« 【舞台】「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹」ケラリーノ版(シアターコクーン、東京・渋谷) | トップページ | コミックマーケット83に参加します »

2012年12月19日 (水)

【舞台】「トロイアの女たち」(東京芸術劇場、東京・池袋)

すっかり一か月以上経ってしまったが、書くだけ書いておこう(現在2013年1月29日)。

この年末のクソ忙しい時期に3時間もの長い舞台はやらないでほしい……というのは、以下、12/13の日記と同文。

でも、これについては観たことを後悔する気は全くない。
舞台自体は非常によかったから(だけに、上記のくだらない不満が生じたのは余計なことだった。それがなけりゃ完璧だったのに)。

いやもう全然救いのない舞台で(エウリピデスの悲劇だからしょうがない)。
しかし、そう思ったってことは、逆にきっちり感情移入できたってことなんだろう。
セリフの3分の2は外国語だったのに。

俳優たちの構成は、日本人とユダヤ人とアラブ人。
言語でいえば、日本語とヘブル語とアラビア語か。
ヘカベーやカッサンドラ、アンドロマケーなどの名前の付いた役柄は、それぞれ一人ずつが演じるから、たとえばアンドロマケーはアラブ人だったので、セリフは全部アラビア語のものが耳に入る(もちろん字幕はあるけど)。
これに対して、コロス(コーラス)は3グループ用意されていて、日本人グループが日本語でしゃべると、全く同じセリフとユダヤ人グループがしゃべり、さらに同じセリフをアラブ人グループが繰り返すという手法だった。
まぁ……面白い手法だし、その意図はわかるんだけど……全部が全部そのパターンってのは、ちょっとうざい。
最後の方では一部だけ崩してあって、同じセリフを2グループだけで言い回し、少しずつずらすようなことをやっていたが、むしろ逆じゃないかな。
最初のうちはそうやっておいて、重要なところだけ3回繰り返す方が自然な気がするのだ、私的には。
これを工夫してくれれば、あと30分は縮められたと思うなー。
時間についてうるさいといわれそうだが、人間の大人が集中を持続できる時間は、本来、たったの「30分」ナンですヨ?

それはともかく、ちょっとだけ内容について触れておくと、有名な「トロイの木馬」作戦のせいでトロイの男は皆殺しにされちゃってて、女ばかりが残っているのだが、その彼女らにしてもギリシア人たちの捕虜になる運命で、希望なんかひとかけらもない。
そういう状況が延々と続く。
いやもう、手を変え品を変えて、延々と続く。

白石加代子はさすが。堂々たるヘカベーっぷり(亡国トロイの王プリアモスの妃ですな)。

あとはアンドロマケー(トロイの王子にして英雄だったヘクトールの妻)がよかった。
子供を殺されることになっての嘆きがひしひしと伝わってきた。
アラビア語で聞いていたはずなのに、思い出すときには脳内で勝手に日本語に変換されているほどだ。
そういえば、昔、四季の「アンドロマック」(仏語なので発音が違うが同一人物)を見たときには「頑なな女性だなぁ」と思ったりしたが、そりゃあんなふうに子供を殺されたら頑なになって当然だわ、と、実感。
むしろ、「どうしていつまでも打ち解けてくれないんだ」的なことを言っていたアキレウスの息子(名前忘れた)の神経の方がおかしいよなぁ、などと思い出したりしたのだった。

あと、メネラオス(奪われたヘレネーの本来の夫)がさりげなく披露するダメ男ぶりが楽しかった(笑)。
これも演じていたのはユダヤの人だから、ヘブル語で耳に入ってるはずなんだけど、ちゃんと笑えるんだよね。

コロスもそれぞれのグループで、同じセリフを表現する仕方が異なっていて、興味深かった。

よくなかったのは和央ようかくらいだ。
ファンには悪いけど、セリフが明らかに他の人と比べて下手。
しゃべり方がまだるっこしくてわざとらしい(滑舌が…)。
ただとても綺麗で、ヘレネーらしいといえばらしかったけど。

カーテンコールは二度だったか三度だったか、とにかくスタンディングオベーションで、最後は白石さんが蜷川さんを舞台上に引っ張ってくるほどだった。
面白かった。

蛇足ながら、劇もよかったが、この企画を東京芸術劇場に引っ張ってきた野田秀樹もさすがだと思った。

|

« 【舞台】「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹」ケラリーノ版(シアターコクーン、東京・渋谷) | トップページ | コミックマーケット83に参加します »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【舞台】「トロイアの女たち」(東京芸術劇場、東京・池袋):

« 【舞台】「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹」ケラリーノ版(シアターコクーン、東京・渋谷) | トップページ | コミックマーケット83に参加します »