
足の悪いのを押して(友人につきあってもらって)、Bunkamuraでやっている浮世絵展を観に行った。
もう「若冲展」はどのみち観られないも~ん(最低で3時間待ちとか馬鹿馬鹿しくて(笑))。
それよりは有意義な時間の使い方をするんだもんね。
実際、この展示も非常に気になっていたものだし(国芳だし!)。
「これってイマで云えばメール好きのルーツでしょ」みたいな、現代に照らし合わせたかたちでの展示で、まぁちっとヤリスギ感はあるものの(笑)、面白かった。
ここのキュレーターはきっと「大英博物館展」に行ったに違いない(笑)。
各部にはタイトルが付けられていて、全部カタカナでルビが振ってある(そこんところがちとヤリスギだと……(笑))。
髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)
物怪退治英雄譚(モンスターハンター&ヒーロー)
畏怖大海原(ホラー・オブ・ウォーター)
異世界魑魅魍魎(ゴースト&ファントム)
天下無双武者絵(サムライウォリアー)
三角関係世話物(トライアングル・オブ・ラブ)
千両役者揃続絵(カブキスター・コレクション)
楽屋裏素顔夢想(オフステージ)
痛快機知娯楽絵(ザッツ・エンターテインメント)
滑稽面白相(ファニー・ピープル)
今様江戸女子姿(エドガールズ・コレクション)
四季行楽案内図(フォーシーズン・レジャーガイド)
当世艶姿考(アデモード・スタイル)
タイトルから内容はだいたい推察していただくとして。
カタカナルビの統一はヤリスギだと思うものの(「現代的」であればいいので、カタカナだけで統一する必要はないということ)、このスタイルの展示は面白かった。
「江戸時代から○○好き」という切り口により、浮世絵の魅力を直感で受け取ってもらおうというスタンスが成功していたように思う。
でもって、とにかく浮世絵の迫力が凄い。
肉筆画とたいして印象の強さや情報量の多さが変わらないのはおかしいよね、印刷物のはしくれのくせに……。
そしてどれを見ても楽しい。
ものすごい点数だったが(170点?)、見ている間中まるで飽きない。
(そしてこれらは全部ボストン美術館所蔵品……流出しまくり……にしても目利きイイなぁボストン)
構図や色などはもちろんいろいろ工夫されているんだけど、江戸の「粋」は「見立て」も含むところが凄い(まぁ江戸に限らず昔から「見立て」はこの国で好まれてきたワケですが)。
「だれそれのなになにという物語本を知っていなければわからない」ようなネタが、さりげな~く描かれていたりする(「さりげなく」も粋の条件かも)。
「あいつ、これをわかって着こなしてるな」と思われることが一番カッコいいことであり、役者絵も武者絵もその最先端のお手本だったりするわけだ。
でもって役者絵(当世風に云えばジャ○ーズのブロマイド?)やら、花魁の首絵(女性アイドルのブロマイド)やらの印刷には、エンボス使い~の、金銀箔押し使い~の、かなりの手間(つまりカネ)を掛けてあったりする。
……それだけ「売れた」ってことね。
確かに、江戸も平成もあまり変わってないかも……進歩がなぃ……?(汗)
基本的には国芳が好きなのだが(ちょっと巫山戯たところとか利かん気なところとか)、国貞も最後の一品でいっち見直した。
「当世六玉顔 調布の玉川」という、女性を描いた作品(「当世艶姿考(アデモード・スタイル)」のブロック)で友人が気づいてくれたんだけど、着物の柄が実は「手長猿」だった。
それこそ伊藤若冲ばりのまんまるな顔のサルを組み合わせた模様にしてあって、超・可笑しい。
もちろん「玉川」の「玉」に「玉のようなサル」を引っ掛けてるんだよね?(笑)
しかもこのサルがかわいい!!
かわいいよ、やるな国貞!!!!!(笑)
残念ながらこのサル図案を使ったグッズはどこにも売られておりませなんだが……あったら即買ったと思う。
てゆーか、個人的に図案化しちゃだめ?(笑)
サルがいなかったのと、グッズ売り場のレジが結構並んでいたのとで、ここでは「くに・くに展」専用ガシャポンを一回やって終わりにした。
運よく、猫じゃ猫じゃを引き当てた。
結構よくできてる(笑)。↓

正しくは《見立東海道五拾三次岡部 猫石の由来》より「踊る猫又」。
余談。
観覧後、「江戸の粋」の余韻に浸りながらカフェ・ドゥマゴのテラスで昼食を食べていたところ、浴衣を召した若い男性が二名、そのへんをぶらついているのを見かけた。
これが恐ろしいほどカッコ悪い。
浴衣の色柄がそもそも無粋なのは百歩譲って目をつぶるとして、その帯の色はないわ~……(不運なことに「くに・くに展」直後でこっちも目が肥えちゃってるから……)。
しかも二人とも歩き方が異様にカッコ悪い。
着物を着たときって、女性は不用意に大股で歩いたりすると無様に映るが(必ずしも大股=無様ではないが)、男性でも無様に歩くことができるとは知らなんだ~。
ただ普通に歩くだけでいいのに(女性と違ってハードル低いのに)。
思うに……カッコよく歩こうとしたがゆえに、却ってカッコ悪くなってたのかな。
とりあえずこの「くに・くに展」を見て、「イキってこういうこと」って勉強したほうがいいのでは(外面だけじゃなく内面的要素があることも含めてネ)、などと思ってしまったのだった。
そんなこと云うまえに自分の粋を磨けって?
自分が田舎者で無粋者なことは知ってるからいいんだもん。
自らの粋を標榜したいヒトは頑張ってください(笑)。

おまけの写真。
ドゥマゴで食べたランチ。美味しくてわりとリーズナブルだった。
最近のコメント