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2017年9月10日 (日)

【舞台】ILLUMINUS「NO TRAVEL, NO LIFE」(池袋演劇祭参加作品)


時間が経ってしまったので、簡単に(現在10/18)。
縁あって観に行ったもの。

衣装や小道具の使い方、そして場面転換がうまかった。
演者はみな真っ白な衣装を着ていて、その場その場で舞台の左右の壁にかかっているカーディガンや上着、下ばきなどを上から着用し、何人もの登場人物に成り代わる。
このやり方はわかりやすくてよかった。

椅子くらいのボックスをシーンごとに違うものに見立てるやり方も自然にできていたし(こういうシンプルな演出って好き)、場面転換もスムーズだったと思う。
ただし、写真画像の使い方には物足りなさが残った。
せっかく写真集を題材にした舞台なのに残念。

役者のセリフもきちんと聞こえるし、ナレーションには味がある。
しかして最大の難点は、「主人公に感情移入できない」という点にあった。
まぁヒトの好みはそれぞれなので、ある主人公にだれもが感情移入できるかっていうと、それは無理だろう。
じゃあどうするか、というところが練られていないのがネックかな、という気がするわけだ。
たとえば、主人公を好きになれなくても、舞台全体で自由を謳歌するような明るさがあれば、それを楽しむことができただろう(ちなみに「明るければいい」という意味ではない)。
そういったエネルギーの集約点となるものが足りなかった気がする。
それゆえ自分はカタルシスを得られなかったんじゃないか。

もう一つ、注文するなら、「登場人物の年齢がわからない」というのがあった。
みんな、もとの演者の見た目どおりの年齢に見えてしまう。
「見た目どおりになるのは当たり前じゃん」と思うかもしれないが、実はそうでもない。
壮年の男性がセリフとしぐさだけで艶やかな女性をイメージさせてくれる舞台に出遭ったこともあるし、これまで見たなかで(まぁ商業演劇ばかりだけど)上手い女優はセリフによる年齢の演じ分けも上手いことが多かった。
そういったところも表現できればもっとよかったな、と、思った。

と、いろいろ書いちゃったが、若い年代のお客さんにはすんなり入れる舞台なのかも。
隣席の若い女性は観劇中に何度も「うんうん」うなずくようにしていた。
素直に感激しているようで、ちょっとうらやましかった(笑)。
自分のような年取った、しかも自己と社会のかかわりをずっと考えてきた者にとっては、「まだまだ青いな」という舞台だったってことかもしれない。

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