すごく時間が経ってしまったので、簡単に(現在11/16)。
「七宝、金工、牙彫、木彫、陶磁などの明治工芸と、現代アートの超絶技巧がコラボレーション。明治工芸を産み出した工人たちのDNAを受け継ぎつつ、プラスαの機知を加えた現代作家の作品に瞠目すること間違いなし!」
とのこと。
芸大の展示を見に行ってから、明治の工藝は気になっていたから、ここも行ってみた。
平日の昼間に行ったのに(17時で終わっちゃうから)、結構混雑していて吃驚。

高橋賢悟《origin as a human》アルミニウム/2015年。
撮影可能だった2品のうちの1品、現代作家の工芸品。
パーツの細かさを見るだけで気が遠くなりそう。
以下、写真が撮れなかったので、思い出を箇条書き。
・七宝(明治)
芸大の展示でも見た、並河靖之の作品(有線七宝)を多く見られて幸せだった。
輸出品に必要な華やかさをもちながら、決して派手や俗っぽい感じにならないセンスの良さが光る。
そして何より、輪郭となる金属線の細さが、異様……。
なんであんな細かい模様を全部有線七宝でやろうと思うんだ……。
・漆工(明治)
柴田是真の《古墨型印籠》ってのが凄かった。
どう見ても「墨」にしか見えない。
しかも欠けてるその欠け方も、刻印が落とす陰翳の様子も、まったくもって墨にしか見えない。
でも木工で漆工……。
要するにトリックアートなんだけど、どーしてこんなもん作るし……。
・象牙の彫刻(明治)
いやもう、安藤緑山の野菜シリーズでしょ。
てゆーか、ここに来た半数以上のヒトがこれ目当てでしょ。
本物にしか見えないバナナ……皮を剥いてあるところがミソ(果肉のふわふわぼさぼさ感がそのまま再現されててキモチワルイくらい……)。
本物にしか見えないパイナップル……サイズは小さ目だが、間違って包丁入れちゃいそう。
本物にしか見えないキノコ……マツタケが超美味そう。
本物にしか見えないキュウリ……何がイヤって、胡瓜の花が萎れている感じとか、枝の先っちょの切り口と色が本物をもぎとったあとの様子にそっくりなところ。
いや~……一見の価値あり、ですよ。ぜひ観に行ってほしい。
・自在(明治)
だ~か~ら~、なんで鉄製の置物が可動だったり変形可能だったりしなきゃならないんだ。
これは日本人男子の病(やまい)なのか?
もはや不治の病なのか?(そうに違いない)
蛇だの鶴だのもう……パーツの数を考えたくない感じ。
・金工(明治)
正阿弥勝義というひとの香炉が素晴らしかった。
細工が細かくて、動植物の造形もしっかり。
お家にあったら楽しいだろうな(ヒント:銀製なのでお手入れが超たいへん)。
現代の部門で特に恐れ入ったのは、次の2点。
・山口英紀の《右心房左心室》
いや、おかしいだろ、これを水墨画で描くことがすでにおかしいって。
そのうえ「左右対称」とか、変だから。
でもって「完璧」だし。
つまりはものすごく細かいドット絵なんだよね、きっと?
でもそれを「水墨画」でやるのはおかしいって云ってんの(ガクブル)。
しかも車道の白線だのクレーン車だので「白い線」が綺麗に出てるのを見ると恐怖を感じる。
油彩は白色を上に重ねるけど、水彩では「白い色」が見えたらそれは紙の地の色でしかないわけで、つまりは引き算的な描画ができないと出てこないんだよ。
ああ、オソロシイ(笑)。
・前原冬樹の《一刻:皿に秋刀魚》
秋刀魚の骨の乗った皿を木彫で。
何を云ってるかわからんだろうが、本当にそうとしか云いようがない。
皿の縁がちょっと欠けてるところもリアリティーを増している。
でもってとってもイヤなのが、これが一木造りってところだ。
皿とサンマは一体成型、間に鑿を差し込んで彫ったとか彫らないとか(彫った)。
ホンモノそっくり。
食卓にあったら骨を捨てようとゴミ箱に持ってくレベル(笑)。
他にもいろいろ「げー」となる技巧の作品がいっぱい。
工藝はようやく日の目を見るようになったのかな。
もっと注目されて、後進が育つとよいなぁ。
不器用な私にはとてもできないので、外縁から見守っております(笑)。
▼この展示のサイトはこちら。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
最近のコメント