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2016年2月25日 (木)

【舞台】外組『刀が無いっ!』★友人の感想編(あるいは深遠なる解説)

以下、観劇に連れてった「新撰組大好き」な友人の感想をば。
自分の感想と一緒に載せるには長大なので、独立させました。
マニアならではの視点とかあって、解説にもなってて面白いかと思われ、オススメです。


20160225katanaganai



『刀が無い!》は、新選組の人物とその関係をとても丁寧に考察していたのがすごく印象的だった。あまたの創作物で描かれてきた隊士たちの像が過不足なく活かされ、「この人はこうであってほしい」というキャラクター付けがとてもよく描き出せていたと思う。

それに、狭い舞台を「屯所の部屋」や「池田屋の一室」という区切りと設定することで、場面転換を分かりやすくして、スレ違いに説得力を持たせていたことや、殺陣に奥行きや密度感を持たせていたのが実に巧妙だった。

シナリオとしてはちょっと三谷幸喜っぽ過ぎるかもしれない。でもその予定調和とそこへいくまでの大騒ぎは純粋に楽しさに繋がっているので、変に捻らなかったのは正解だったと思う。

巻き込まれ主人公が次々と襲ってくる不条理展開にひたすらノリツッコミを重ねていく演出は昨今のラノベなどでもお馴染みだが、ナマの台詞で聞くとテンポと説得力がとてもあって、終始雰囲気をアゲアゲなところも良かった。

そして随所に挿入されるネタや小芝居が、それぞれに技アリで気の利いたものばかり。それらが常に笑いどころを提供してくれるのだ。かてて加えて、そのネタ1つ1つがちゃんと「新選組の著名隊士(に、我々が持っているイメージ)像」に合致していて、あるものは「うんうん」、あるものは「ギャップ萌え~」、あるものは「こうきたか」みたいに、あくまでキャラクターの上に成立するものだったのはとてもすごいことだった。

何よりも、冒頭で一回外に振って『薄◯◯』で落としてから、一番違和感を覚えかねない近藤勇のドジキャラを描いて一気に世界観に持っていくツカミは秀逸だ。敵役の、「誰?」感も新選組ファンなら納得の落としどころでとても痛快だった。

敵役の「誰?」感についていえば、実際、「奥沢栄助=宮部春蔵同一人物説」はよく思いついたと思う。これでちゃんと考察のレベルで一連の混乱劇に収拾が付いている。まあ、厳密には池田屋で春蔵が死んじゃっちゃおかしいんだけど、その辺はその設定を持ってきた時点で「んなこたあわかってるけど、どうでもいいんだよ!」、つまり無問題である。

同時に、このシナリオでは序盤から徹底的に沖田総司を掘り下げないことで、「近藤=土方=沖田がキャッキャウフフ」というよく識らないみんなが考えがちな新選組像とは違った方向からスポットを当て、実は一番の常識人永倉新八を主人公たらしめることに成功した上に、一番有名なエピソードであるが色々物議を醸しているところの『池田屋戦闘中の沖田の喀血昏倒』エピソードを全く重要なシーンとして描かないで済ませるという離れ業に成功している点も見逃せない。

そして、最後に、土方 vs. 山南の関係性を随所に盛り込むことでこの喜劇と栄光の後に来る悲劇をチクチクと匂わせ、かつ副長山南が池田屋を含めて以降はほぼ目立った戦果を挙げられないままに終わった理由付けまで描き出してくれている。これは、ディープな新選組メイニア (mania) ならグッと来ずにはおれない、徹底したリサーチに基づくファンサービスであろう。

新選組の超顔役であるところの近藤勇像をぶち壊すのと引き換えに、他の隊士たちは徹底して『さもありなん』と思えるキャラクターとエピソードで綴り通した考察は、新選組メイニア的にも素直に喝采できる。


要するに、この構図は、『ガルパン』なのである。

『刀が無い! はいいぞ』

この一言を以って、誠に簡単ながら解説に換えさせて頂きます。


要約

壱:メイニアも黙らせる的確かつ深い考察に基づいた設定立て

弐:煩いマニア以外でも素直に楽しめる演出と展開

参:全体のテンポと殺陣が巧みで、舞台上の熱量がダイレクトに観客に伝わる小劇場効果の最大限活用

結論:『刀が無い!』はいいぞ

Q.E.D

追伸: DVD化切望。

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