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2015年4月28日 (火)

【映画】『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』


時間が経ってしまったので簡単に(現在5/21)。
ネタバレがあるのでまだ観ていない方はここでストップ。


よくわからん映画だった……(笑)。
何しろどこからどこまでが現実なのかサッパリ。
いや~、そのときは現実だと思って観ていてもあとで考えると「はてな?」だらけになっちゃうという……。
さすがメキシコ出身の監督、中南米幻想文学の伝統をきっちり継承している……のか?

マイケル・キートンは確かにすごかった。
彼の顔を見るたび危うさを感じずにはいられないのだ。
次に何をするかわからないという不安。
映画を見ているあいだ、ずっとその不安につきまとわれる。
ほぼドラムスオンリーのBGMがさらに足場の不安感を高めてくれる。

ドラムスのBGMは奇抜で面白かったけど、「メロディーなし」の映像がこれほど安らぎと縁遠いとは思わなかった。
どうも所在ないというか、落ち着かないんである(笑)。
まぁ、BGMのせいだけじゃないんだけど……。
打楽器オンリーはメシカのスピリットなんじゃろうか?(かつてメシカ(別名アステカ)には打楽器とごく少数の吹奏楽器(ほら貝)しかなかった)

カメラワークがまた……超超長回しで面白いんだけど、これまた不安感をあおってくれる。
どこに行きつくかわからないというか……。
(あとで読んだところ、ものすごく高度なテクニックで長回し風に編集したらしい。現実の長回し撮影はスポンサーに却下されたっぽい……)

リーガン(マイケル・キートン)を追い詰めていくきっかけとなったマイク(エドワード・ノートン)は、舞台上でしかリアルに生きられない男だ。
云ってみれば、舞台(虚構)を降りると自分という意識が希薄になる、凄くいい加減で下衆な男。
舞台でのみ輝く。
対してリーガンは、自分という意識が強すぎて、自分自身に押し潰されそうだった。
彼を一番追い詰めるのは彼自身だ。自分が本心で何を望んでいるかがわからない(したがって観客も彼が何を望んでいるか全然わからない)、だからいつまでたっても解決しない。
でもって、虚構上で限りなくリアルに生きる男と対峙しなければいけなくなった彼は、虚構にリアルな血を持ち込む愚行(奇跡)に出るわけだ。

そこまでしてやっと彼は自分自身から解放されるのだが、最後の行為(推定)がちと問題で、自分自身からの解放が肉体からの解放をも促したのか、それとも解放されて本当に飛んじゃったのか、私には全然わからなかった。
いやむしろ、アンタはクラゲの夜に実はもう死んでたんじゃ……???
死んじゃってて今や心霊みたいな存在だから、サイが使えるとか?(笑)
あるいは全部が全部、サムがドラッグきめたときの妄想とか?
こんな感じで、どこからどこまでが現実なのか、サッパリわからないワケである。

まだ観ていない人で読んでる人がいたら(読むなって云ったのに~)、何を書いているか全然わからないと思う(笑)。
まぁ、見て損はしない……と思う(少なくとも出演者の演技の出来はすべて素晴らしい)……ので、気になったらご自分でどうぞ。

ただ、私的には、『ブラジル』と似たような空気を最後に(勝手に)感じてしまったので、たぶんもう二度は見ない(笑)。
(余談だが『ブラジル』は私の中で「金を積まれても二度と見たくない映画」の筆頭。ツラすぎてコワいんだもん。なんで映画見てあんなに絶望せなあかんのか)
友人は『アンチ・クライスト』と似ているように云っていたが、私はあれほどには作り手の悪意を感じなかった。

映像や登場人物の心同様、迷路のような映画だった。
ただBGMの響きだけがストレートだった。

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