国立ブルーニング考古学博物館長】
ペルーを代表する考古学者。2012年にペルー北海岸ランバイェケ地方チョルナンカップ遺跡で、大量の金製品を伴う女性の埋葬を発見した。自らが館長を務める博物館で展示するとともに、地域住民と保存活動に従事している。

加藤泰建
【埼玉大学名誉教授】
専攻は文化人類学・アンデス考古学。1975年より東京大学アンデス調査団のメンバーとして発掘調査に参加。1998年より埼玉大学クントゥル・ワシ遺跡プロジェクトリーダーとして発掘調査、遺跡の保存修復などを行う。

関雄二
【国立民族学博物館副館長・教授】
専攻は文化人類学・アンデス考古学。1979年以来、南米ペルー北高地において神殿の発掘調査を行い、アンデス文明の成立過程を追究するかたわら、文化遺産の保護と活用にも取り組む。

坂井正人
【山形大学学術研究院教授、山形大学ナスカ研究所副所長】
専攻は文化人類学・アンデス考古学。1989年よりペルー共和国の考古遺跡で発掘調査に従事し、2004年よりナスカ地上絵に関する学際的な研究調査を行う。

井口欣也
【埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授】
専攻は文化人類学、アンデス考古学。1988年より東京大学アンデス調査団のメンバーとしてクントゥル・ワシ遺跡の発掘調査に参加。

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2019年12月 4日 (水)

【舞台】NODA・MAP「Q」(東京芸術劇場、東京・池袋)

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ものすごく時間が経ってしまったので簡単に(現在1/8)。

わけあって2回見に行った。
2回見ると構成がよくわかる気がした(お財布は痛かったけど)。

前半は「野田版ロミオとジュリエット」。
かつての遊民社時代を彷彿させる脚本だったと思う。
スピーディで言葉遊び満載、笑える箇所も多い。
ロミオとジュリエットは本家(シェークスピア)をしっかり研究してあって、ほとんどの場面が取り入れられていた(パリスが出てこないことを除いて)。
生半可な取り入れ方ではなく、「そうそう、こういう場面に続くんだよ」と見ていて納得できた。

後半は、ロミオとジュリエットが運よく生き返った場合に襲われる、もっと酷い悲劇のお話だった。
紆余曲折あって、ロミオが強制収容所に入れられてしまう。
ちなみにロミオは平家、ジュリエットは源氏になっていて、両家の戦いは源氏の勝利に終わる。
前半最後は「和平を結ぶ」って云ってたくせに結局この体たらく。
源氏の棟梁はグルメ三昧でぶくぶく太り、強制収容所の人々は黒パン一切れで飢えと寒さをしのぐ(実際にはしのげないのでどんどん死んでいく)。
別れ別れになった恋人どうしは、最初は互いのおもかげを心に秘めて生きているが、そのうちおもかげが死んでしまう。
現実の厳しさに、おもかげなど思い浮かべる余裕がなくなるから。

これは「強制収容所=悪」とかゆー単純な構図ではなくて、源氏にしろ平家にしろ末端の人々は結局トップに立つ人々に搾取されている、というお話である。
くだらない矜持で戦争を起こせば、結局のところしわよせはしもじもに来るのである。どちらの陣営にいても、だ。

運命の数奇により強制収容所から解放されなかったロミオが、最後にジュリエットに宛てた手紙を書く。
それを暗記した平平々(たいらのへいへい)がジュリエットの前でそらんじたあと、彼女は「愛の手紙を届けてくれてありがとう」と云う。
平々は応えて云う、「私にはとてもそうは思えません」。
それは絶望の手紙にしか見えないから、だろうか。
極限の状態に置かれると、人間性も剥奪されていく。
それは過去の事実から明らかだ。
権力者にとっては自らの権力を弄んでいるだけかもしれない戦争は、起こってしまえば個人の力では止めようがなくなるものであり、いずれの陣営においても兵士らの生命と人間性と個人性(名前)を搾取していくものだ。
情報は統制され(手紙は届かない)、救いは一切ない。
われわれは騙されてはならない。
安寧に敵を創り出してはならない。
悲劇を起こさぬように努めねばならない。

