【映画】「二郎は鮨の夢を見る」
アメリカの監督が撮ったドキュメンタリー映画。実際に見たのは昨日だが、こちらで。
知る人ぞ知る寿司店「すきやばし二郎」のドキュメンタリーだ。
アメリカではかなりの人気だったようだし、外国の人が日本の鮨を撮るとどうなるんかいなという興味が湧いて、観に行ってきた。
平日昼間のすいている時間帯を狙ったのに、満席。
箱が小さいとはいえ、もっとガラガラだろうと思っていたので、まずそこが驚きだった。
映画の内容は、二郎サンがいかに職人気質であるかということと、ミシュラン三ツ星を三年連続で取るほどの「鮨」をつくりだすのにどれだけの人々が関わって「すきやばし二郎」を支えているかということだった。
たとえば、タコは40分、塩もみしてから使う(他で食べるタコはゴムみたいだと二郎サン談)。
見習いは40分間ずーっとタコを塩もみしなきゃいけないわけ。
しかもこんなのはほんの一例にすぎない。
個人的に一番びっくりしたのは、寿し飯つまりシャリが寿司桶に全然くっつかないこと。
巻きずしなんかを作ったことがある人ならわかると思うけど、どうやったってごはん粒はまわりの器にくっつくんである。いやらしく。
器を先に濡らしておいても寿司酢を少し引いておいても換気扇回しても何をしてもダメ。
それなのに、「二郎」のシャリは最初から桶に一粒もくっつかない!!
なぜ!?!?!
なぜってそれは、ものすごくコシが強くて、全然粘り気のないお米を使っているからなのだ(たぶん)。
そのお米をふっくら炊き上げるために、ご飯釜には銅の蓋をした上で、さらに水を汲んだでっかい寸胴鍋を乗せて炊く。
つまり、並じゃない重量=圧力をかけて炊き上げてるってことだ。
まぁ他にもいろいろあるんだけど、書いているとキリがない(興味のある人は映画を見てください)。
個々の下準備を際限なく(ワタシから見ると「際限ない」デス)こなしてゆく「二郎」のスタッフはもちろん、上で述べたようなトンデモないお米を仕入れてくるコメの仲買人だの、いいネタを売ってくれる築地の仲買人だの(マグロはこの人、エビはあの人、というように分業してて面白い)、そうしたいろんな人々の支えがあって、最後にあのツヤツヤの鮨ができあがる。
つやつやてりてりで福々しい、宝石のような鮨が。
「二郎」を支える彼らのことは、エンディングロールで「ギルド」と記されていたそうだ(友人談)。
「ギルド」か、なるほどね~。
ちなみに、割と最初の方で下調べもせずに軽い気持ちで店にやってきた若者(?)が、「昼も夜も予約オンリー」「おまかせのみ(注文というシステムはない)」「最低3万円から」「おつまみなど、鮨以外のメニューはない」といったことを聞かされて、半ば逃げるように去って行ったシーンがあった。
「いっちょ行ってみっか」と軽いキモチで食べに行こうとする観客の浅慮が、その場面で早々にたしなめられていいかも(笑)。
逆に、「雲の上」ではなくなるのもいい。
実際に何がどうなっているか、店のシステムが事実としてわかるところは、米国人監督ならではという気がする(日本人監督だと変に遠慮して出さなかったりしそうな気がする……)。
もちろん、いろいろと重要な部分は秘されているのだけれど、写せる部分だけでしっかり映し出しているせいか、あまり不足は感じないまま自然に見られたと思う。
3万円から、か……(3万円から、だから、その日のネタによっていくらかかるかわからない……)。
自分にはちょっと……宝くじでも当たらない限り、なかなかご縁がないかも。
せめて映画で見ておいてよかったと思うことにしよう(笑)。
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