夏の祭典のせいで忙しくて感想を書けませんでした、第3弾(現在8/28)。
一応ネタバレ含むので、まだ観てない方はここでストップ。
ヘンテコな映画だった(笑)。
イメージの誇張がすごくて。
セリフはすべてウィットに富んでおり、富みすぎちゃってむしろ我らには辛口(ドライ)に感じられるくらい(笑)。
イギリス式のユーモアが嫌いな人にはおススメしない。
私的には面白くて、好きですけどね。
物語の内容はこんな感じ。
舞台は1930年代、仮想の国ズブロフカ共和国。
ヨーロッパ随一の高級ホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」を取り仕切り、伝説のコンシェルジュと呼ばれるグスタヴ・Hは、究極のおもてなしを信条とし、宿泊客のマダムたちの夜のお相手もこなしていた。
ある夜、長年懇意にしていたマダムDが亡くなる。
彼女は遺言で「リンゴを持つ少年」の絵をグスタヴに譲ろうとしていたが、マダムの息子ドミトリーはグスタヴに母を殺した罪を着せようとする。
遺産騒動に巻き込まれたグスタヴ・Hはベルボーイのゼロとともに、秘密結社の力も借りて欧州大陸を飛び回るのだった。
ケッサクですよ、秘密結社(笑)。
映画にはいろいろと魅力的な「小道具」が用意されていて、「秘密結社」もその一つ。
もうこの秘密結社助力のくだりでは、ずっと笑い転げていなければならなかった(笑いすぎ?)。
気になる方は映画を見てください。
小道具その2。「ル・パナシェ」という香水。
グスタヴ・Hがいつもつけている香水だ。
脱走後に迎えに来たゼロがこれを「持ってこなかった」ことをなじるくらい、グスタヴ・H愛用の品というか、ほぼアイデンティティに等しい。
「そんな特徴的なものを着けてたら敵の追跡が簡単になっちゃうだろう」とかって庶民的思惑にはお構いなし。
粋な男はこれを着けねばならんのだ!(笑)
一種のセックスアピールかも。
小道具その3。「メンドルの店」のお菓子(コーティザン・オ・ショコラ、というらしい)。
脱獄道具の差し入れもできちゃうスグレモノ。
それは置いといて、かわいくて甘い甘い感じのする、見た目に「夢のような」お菓子。
私も食べたい(笑)。
作り方はサイトで公表されているんだけど、手間が多くて私には無理だ~。
だれか作ってくれないかなぁ~。
小道具その4。ポエム。
何を云ってるかわからんだろーが、何度も登場するのだ。
作者はグスタヴ・Hだったり、ゼロだったり、アガサだったり。
グスタヴ・Hのポエム朗読が始まるとホテルの従業員が食事を開始したりして、もうおかしいのおかしくないのって。
……この話は見ていない人にはサッパリわからないと思うので、気になったら映画を見てください。
これらの他にも、長すぎる梯子とか、急すぎる勾配の登山電車とか、かわいそうな猫の死体袋(預かり証付き)とか、仕掛けが満載なのだ。
加えて、役者がみんなイイ。
ウィレム・デフォーは滑稽で怖い悪役を演じていたし(パンチの応酬とかどうしても笑っちゃう)、ジェフ・ゴールドブラムはちょっと可笑しいけど苦み走ったカッコいい弁護士だったし(素顔からは想像がつかないくらい)、他の役者さんもちゃんとアイコン化しつつリアリティを持ってる。
何より、全員「滑稽だが」という枕詞付き(笑)。
実はそれは大道具小道具についても同じことが言える。
アイコン化するほど誇張されているが、映画からリアリティを削ぐようなことはしないという……。
それにつけても、レイフ・ファインズって、上手いな~。
ドライで洒脱でポエムを解する中年男グスタヴ・Hと、シリアス映画『イングリッシュ・ペイシェント』の主人公が同じ人間だとはだれも思うまい(笑)。
人格者では全然ないし(笑)、ヒーローでもない。
口にする言葉はほとんどが辛口かいい加減かのどちらかなのに、実は自分なりの正義と人情というウェットな動機で動く、人間臭い男。
軽薄さの裏に孤独が垣間見えることも。
ちなみに、別に「ほのぼの」な映画ではない(ホノボノ映画を求めて見に行くのは間違い)。
脱獄やら殺人(&猫殺し)やら差別やら戦争といったダークサイドも組み込まれている。
ただ、それでいて全編が「可笑しみ」で貫かれている感じなのだ。
ティム・バートンとは違うベクトルで「大人の童話」だったかもしれない。
まぁ、ここまでの感想も無粋なら、これ以上の感想も蛇足だろうから、この辺でやめよう。
とにかくおかしかった。
そしてものすごく久しぶりに「これぞ映画」と思える映画だった。
3Dじゃなくても、これは映画館で「映画」として見なきゃ。
まだ上映しているみたいなので、まだの方はよかったらどうぞ。
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