といった感想がぼこぼこ出てくるような重~い後半であった(笑)。

ロミオ役の役者さんは声の通りが悪くて、そういう意味ではいま一つだったけど、たぶん彼が起用されたのはどんな演技をしても観客が必ず彼の味方に付くからだな。
ジュリエット役は相変わらずパワフルでよかった。
清盛役も思う存分ステージ上を暴れまわっていた。
そして何より、役名のない群衆役の役者さんたちが、今回はいちばんたいへんだったろうと思う。
彼らの群舞のような演技の数々がなければ、これだけの完成度をものすることはなかっただろう。

ま、全部シロートの戯言です。ご容赦を。

追記。
いつもよりなんだか男性客が多いなあ、しかも割とお年を召した方が多い気がする、と不思議に思っていたのだが、もしかしてもしかしたらクイーンのファンだった??
クイーンにまつわる話かと思って観に来ちゃった??
確かにクイーンの曲の使われ方は非常に素晴らしかったけど、物語は全くクイーンではなかったので、感想はどうだったんだろう(笑)。
ちょっと気になる。

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2019年12月 1日 (日)

【展示】ゑいじう presents 2020創作カレンダー展(coffee & gallery ゑいじう、東京・四谷三丁目)

時間が経ってしまったので簡単に(現在12/6)。
しかも12月7日までだから、明日終わってしまう。。。

この日の夜、同じくここに出品している友人が在廊するというので、自分も予定を合わせて様子を見に行った。
今回は期限は守ったが、あまりの忙しさに郵送で搬入したものだから、会場がどうなっているのかサッパリわからなかったのだ。
(いつもは搬入のついでに、その時点での展示を見て帰る)

まずは自分のカレンダー紹介。

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2020年FDサイズカレンダーは、ペルーの北海岸の古い神さま「アイアパエク」(モチェ文化)の小図解である。
いつものように大きい文字版と、スケジュール書込み版の2種類ある(図柄は共通)。
破格の300円(もうこの価格設定、ホントに無理かも……)。

最近はあしたのんきさんのカレンダーを会社で使うのがブームだったんだけど、ない、ということで、他を調達。
のりぶぅさんのダジャレカレンダーにしてみた。
楽しそうだし、カッパがいるし(笑)。

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他、おまけの会場風景。
いろいろあるので、ぜひ足を運んでみてほしい。

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★2020創作カレンダー展は12月7日(土)まで!(最終日は16時までかも)
http://www.eijiu.net/
http://blog.livedoor.jp/eijiu/

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2019年11月27日 (水)

【舞台】「傷だらけのカバディ」(あうるすぽっと、東京・東池袋)

時間がめちゃくちゃ経ってしまったので簡単に(現在1/6……)。

劇団鹿殺しは以前からなんとなく気になっていたのだがなかなか観覧する機会を得ず、今回、身近な劇場での公演だったため、初めて見に行ってみた。

まあとにかくパワフルな舞台だった。
次々と怒涛のように繰り出されていく印象だ。
エンターテイメントということにきちんと向き合っており、歌あり踊りあり笑いありの演出に、ちょっぴりホロリな脚本。
全く退屈せずに時間を過ごせた。
勢いがあっていいね。

カバディ、というマイナースポーツを非常に真面目に勉強しており、それらしく見えるように舞台上で展開していた。
カバディなんて初めて聞く人ばかりの観客らにもわかりやすくルール説明を挟んだり、どこが魅力的なポイントなのかをさりげなくアピールしたり、上手い脚本だったと思う。
カバディはインドではどれくらいポピュラーなんだろう?
キャロムとどっちが有名なのかな?
などとつい個人的な思いにふけりながら見てしまった。
そういう思いにふけることができるのは、舞台上のカバディがリアルだった証拠だ。
(ちなみに最近、韓国のFacebook友だちがネパールでのスポーツレクリエーション大会(?)のポスターをシェアしていて、競技リスト中にカバディが載っていた。南アジアでは定番の競技なのかも。)

