【イベント】山口拓夢×斎藤哲也トークイベント「短歌形式の哲学史・ユング入門」
代官山蔦屋書店で開催された対談を聴講してきた。
『短歌で読む哲学史』に続いてこの4月に『短歌で読むユング』が刊行されたことを受けての記念イベントである。
実はさほど期待していなかったんだけど、なかなかに面白かった。
司会というか聞き手の斎藤氏が非常に切れ者で、筆者の山口氏からいろんな話を引き出していた。
どうやって書いていったのか(短歌が先だったのか解説文が先だったのか)、なぜ短歌なのか(山口氏にとっての短歌とは?)、哲学史入門書としての独自性(既存の入門書は参考にせず自分の感性を信じて書いた件)などなど。
話の中で、短歌の専門家からのクレーム(「こんなのは短歌じゃない」「解説付けるなんて狡い」等々)があることに触れていて、これはビックリだった。
山口氏は別に歌壇で活躍しようとしているわけではなく、三十一文字にまとめたら小難しい思想もとっつきやすかろうと思って書いているわけで、そうした書籍の方向性を考えたうえで敢えて批判しているのだろうか。
そういう部分を理解力とか想像力とか云うんではないのか?
……まあ、同じ短歌として認められてるからこその反論と思えば、何も反応がないよりいいんだけど。
いずれ触発されて解説付きの短歌の本が出ちゃったら面白いかも?
思想を深く読み込んで「これだ!」というエッセンスを三十一文字にまとめるのは、私なんかからすると深淵を覗くような果てしない作業に思えるのだが、山口氏は果敢にも次回作の構想をすでに練っているらしかった。
(でも『短歌で読むエリアーデ』はちょっと……販売の際に訴求力が弱いんじゃないかと……心配……)
発行元の田畑書店からは次に発行予定の翻訳小説のプルーフ版をプレゼントされ、「こういう『聴講』も悪くないな」などと、かなり満足して帰ったのであった。
▼件の書籍。読みやすくおススメ。
『短歌で読む哲学史』(田畑書店) | 『短歌で読むユング』(田畑書店) |
▼件のイベントのサイト(もうないかもしれないけど)
hrrps://store.tsite.jp/daikanyama/event/humanities/8161-1412450710.html
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