【読書】『塚原卜伝十二番勝負』 津本陽
書名:塚原卜伝十二番勝負
著者:津本 陽 (著)
価格: ¥ 760
頁数: 422ページ
出版社: PHP研究所 (PHP文庫)
ISBN-13: 978-4569674773
発売日: 2010/7/1
一ヶ月以上前に読み終わってたんだけど、今まで書くのを忘れていた。
あらすじ 若年にして香取神道流、鹿島古流の卓抜な兵法を会得した剣士・塚原卜伝。卜伝は、永正二年(1505)を皮切りに、生涯で三度にわたって諸国遍歴による武者修行の旅をした。他流派の猛者との実戦を重ねながらも生涯無敗を貫き通し、「一つの太刀」と呼ばれる一撃必殺の神技を我がものとした。一人の若侍が「天下無双の剣聖」と謳われるまでの名勝負の数々を迫真の筆致で描く、力作剣豪小説。
ええ……まぁ……なんとゆーか……まあまあでござる。
もとはといえば、NHKのBS時代劇「塚原卜伝」の出来があまりに悪くて、原本が気になって読んだのだった。
仮にも「剣聖」と呼ばれる人の役に、殺陣も武道もまるきりの素人を使うNHKの神経がわからん。
むしろ抜擢された役者がかわいそう。
なんか編集技術で穴埋めしようとした気配があるけど、全然なってない。
編集上でどれだけ技巧を凝らしたところで、下手なことは一目見ればわかってしまうのだ(ちなみに卜伝以外の役者さんも上手い人が少なかった)。
ましてや、昔の殺陣を見たことがあったり、どの分野であれ本物の演武を見たことがあったりすれば、お粗末さは全部伝わるものだ。
いろいろ脚本で工夫している部分があって、それはあとから「ああ、頑張ったのね」と思えるけど、とにかく殺陣がだめだと全部だめな印象(だって「剣聖」主人公の時代劇だから)。
二度とあんな時代劇作らんでほしいわNHK。
さておき。
そんな欲求不満のせいで原作を読んでみたわけだが。
そこそこ面白いといえば面白いけど。
剣戟部分は全然面白くない(笑)。
(友人に聞いたら、この著者の剣戟部分がつまらないというのは通説だそうで)
あとは日本語がうまくない。
特に段落の作り方が激しく下手。そのせいで読みにくい。
「いいネ」と思う描写もあるけれど、その一文を拾うために他の部分すべてを読まねばならんのはちょっと……。
(バルザックやクンデラなんかも始まりから8割は読むのが辛くて、最後の2割のためだけに読み進む面があるけど、最後の最後に到達する感動の大きさが比較にならない)
というわけで、再び消化不良を起こしているのであった(笑)。
他の人の書いた卜伝の小説を読んでみるべきじゃろうか……?
津本陽氏のファンには申し訳ないが、私個人としてはさほどおすすめできない。
面白くないわけじゃないんだけどね。
何しろ日本語が………。
もっとも、剣聖に関するものすべて読みたい人は読むべし。
あの「時代」を感じたい人も読むといいかもしれない(時代考証面はいいと思うから)。
▼この本はこちら
塚原卜伝十二番勝負 (PHP文庫)
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