【映画】「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」
ストップモーションアニメ。
あらすじだけ読むと「どんなトンデモ話だ!?」とおののくが(笑)、見てみたら極上のファンタジーだった。
じゃあ、あらすじの書き方が悪いのかってーと、実のところ「あらすじの通り」なので直しようがないのであった(笑)。
あらすじ クボは三味線を奏でることで折り紙を自由に操ることができるという、不思議な力を持つ少年。かつて闇の魔力を持つ祖父に狙われた際に父を亡くし、片目を奪われたクボは、最果ての地で母と生活していた。しかし、闇の刺客に母までも殺されてしまう。両親のあだ討ちを心に誓ったクボは、面倒見のいいサルと弓の名手であるクワガタを仲間にする。
ほら、読むと「なんじゃこりゃ!」ってなるでしょ(笑)。
でも違うのです。
ニンジャスレイヤーではないのです。
むしろ「かぐや姫」とか「ももたろう」とか「一寸法師」とか、そっちの世界で考えるとわかりやすい。
そして脚本が素晴らしい。
決着の付け方が最高。
この舞台に日本を選んでくれてありがとうと云いたくなる、近年まれにみるユニークで秀逸なラストだった。
以下、ネタバレがあるのでまだ観ていないかたはここでストップし、回れ右してそのまま観に行ってください(まだ上映してるよ)。
以下、とりとめのない感想。
まとまってないので、読んでも役に立たないかも。
そもそも、なんでこれを「ストップモーションアニメ」でやるのかね(ガクガクブルブル)。
CGじゃないんですよ?(多少は使ってるだろうけど)
たぶん、何も聞かずに見ると「3DCGかぁ」とだまされるレベルの滑らかさだった。
画面もキャラクターもよく動く、それを人形を使ってちょっとずつ動かすとか、想像するだけで気が遠くなりそう……スタッフ全員マゾとしか思えない……。
声優、よかった。
日本のアニメに慣れた友人は逆に「慣れない」と云っていたが、英語はかなり聞き取りやすかったし、私にはGoodだった。
レイフ・ファインズってやっぱり上手いなぁ~(月の帝)。
どんな色でも自由自在に出す俳優だよね。
優しい声音も恐ろしい声音も高飛車な声音も不安な声音も。
クワガタがどこから出てきたか不明だが(笑)、サルは日本の昔話でほぼレギュラーを張る動物だから、採用されて当然って感じだ。
この作品に登場するサルも、賢くて器用でサルらしかった。
しかも戦いに強い!!
実に頼りがいのあるヤツなのに、クボが子供らしく衝突しちゃうところがおかしい。
クボの父親が、母親に云った一言(その一言で母親の世界が変わった)が興味深かった。
字幕では「君を探していた」、英語では「You are my quest.」だったと思う。
英語に詳しいわけじゃないものの、このフレーズは聞きなれなかったので、オヤと思わされた。
そういうふうに云うのかぁ。
相手を叩きのめすのではなく、かといって「みんな同じ存在、みんなナカヨシ」みたいに必然性のないままナァナァで済ますのでもなく、物語を語るということの働きをもってやさしい結末に導く本作は、武力的な(魔術も含む)力と怒りとで相手を打ち倒す話があふれかえっている今日において、貴重な「物語」だと思った。
ところで、月の住人が感情を持たないってくだりで「かぐや姫」を思い出したのは私だけではあるまい。
「かぐや姫」って非常にアレンジや論説の多い昔話の一つだけど、「かぐや姫が月の世界に帰るとき、人間らしさ(感情)を失っていく」って解釈の舞台もあったはず。
もしやそういうところまで脚本家は知ってたのかしらん。
そして、そうした感情を持つまいとする月の住人達の姿は、「他者」(ないし「世界」)に接することで自分が喜んだり落ち込んだりして「揺れ」てしまうこと、自分が変化してしまうこと、そういったことを恐れて安寧を保とうとするような「逃避」の姿に重なって見えた。
だから、なぜ祖父がクボの目を奪おうとするのか、その理由をクボが口にしたとき、自分としてはとても腑に落ちたのだった。
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コメント
自分のフルネームを検索したら、ここが上位にヒット。なつかしき個展の紹介ページに飛んだ。2018カレンダーを作ったのだが、JANコードが付いてないので店売りが出来なくて大量に余ったよ。アマゾンで売ってもパラパラ程度。旬のものだし何かいい方法ないかな。アマゾンで「超大カレンダー」で検索して見てください。
投稿: 萬坊 | 2017年12月14日 (木) 14時17分
お久しぶりです。お元気そうで何よりです。
残念ながら、いい販売方法は自分の周りではナイですね……。
ギャラリー系のカレンダー展は時期的にもう終わってるし、
手売りは「細々」としか出ません(少しでも売れればいいほう)。
流行りのメルカリに出品するとか、だめでしょうかね?
投稿: 苫治安@管理人 | 2017年12月15日 (金) 00時31分