行ったのは11月26日だがこちらで、そして行った記録だけ(現在1/7)。
非常に面白かった。
こんな面白い企画展示を断らなきゃならなかった日本の美術館って不幸……。
(永青文庫は細川家の半私物だからお大尽の一声で開催可能になったっぽいが、そうでなければ公安勢力が割り込んできて中止させた可能性もある)
エロだしグロいしもう「『赤裸々』ってこういうもののためにあるコトバなのネ」みたいな作品ばかり。
応挙だって北斎だって、名のある絵師はみ~んな手を染めてるのデス。
彼らもが情熱を傾けてやまない、魅力ある分野なのデス。
「いやらしい」とか(いやまぁ超絶イヤラシイですが(笑))、「気持ち悪い」とか(実際目に優しくないキモチワルイ絵も多いですが(笑))、その程度の半端な感情で退けてしまうにはあまりに惜しい作品群だった。
もう、その、情熱がね。
ほかとまるっっきり違います。
つくって、売って(儲けて)、楽しませるためには、物流だって社会システムだって(法律の網目をかいくぐるべく)イノベーション起こしちゃうような凄さなのである。
まぁ世界的にも最古の書物とかってエロ本らしいし、いまさらこのニンゲンの業を見ないふりしてもしょうがないよね(笑)。
とにかく絵師の気迫と、彫り師やら刷り師やらの職人気質の情熱と、いろいろ感じずにはいられない絵ばかり。
そして肉筆に負けず劣らずの、浮世絵(つまり版画、つまり印刷物)の精緻さと美しさと迫力。
だいたい印刷って肉筆に負けるものなんだけど(鑑賞者に迫ってくる度合いが違うというか)、最盛期の浮世絵は違うわ~。
エンボスはやるは、箔押しはするは、しかもいったい何版刷ってるんだい!!(汗)
袋綴じ加工で「お・た・の・し・み」みたいな演出をしたり、観音開きで驚きの趣向を凝らしたり、果てがない。
本展のラストに、ここ永青文庫所蔵の(つまりその当時に細川のお殿様が購ったのであろう)歌川国貞の春画本『艶紫娯拾餘帖』(えんしごじゅうよじょう)が展示されていたのだが、こいつがスゲェ。
それまでの春画本もかなり「キテ」いたが、こいつは集大成みたいなものだ。
使われている印刷技術のレベルの高さに度肝を抜かれた。
金箔押しは当然のこと、着物の紋様を色で刷ったあとにエンボス加工して(しかもその紋が細かい……彫り師が死んじゃう (>_<))、フルカラー印刷もかくやとばかりの版数を、ほぼ色ズレなしで刷りあげてある(緊張で刷り師が死んじゃう (>_<))。
もちろん、「これをやってやる」という気にさせる絵師の絵もいいんである(国貞の絵はカッコいいねぇ~)。
これが「本」だよ、一枚絵なんかじゃないんだよ!?(つまり何ページもあるんデスヨ?)
結局。
一番金かけて作れるのは、この分野なんだね、今も昔も。
「見たい欲」にかられてイノベーション起こすのもこの分野。
やたらめったら規制せずに(したって無駄だし)、生暖かい目で見守ってやるのがベストっぽい。
「お前もか応挙」な絵も、北斎の割と有名なタコの絵も(ちびダコがちょい悪で可笑しかった)、国貞の贅を凝らした春画本も、毒に塗れるような魅力満載で、面白かった。
物販のお土産グッズだけがちょいイマイチだったかな、面白くないわけじゃなかったんだけど(笑)。
何にせよ、見ごたえある展示だった。
余談だが、こういうモノを庇護するのが「お大尽」の役目だったわけで、それを細川の殿様は今生でもそのまま果たしたわけだ。
階級や貧富の差には反対の立場だけれど、今回この実績を見せられると、ううむと唸るしかなかったのが実情。
つーか、本来、東博とかで展示できればよかったんだよ! →冒頭へ戻る。
(永青文庫の古い建物も魅力的ではあったが)
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