というわけで、とにかく面白かったので好印象である。
まあ、欲を申さば、最初から最後までアゲアゲだったので(面白いっちゃ面白かったが)個人的にはやや食傷気味というか、疲れてしまった(笑)。
息も止まるような静寂とか胸をえぐられるような悲哀とかとは無縁のステージだったから、そういった反対のものも取り入れたらどうなるのか見てみたい。
アフタートークで聞いた感じだと、今回の演出(菜月チョビ)はとにかく上げて上げて上げまくるタイプだそうで、もう一人の丸尾丸一郎が演出するときはもっと捻りを入れるらしいので、次は丸尾演出のときに見に行ってみるのがよさそう。
気になる劇団である。

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2019年11月25日 (月)

【展示】「驚異と怪異」展(国立民族学博物館、大阪・万博記念公園前)

ものすご~く時間が経ってしまったので簡単に(現在1/10)。

鞭杆の名古屋講習会に参加したついでに、国立民族博物館(みんぱく)まで足を延ばした。
開催中の特別展「驚異と怪異」展に興味があったのだ。

新たなるペルーの幻獣を仕入れられるかと思って行ったけど、その点については、メンディビルの首長人形「大天使」と、チャビンデワンタルの「ランソン像」(レプリカ)しか出ておらず、残念至極。
まあ、それはそれとして、いろいろあって面白かった。
やはり圧倒的に水関連の怪異が多い気がする。
異界なんだろうな、海とか河とかって。
人魚も、「アンデルセンの人魚姫以前はこういう化け物ばっかりだよねー(日本に限らず世界中で割とそう)」というのを再認識できた(笑)。

いろいろと面白かったんだけど、もう時間が経ちすぎて感想を思い出せない……。
印象的だったのは、日本で作られていた「河童のミイラ」とか「人魚のミイラ」とか「猫鬼の頭骨」とかのまがいもの(笑)。
いやあ、素晴らしい出来栄えですわ。
知らない人が見たら絶対だまされちゃうレベルの完成度。
偽物だと知りつつもあまりの出来のよさに買って帰った宣教師もいたとかいないとか。
ちなみにこれら妖怪の遺骸は、広島の三次もののけミュージアムに収蔵されているらしい。
今度行ってみたいなあ。

あとは2階の「聞く」コーナーが工夫されてて興味深かった。
もうちょっと違う例も聞きたかったな~(欲張り)。

そして最後に五十嵐大介のイラストが。
半分はこれ目当てで来てるって話がある……。
残念ながら五十嵐大介がらみのお土産は一つもなかった(売り切れていたらしい)が、それなりに堪能した。
ファイナルファンタジーに出てくる幻獣の展示もなかなかよかった(笑)。
こういうキッチュなところに手が届く展示はいいね。

その後、常設展示内の企画展「アルテ・ポプラル」を見て、アメリカ(主に中南米)の常設展示も少し見た。
一つの地域に関してはそんなに大量の展示があるわけではないのだが、全体でものすごいボリュームだから、「この分野を見る」って決めていかないといくら時間があっても足りなくなりそう。
時間があれば、音楽分野なんかじっくり見たかったな~。

▼撮影した写真はこちらのアルバムでどうぞ(主に「アルテ・ポプラル」展)。
http://tomatian.cocolog-nifty.com/photos/201911minpaku/

それにしても、万博公園は広々していいところだ……と、云いたいところだが、足首をひねったのが完治していない自分にとっては、駅からみんぱくまでの距離はちょっと辛かった(素敵な公園であることは間違いない)。
家族連れにはいいところだろうが、年寄りにはあまりやさしくない気がする……。
アクセス面がもうちょっと何とかならんのじゃろうか……ならんじゃろうな、学術方面にばかりケチケチしい今の財務省では……。

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