【舞台】「小指の思い出」(東京芸術劇場、東京・池袋) #小指の思い出
昔の話なので行った記録だけ(現在10/28)。
そもそもいい感想は持っていないから、ファンの方はここで読むのをやめるよろし。
野田秀樹の戯曲を「マームとジプシー」の藤田貴大という演出家が演出した舞台。
何が気に入らなかったって、BGMがうるさすぎ。
セリフがものすごく聞き取りにくかった。
せっかくの生演奏なのにもったいない。
しかしそもそもエレキ系の生音が鳴り響く中で長いセリフを通そうという演出が無謀なのでは。
しかもそれが「言葉遊び」をメインとする野田の戯曲ときた。
選択が間違っているとしか思えない。
役者は一所懸命演じているのだが、とにかくセリフが聞きづらい。
二人組(六月と正月)の女優は怒鳴るようにしゃべるし(声は大きいが実はセリフは聞きづらいまま)、セリフが聞きとれない以上は言葉遊びの謎解きも楽しめないし、なんかもう何を見ているのかわからん感じ。
俳優の中では、校長やらアサシンやらを演じた男性と、主人公である当たり屋の少年(三月)を演じた男性だけが、わりあいセリフを聞き取りやすかった。
(あとで調べたらこれは松重豊と勝地涼だったので、なんとなく納得)
自分はどうも音響の使い方がうまくない演出家はとりわけて好きじゃないらしく(串田和美とか)、この作品もそのパターンになりそうである。
演出家はお若い方なので、まぁ、機会があればあと一回くらいは見てもいいけど(逆にこんな批判する奴は見に来んでいいと云われそう)。
あとは、スタンスがきちんと決まっていない演出はあまり好きじゃないかも。
もうだいぶ時間が経っちゃったんでうろ覚えなんだけど、「母さん」が処刑されるときに、「妄想の子どもを殺さないために、現実の子どもを殺しただろう」と告発されて、「妄想の子どもを愛さずにいられなかった」と叫ぶようなシーンがあったと思うのだが、ここで何を伝えたいのかが全然わからない(役者さんたちのセリフには情感がこもっておりました)。
「現実の子どもを殺した」と静かに非難する側に肩入れしているのか。
それとも「妄想の子どもを愛さずにいれらなかった」ような「母さん」に同情しようとしているのか。
「その両方」というならまだわかるが、「どれでもない」みたいだったんだよな~、いわゆる「投げっぱなし」?
あなた(演出家さん)は私たち観客にメッセージを送りたくないのか?
私たち観客となんらのやりとりもしたくないのか?
スタンスが決まっていない、とは、そういうことだ。
ああ、もう、やめよう。
とにかく上手い演出家の舞台に甘やかされた私としては、久々に「金返せ」と思った貴重な体験だったのだったのだった。
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