【舞台】蜷川『ヴェローナの二紳士』(さいたま芸術劇場、埼玉・与野本町)
すんごいいろいろ感想があるんだけど、まぁ時間が時間なんで、行った記録だけ……(現在11/19)。
あらすじをちょっとでも知りたくない方はここでストップ。
最初から超超ネタバレなので。
ひでぇ脚本だった(笑)。
舞台は面白かったが、とにかくひでぇ脚本なのだ。
話はこんな。
ヴェローナに恋人を置いてミラノへ行かなければならなくなった青年紳士が、ミラノのお姫様に一目ぼれして(をい)、こともあろうにそのお姫様の恋人たる自分の親友を陥れてミラノから追放させちゃう。
ほら、ひどいでしょ。
お姫様が賢明なのが救い。
ちゅーか、女性陣がまともなのが救い。
男はひどいのしか出てこない(笑)。
さておき、あらすじの続きはこうだ。
男装してミラノへやってきた元の恋人は、青年がお姫様にセレナーデを捧げる場面を目撃して彼の心変わりを知る。めぐりあわせで青年の新たな従者として雇われ、お姫様に恋文を届ける役をやらされたりする。そのお姫様は青年には見向きもせず、追放された恋人を追ってミラノを脱出。姫を取り戻そうとする追手に加わった青年と従者(元恋人)、姫、そして追放後の途上で出逢った盗賊団の頭となっていた親友は森で再会。目の前に現れた親友を見て青年は「ゆるしてくれ」と身を投げ出す(をいをい、直前に姫を「力ずくで!」とか脅してたくせに)。その後、「じゃあ姫に関する権利をゆずる」と親友が口にするので(をいをいをい)、姫と従者が卒倒。その後、従者が「実は元の恋人です」と名乗り、元の鞘におさまって大団円……。
ひでぇ(笑)。
親友くんは悪いヤツじゃないのだが、最後に「自分の権利をゆずる」とか云っちゃうあたりでおおいに株が下がる(笑)。いい奴なんだが、実はKY。
そんなわけで観劇中も観劇後も主な感想は、「男って馬鹿ばっか」。
みょーなリアリティがあって、舞台上だけのこととは思えないところが厄介だ(笑)。
実は二回、同じ演目を見たのだが、一度目は「えーっ! えぇーっ!!」と受け入れがたい変節の連発に頭を殴られ続けて、半分くらいしか笑えなかった。
二度目はもうあきらめがついていた(笑)ので、最初から最後までゲラゲラ笑って過ごした。
最後の場面で、人心がコロコロ変わっていく(全部男だ!)のを目の当たりにすると、「ご都合主義的大団円」だなぁと思わされる。
もしかして、デウス・エクス・マキナってこんな感じだったの?
ミラノ大公も、ミラノ大公に気に入られている婿候補(親友のライバル)も、とにかく男はみんなみんなコロコロ立場を変えやがって(「さっきと云ってることが違う!」のがゴロゴロ)、「お前ら本当にそれでいいのか人間として?」と問いたくなるような展開なのだった。
笑える……というか、笑うしかない(笑)。
恐ろしいのは、そうした笑いを誘うセリフがアドリブなんかではなく、ほぼすべて元の脚本に書かれていることだ。
もちろん、云い方、間の取り方ひとつで変わってくるから、役者さんのセリフ回しが上手いってのもあるけど。
セリフのキャッチボールがとりわけ激しくて、そのへんが見どころだったかも。
役者さんはみんな熱演していたが、なかでも横田さんのパパたち(青年の父親とミラノ大公の二役)がケッサクだった。上手い人だなぁ。
もう時間がないのでこのへんで。
ああ、そうそう、リアリティを追及するにしても、ホンモノの犬はちょっと失敗だったのでは(少なくとももうちょっと個体を選ぶべきでは)。
犬好きの友人は犬をたいへん気の毒がっておりました。
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