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2014年10月 1日 (水)

【映画】「世界一美しいボルドーの秘密」 Red Obsession  #ボルドーの秘密 #RedObsession


日記を書くのが追いつかないよ~(>_<)。
これも昔の話なので見た記録だけ(現在10/31)。

あらすじ 何世紀にもわたって、富、権力の象徴とされてきた、世界一と称されるボルドーワイン。しかし、その繁栄の裏には、刻々と変化する世界市場とグローバル経済とが密接に結びついている。そして今、ボルドーは、大きな危機に直面している。欧米の伝統的な顧客は減少し、中国を筆頭とする新興国の富豪によって、ボルドーは凄まじい価値まで押し上げている。2013年に赤ワインの消費量が世界一となり、すべて“を手に入れようとする中国の需要に対し、果たして伝統あるボルドーのシャトーたちは、この状況にどのように立ち向かうのか。移り変わる時代の中で、世界最上級の品質と誇りを維持してきたボルドーの知られざるワインビジネスと、ワインに熱狂し、魅入られた人々の姿に迫るーーー

「このあらすじじゃわかんない」という方は、こちらへどうぞ。
↓どういう映画であるか、非常によくまとまっている。
フードウォッチジャパンの紹介記事

ドキュメンタリー映画である。
ボルドーワインに取り憑かれた人々の映画である。
きっと「妖怪ボルドゥ」とかって強力な妖怪がいるに違いない(世界で起きるすべてのことは妖怪のしわざだからネ)。
妖怪の存在非存在はともかく、「憑かれた」という字がピッタリであることは疑いない。
原題も「Red Obsession」だしね(obsession ... 〔頭から離れない〕強迫観念、妄想、〔人が強迫観念に〕取り憑かれていること)。

ボルドーワインの歴史や、経営者の誇り、生産者の愛情などが語られていく一方で、現在ボルドーワインが直面している社会的経済的現実が暴露されていく。
その「現実」とは、中国の消費参入により、バブルを迎えている(いた?)ということ。
2010年には5年前の倍以上の価格になったらしい。
ただし、中国で求められるボルドーワインとは、ほぼ「ラフィット」と「ラトゥール」のみ。
この二つのブランドが、中国マーケットにおけるブランディングに最初に成功したわけだ。
でもって世界最大のワインコレクションは「大人のオモチャ」事業で成功した中国人大富豪のものになってたりする(この大富豪の飼ってる猫がかわいかった)。

あとでいろいろ読むと、こうしたボルドーワインは「わいろ」に使われるんだって。
この映画中でもすでに価格は下落して、ボルドーワイン市場には影がさしていたが、現在はもっと厳しい状況らしい。
習近平体制下の腐敗防止キャンペーンで、公務員が公金で上司への贈り物を買うのが禁止されたため、中国のボルドー輸入は減少しているんだそうだ。
価格上昇で欧米の愛好家たちが離れていっている今、新規の(そしてメインの?)顧客である中国に買い渋られたらかなりの打撃だろう。
いずれにせよ、中国勢力はこれからもボルドーワインを翻弄し続けるのだろう(原題のRedはワインの赤と中国の両方を指す)。

そういうボルドーワインを取り巻く複雑でグローバルな経済状況をわかりやすく見せてくれる一方で、ワイナリーのワインに対する愛情も描き出されており、そこは観客としてちょっと安心できる部分である。
たとえば、シャトー・バルメのCEOだったか、作柄のよくない年に「今年のブドウは内気で、注意して耳を傾けないとメッセージが聞き取れない」ようなことを大真面目な顔で云っていた。
そういうところは「職人魂」を彷彿とさせてくれる。
また、シャトー・ペトリュスの顧問のワインに対する熱愛ぶりは半端じゃなかった。
そもそも飲むのが好き(笑)。
お客と一緒にランチでマグナム(!)ボトルを3本空けたとか云うんである(笑)。
その彼も、優れたワイン造りに必要なのは、天候より技術より何より「愛情」だと言い切る。
こうした場面を通して映画は、ボルドーはマーケティングにうつつを抜かしているだけじゃない、そこには何に翻弄されようとも変わらない「魂」があるということを、信じさせてくれるわけだ。

もう一つ、ワイン熱が高まった中国で、自国でワインを生産する試みが始まっているらしい。
ウィグル自治区の砂漠を使って、ブドウ栽培をしているようだった。
「何もかも自分のものに」的な貪欲な話かと思ったら、ボルドーで修業したという中国人責任者が出てきて、彼の話を聞くかぎりはとても真面目に誠実にやろうとしているみたいで、素直に「がんばれ」と応援したくなる感じだった。
中国国内のボルドーワイン熱が冷めても、国産ワインは軌道に乗るといいな(砂漠の緑化にならんだろうか)。
なお、彼がそこで作ったワインは、英国のワイン雑誌かなんかが主催するワイン大会で、ブラインドテイスティングによって優勝したらしい。

まぁ、とにかく面白いドキュメンタリーだった(食べ物関連のドキュメンタリーってやっぱり面白い(笑))。
しかしまぁ、ワインに詳しくない自分が云うのもなんだけど、美味しいワインってボルドーばかりじゃないと思うんだけどねぇ。
名も知れないワイナリーや修道院のワインだって美味しいものはあって、人ひとり幸せにするくらいの力は持っているものですよ。
それもリーズナブルなお値段でね。
そんなふうに思うのは庶民ゆえなのか。


▼読んで面白かったレビュー
ワインレポート: 中国が投影するボルドーの光と影、映画「世界一美しいボルドーの秘密」

ワイナート: ワイン生産者の顔をもつ映画監督が描く、映画「世界一美しいボルドーの秘密」の撮影裏話(前編)
ワイナート: ワイン生産者の顔をもつ映画監督が描く、映画「世界一美しいボルドーの秘密」の撮影裏話(後編)

▼この映画の日本公式サイト
http://www.winenohimitsu.com/index.html

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