【映画】『この世界の片隅に』
時間が経ってしまったので記録だけ(現在12/21)。
とりあえず、まだ観てない方はぜひ観に行ってほしい。
以下、若干のネタバレがあるかもしれないので、そういうのがお嫌な方はここでストップ。
特に「自分でいろいろ気づきたい」タイプのヒトは読むのを止めて、そのまま映画館へGO!!
敗北感ハンパない作品だった。
あんなに穏やかなのに(←作品が)……どうして………ああ、ナサケナイ(←自分が)。
別に映画を観るたびにその作品と勝負しているわけではないが、感想を言葉に直せないというのは自分にとって「敗け」なのである。
うう、口惜しい。
戦争の影はあるものの、恐怖やら悲愴やらがドラマチックに押し寄せてくる悲劇というわけではない(悲しみがないわけではない)。
ラストだって、(よくよく考えればいろんな問題を孕んでいるものの)「前向き=明るい」という意味では、明るい結末だったはず。
でもエンドロールが始まってから涙が止まらなくて困った。
云っておくが、エンドロールの映像だって「ほんわか」といった形容が合っているもので、ふつうならそれを見て泣いたりはしない。
その前の小さな悲劇で泣かずに、なぜそこで泣けるのか(本気で止まらなくて困った)。
なぜ?
必死で考えたけれど、結局わからなかった。
肝心な部分の感想を言語化できないなど、敗北以外のなにものでもない。チクショー。
コワくてもう一回観に行くことができないじゃないか……!!
お涙頂戴の路線では決してない。
全編通して描かれるのは「日常」であって、「ドラマ」ではない。
主人公は、最近の戦時のドラマで描かれるような「反戦主義という正義側に足を踏み入れている人間」ではなく、大本営のお達しを信じているごくふつうの素直な人間だ(善悪は別にして、そういう人間がいかに多かったか、そしてそれこそが「ふつう」だったことは、あなたのおじいさんおばあさんまたはひいじいさんひいばあさんらに話を聞くとわかるはず)。
事象によるカタルシスはなにもない(「終戦」すらそれになり得ない)。
目のくらむような視座の転回もない。
それでいて何かが胸に迫ってくる、これはいったい何なんだろう。
自分は常々、優秀な漫画(とりわけ少女漫画)にはリリック(叙情)が存在するものと考えているが、これはまさにそういう作品だった。
実は原作はまだ読んでいない。
でもこうの史代作品なら、絶対そのへんは外さないはず。
その叙情性まで写し取ったような映画だった。
そういやこれって「アニメ」だったね(原則、日記に書かない)。
でもキッチュ枠じゃない、完璧にノスタルジーな作品だから。
だから書き残すのだ、コトバに直しきれなくても。
残さなければもっと口惜しいではないか。
来年、まだやっていたら(やってるといいな)、もう一度観に行こう。
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