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2012年5月25日 (金)

【展示】インカ帝国展 マチュピチュ「発見」100年(科学博物館、東京・上野)

金曜だけ夜間も開いているので、そこを狙って行った。
土日はもちろん、平日の日中もすごく混んでるらしいから。
まぁ、いつもの金曜夜と比べると人が多かったけれど、それでもそこそこゆっくり見られた。
やはり展示は金曜の夜に限る(でもこっちも忙しいんだよね、金曜の夜って……)。

今回の展示は、かなり面白かった。
構成がよかったと思う。

実は、すでに山のようにたくさんあちらの文物を見ている身としては、展示されている品物はそれほど魅力的じゃない(面白いヤツももちろんあったが)。
でも「面白かった!」と思えたのは、展示自体がよかったからだ。
インカに支配されたチャチャポヤ人のミイラを出してきて、「葬礼までインカ式になってしまった」ことからインカの文化的影響力を示そうというあたりとか、上手かった。
葬儀ってのは、その文化の中核というか、わりと「最後まで変わらない部分」だからね。
このへんの構成がなかなか巧み。

先ほど、「展示されている品物はそれほど魅力的じゃない」と書いたが、それは、インカ時代のものになると文物のレベルが下がるからである。
明らかに作品としての質が落ちる。
スリップ(泥漿)を使った土器の絵付けはナスカに敵わないし、織物の多様さはチャンカイの方が上だし、立体造形や黄金の加工はモチェに遠く及ばない。
センスや創意工夫のレベルが落ちているだけじゃない。
どれもだいたい造りが「雑」なんである(笑)。

それが、インカという時代なのだ。

言ってみれば、「高品質な一点もの」よりも「妥当な品質の大量生産品」が重きを占めた時代なのだ。
たぶん、そう。
きっと、そう。
そうでなければ、あの水準の落ち方に説明がつかない(笑)。
自分は別に研究者なんかではないけれど、あながち間違っていないんじゃないかな。
そして、確かに個々の品質は落ちたけれど、一方では「庶民の手にまで同レベルの品が行き渡った」とも考えられるのであって、決して悪いことばかりではないのだ。
まぁ、こんなことをつらつら考えられるのも、これまで科博で南米シリーズの展示をいくつも見せてもらったおかげデス(モチェの展示はUCLAだけどネ)。
感謝感謝。

最後の3Dシアターはちょっと見るだけでいい(笑)。
それよりは展示そのものを飛ばさず順番に見ていこう。
そうすると、自分の中にストーリーができてくるはず(音声ガイドなしでOK)。
ということで、大人にも子どもにもオススメ。
そうそう、大人はぜひ最後のブロックにある感想掲示コーナーを見てほしい。
4~7歳くらいの子どもの感想を読むと、いろいろ楽しくて笑えます(笑)。

▼この展示は6月24日(日)まで。
http://www.tbs.co.jp/inkaten/

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