チャンバラがとてもチャンバラらしい舞台だった。
これから見る方はネタバレがあるのでここでストップ。
あと、先に断っておくと、全くのシロウトのフリーダムな感想なので、気に入らない部分があったら「所詮素人の戯言よ」と思って大目に見てくだされ。

主にチャンバラを見に行く舞台と思われる(笑)。
とにかく迫力があった。
殺陣もすごく工夫されてたし。
某NHKの最近の殺陣よりずっとイイね。
ただ惜しむらくは兵士らが似たような黒っぽい鎧を付けていたため各々の陣営がわからず、入り乱れると何が何やら混沌として見えてしまったこと(自分が真横の席で見ていたせいもあるかもしれないが)。
鉢巻とか、腰ひもとか、肩帯とか、なんでもいいから陣営ごとに色違いの布を付けるなど、衣裳にひと工夫してほしかった。
大友は白、毛利は青、島津は赤、みたいに。
陣営がはっきり見えれば、観ていてさらに迫力を感じられるだろう(ゴチャッとしなくなるから)。
セリフはだれも聞き取りやすかった。
とくに臼杵役の人が、セリフ回しが格別に上手かった(身体的な演技も)。
あー、ホームページに本名だけじゃなくて役名も載せてもらえないですかねー。
「なんていう人だろう?」と思ったときにチェックできないじゃないですか……。
ちなみに田原(たばる)役の先生目当てで見に行ったんだけど、以前より断然うまくなっててビックリするレベルだった(ご無礼つかまつる…)。
一皮むけた感じ(ご無礼の段、ひらにひらに…)。
いやぁ、本当に最初から最後まで「嫌な奴」でござったよ、ちゃんと(笑)。
総じていい役者さんが多かった。
あとは……女優さんが……もうちょっと一本調子にならないでくれれば……ごほごほ。
さて、本物の道雪は死んでて、でも「道雪がいる」というだけで戦が有利になるものだから偽の道雪を何人も拵える(死ぬたびに新しい道雪を作る)という、ラノベのような設定であったが、脚本はライトではなかった。
「すべては国のため」というセリフがあちこちで聞かれて、そのたびになんだかきまりの悪い思いがした。
なんとうそ寒い言葉だろう。「すべては国のため」。
そして当人ら(この舞台では臼杵、吉弘ら)が必死であるほど、まるで狂っているように見える。
何かを犠牲にすることは、それはあるかもしれないが、犠牲にしたそのことを正当化することはできないのだ。守りたいものが何であれ。
後日、Wikipediaを読んだら、脚本は史実をかなり改変し再構成してあるようだった。
小早川隆景と戦うのは立花山城の戦のあとのようだし、島津に大敗した大戦さには道雪は参加してないし、死因は病死だし、いろいろと(笑)。
まあ、物語としてはうまくまとまっていたし、あの場限りのリアルさはあったと思うから、それはそれでよし。
「なるほど~、『輿に乗って戦った』話を『実は百姓で馬に乗れなかった』話に転換したのか~、なるほどなるほど~」と楽しむべし。
それにしても、さすが九州は古い土地柄、人名が全然読めんわ(あとでWikipediaで調べたときに難しい名前ばかりで読むのが大変だった)。
「道雪」はともかく、「戸次鑑連」で「べっきあきつら」って、読めないから……。
▼この公演のサイトはこちら。チャンバラ好きな人はぜひどうぞ。10月6日(日)まで。
http://dousetsu.mystrikingly.com/
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