« 【イベント】渋ノ怪市(6/1~10、於・東急ハンズ渋谷店) #大怪店 #渋ノ怪市 | トップページ | 【グルメ】牛の家の「豚トロセット」950円 »

2019年6月12日 (水)

【舞台】三谷歌舞伎「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)」

時間が経ってしまったので簡単に(現在6/25)。

みなもと太郎の『風雲児たち』より、大黒屋光太夫がロシアへ漂着して、苦労したあげくに帰国するお話。
三谷幸喜の作・演出による新作歌舞伎で、「満を持しての歌舞伎座初上演」である。
以下、ネタバレがあるので「ネタバレ嫌」という方はここでストップ。


全体に歌舞伎らしさを活かした演出で、たいへん面白かった(実は地味にお囃子連が素晴らしかったかも)。
まぁ、三幕目のお涙ちょうだい節の連続がちょっと鼻に着いたけど(私にはウェットすぎる)、総じて演出はよかった。
演技もよかった。
とにかく幸四郎をはじめとする役者さんが、みんな楽しく生き生きと演じているのがいい。
こちらにその熱が伝わってくるような勢いがあった。
そして相変わらず猿之助はメチャ上手い。役者をやるために生まれてきたような男じゃ……。
吃驚したのは白鸚。あんなに声が朗々として聞きやすいとは。結構なお歳のはずだが……凄い。なんというセリフの聞き取りやすさ。ポチョムキンも強く厳しく軍人らしい存在感があって、圧倒された。

いろんなところで「あっ」と思わされたけど、わけても犬と白樺の演出が秀逸だった(笑)。
犬が出てきた瞬間、会場の空気ががワッと湧いた感じがした。
みんな、あのもふもふの着ぐるみに触ってみたかったのでは?(私ゃ触りたかったなあ……)
続く白樺による「走ってるんだよ」という演出も、非常に歌舞伎らしくて、見ているのが楽しくなった。
あの場面を見るためにもう一度行きたくなるくらい(笑)。

オホーツク、ヤクーツク、イルクーツクと広大なロシアを進んでいく(このへんの「ツクツク」な語感は聞いていて楽しい)、その行程に笑いを散りばめてはあるものの、どれだけ進んでも帰国の許可をもらえずに「もっと中央へ行け」とお役人からたらい回しの目にあわされる過酷さ。
その繰り返しは、当時、外国に漂着して日本へ帰るということが、ほとんど不可能なぐらいの難事業であったことを表している。
そして道中、次々に死んでいく仲間たちの、その死因の半数以上が「脚気」(一種の栄養失調)というのがまた残酷きわまりない(正しい知識があれば防げたかもしれないから)。
一本マストを命じたり(難破の原因)、肉食を禁じたり(脚気の原因)、これって全部家康が悪いんじゃん(舞台上でもそう云ってる)(笑)。
そうした苦難のなかにあって大黒屋光太夫が帰国できたのは(舞台上では日本へ向かう船上で終わるが)、「みんなを連れて必ず日本に帰る」という意志と希望を強い心で持ち続けたからだ、という一本のスジみたいなものが伝わってきた。

非常に質の高い、それでいて笑うところは楽しく笑える、魅力的な舞台だったと思う。
これからシリーズとして「三谷歌舞伎『風雲児たち』」を年に2回くらい、やってくれないかなあ(年に1回でもいいです、お願い)。

余談だが、歌舞伎座の1階売店で売っていたピロシキとプリンが美味しかった。
特にピロシキ。揚げ立てで非常に美味。
この演目の間だけなんてもったいない(「ロシア」がらみで売ってたのネ)、定番メニューにしてくれればいいのにと思うくらい美味しかった。
目も耳もお腹も大満足の午後であった。

追記:一緒に行った友人は原作『風雲児たち』の大ファンだが、舞台を見て、それぞれの表情やポーズが「原作によく似てる!」と感動していた。みなもと太郎ファンも存分に楽しめること請け合いの一作(さすが、演出家本人が大ファンなだけある)。

20190612kabuki1
20190612kabuki2
20190612kabuki3
20190612kabuki4

|

« 【イベント】渋ノ怪市(6/1~10、於・東急ハンズ渋谷店) #大怪店 #渋ノ怪市 | トップページ | 【グルメ】牛の家の「豚トロセット」950円 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【イベント】渋ノ怪市(6/1~10、於・東急ハンズ渋谷店) #大怪店 #渋ノ怪市 | トップページ | 【グルメ】牛の家の「豚トロセット」950円 »