【展示】「貴婦人と一角獣展」(国立新美術館、東京・乃木坂)
六本木の新国立へ、フランスのタピスリーを見に行ってきた。
よくもまぁ無事に残っていたわという感じ。
フランスでいくつかお城を見たけど、高価そうな品で持ち出せるものはすべて革命の際に没収されたので、基本は「何もない」んだよね(笑)。
タピスリーも、大きすぎるもの以外は被害に遭っているはずで、6枚セットがちゃんと散逸せずに保存されているのはなかなか貴重かもしれない。
でもって、ちょっと話題(?)の音声ガイドも借りてみた。
『マルテ・ラウリス・ブリッケの手記』というリルケの詩の朗読を池田秀一さん(つまりシャア……)、作品の解説を池田昌子さん(メーテル……)が語るとゆー……。
だれだ、この企画考えたの……。
なかなか面白かった。
タピスリーは6枚のうち5枚がそれぞれ、触覚・味覚・嗅覚・聴覚・視覚を表すとされる。
西洋思想のお約束で、この世の物質に触れなければ働かない触覚が一番地位が低く、ものに触れず遠方まで及ぼせる視覚が最も高尚とされる。
で、その順番に並んでいた。
最後の一枚は「我が唯一の望み」と題されており、五感を超越する第六感としての精神あるいは知性を示唆するとされる一方、愛や結婚を意味するという解釈もできるとか。
これはどこに掛かっていたかがわからないとわからないんじゃないかなぁ。
修道院にかかっていたのなら「我が唯一の望み」は神との合一かもしれないし(五感どころか人間を超越するテーマ)、お城にかかっていたなら(紋章からこちらの可能性が高いわけだが)騎士道のかなめの一つである「愛」かもしれないし。
あれ? そういえば「どこそこの家のものと考えられる」とは書かれてたけど、どこに掛かってたかについては書かれてたか? 覚えがないや……(ホームページにも記載なし)。
なお、タピスリー自体は「絵」としての鑑賞にも堪えるくらい、技術的な完成度が高かったように思う。
これはやはり実物を見ないとよくわからないことなんだろうな。
タピスリー以外の展示物も含め、全体の展示から「これだけのものを作るのがどれだけ大変か」がわかったのも大きかったが、それ以前に実物を見ると「美しい」と思う。
(フランスで見た、色が半分抜けたような、大雑把なタピスリーの記憶と比較してる可能性はあるけど)
この展示は、展示物の点数が少なく、タピスリーのように大物がメインなので(つまり一点について同時に何人も鑑賞できる)、音声ガイドは「当たり」だった(ただし、全体であと3分短ければもっとよかった)。
もっと一方向に流れる長くて多い展示だと、音声ガイドは流れを止めちゃうから好きじゃない。
だいたい日本の美術館はいつ行っても混んでるしさ……。
ちなみに今回、最初にお供してもらうはずだった友人が行けなくなり、急遽一緒に行ってもらったガンダム好きの友人は、タピスリーのガイドを聞くたびに悶絶しかけていた(タピスリー以外にはシャ……池田秀一さんによる詩の朗読は付きません、あしからず)。
ガンダムファンは500円を惜しんではいけない……らしい(笑)。
展示点数は少ないくせに、なかなか満足度の高い美術展だった。
的を絞った企画勝ち、というところかな。
▼この美術展は7月15日(月・祝)まで。まだの方はどうぞ。
http://www.lady-unicorn.jp/index.html
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