これまた金曜の夜に観に行った。
日中はきっと入場制限とかあって並んでいたんだろうが、おかげで並ぶことなくすいすいと館内へ。
さすがにロッカーは全滅してたけどね!(笑)
非常にボリュームがあって、しかも内容も素晴しい。
見応えのある展示だった。
がんばってるなぁ~、東博。
平成館の建物の外見は気に入らないけど(本館や西洋館の方がだんぜんイイ)、中身(展示内容)は文句なく素晴しいわ(笑)。
さて、その中身。
まずは最初のブロックに展示されている、平安の仏画。
あんまりスポットを当てられていないけれど、個人的にはイチオシだ。
無名の絵師ばかりだが、絵を見ればわかる。
──うまい。
しかも、技巧に関係なく魅力的なのだ。
情熱的というのではないが、どの絵もそこはかとなく絵師のパッションが感じられて、見ていてとても楽しかった。
(そのせいで思いがけず時間をくってしまった(笑))
二番目のブロックは、目玉の一つ、「海を渡った二大絵巻」のコーナーである。
これはすごく混んでたので最後に回したんだけど、閉館20分前になってから並んでもなお混んでいた。
みんな、もうちょっと後ろの人のことを考えて動こうよ。
見たいのは自分だけじゃないんだから。
あれだな、こういう展示のときは、最前列は「動く歩道」にしてもらえるといいな(笑)。
さすがに逆走は恥ずかしくてできないだろうから、最前列は一定以上のペースで動かせる。
自分のペースで見たい人は二列目以後に並ぶの。
だめかな?(だめだろうな……)
そうそう、その巻物だが、「吉備大臣入唐絵巻」ってのがケッサクだった。
あらすじ
遣唐使としてはるばる海を越えてやってきた吉備真備(きびのまきび)は、唐でイジメにあい、まずは幽鬼の出る楼閣に閉じ込められてしまう。
実は出てきた幽鬼は阿倍仲麻呂で(ナゼ!?(笑))、一族の後見を約束してやると一転して仲良しに。
翌朝、彼が幽鬼に食われなかったのを見た唐の人たちは、次は試験でやっつけようとするが、吉備真備は味方となった幽鬼とともに超能力(!)で空を飛んで出題問題を盗み聞きしに行く(試験問題漏洩ですな)。
本来なら初めて見るはずの「文選(もんぜん)」なのに、吉備真備はちゃんと問題を解いてしまった(盗聴のおかげ)。
唐人たちは今度は囲碁で彼を負かそうと、自国の囲碁チャンピオンを用意。
吉備真備は楼閣の天井の格子を碁盤に見立てて練習するが、本番では結局のところ碁石を飲み込んで数を誤魔化して勝つ(つまりイカサマですな)。
唐人たちは吉備真備に下剤を飲ませて調べるけれど、吉備真備サマは超能力をお持ちなので、碁石を出さずに済みましたとさ(すげー超能力……)。
こうして吉備真備は無事に日本に帰り、文選(試験問題ね)や囲碁を日本に広めなさったのでした。
めでたしめでたし。
「って、唐で何も勉強してねーじゃねーか!!!!!」(笑)
という、ケッサク絵巻なのでございます。
皆様、お楽しみいただけること請け合いでございます(笑)。
それにしても……遣唐使たちってこんなにイジメられてたのかな?
そうでなきゃこういう絵巻はできないと思うんだけど(読者は、主人公が頓知?で相手をやり込めるのを読んで「スカッ」としたんだろうから)。
あと、絵巻物は巻物を少しずつ出したり巻き取ったりしながら読むものなので、明らかに遠近法的におかしいところとか結構あるんだけど、これは実際に巻いてある物を繰り延べていかないと良さがわからないんだろうなー。
ハガキは要らないから、巻物のレプリカ作ってくれたらよかったのにー!(すげー手間がかかるから無理だとわかっちゃいるけど)
というわけで、これも非常に楽しめた。
絵もうまいし、話はケッサクだし、必見ではある。
混雑だけ余計だね。
次のブロックは、初期狩野派。
狩野派って……猫科の動物描くのが下手だよね。
ジャコウネコが妖怪のようだった(笑)。
毛並みはふさふさなのに妖怪っぽいせいでかわいくない~。
それから、刀剣と染織(着物)のブロック。
太刀にしろ着物にしろ、現代では再現できないものも多いようで、圧巻だった。
特に着物は保存状態がよくて(つまり色が鮮やかで)びっくりした。
他の作品もそうだけど、実にいい状態で保管してもらっているらしいことがよくわかる(気候の関係とかで、日本にあるよりイイのかも)。
お次は近代絵画ブロック。
時間があまりないからすっ飛ばそうと思っていたのに。
おっ、こんなところに長谷川等伯の龍虎図屏風がっ!!!!!
虎がニセモノっぽくて、しかもかわいい(笑)。
等伯って、こういうヌケてる感じが好き。
ちなみにこの龍と虎は、みやげ物になって売られていた。
龍はともかく、虎が、わりかしうまく再現できていた(このパタンナーさん、上手いわ)。
等伯の虎の、なんちゅーか、「いい加減なところ」ってゆーの?
その感じがよく出てた。
ので、つい買っちゃった(笑)。
最後が、もう一つの目玉「奇才 曽我蕭白」の作品集。
よくも集めたわい。
雲龍図はやっぱりイイね。
その他の絵も迫力ある。
でも私は個人的に蕭白ってちょっと……もうちょっとヌケてる方が好き。
だいたいこの人の描く人物って、どれも「妖怪」みたいなんだもん。
と、愚痴ってたら、「蕭白はニンゲンが嫌いなんだよ」と友人に言われて、なるほどと納得したのだった。
というわけで、私のオススメは、
1.平安仏画
2.吉備真備入唐絵巻
3.等伯の龍虎図屏風
もう会期残りわずかだけど、お腹いっぱいになれる(二時間でギリギリ見られるかどうかの)オススメの展示だった。
▼公式サイトはこちら。東京は6/10(日)まで。その後、名古屋・福岡・大阪を巡回。
http://www.boston-nippon.jp/
最近のコメント