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2012年1月の記事

2012年1月31日 (火)

【映画】「J. エドガー」(C. イーストウッド監督、L. ディカプリオ主演)

株主優待を利用して観に行ってみた。
面白かった。
イーストウッドの作品だからハズレはないだろうと思っていた、まさにそのとおりの出来。
何より、ディカプリオのフーバーなりきりっぷりが凄い。
喋り方とか、いろいろ研究したんだろうなぁ。
若い時代はともかく、70歳のころの映像をパッと見せられて、「レオ様」だとわかる人間がどれくらいいるだろうか?

内容は、アメリカでFBIを創始し、重要人物の「極秘ファイル」によって大統領にも恐れられた J. エドガー・フーバーの人生。
愛国心に燃え、「国民の安全のために」赤狩りや過激派追放を敢行するその姿は、固い信念に貫かれていてとても力強く、恐ろしく、しかして一種滑稽である。
一般大衆たるこの身からすれば、「それはやりすぎじゃ……?」と思うことが多々あるからだ。

反体制狩りは、ちょうど今の、アラブ系のテロに揺れるアメリカ社会を投影するかのようだ。
こんな喧嘩ふっかけてるかのような作品を、よくもこのタイミングで出すなぁ、イーストウッド(汗)。
【戦うじいさん】の称号をあげたい(もうとっくにもらってるか)。

ところで、科学的捜査を最初に取り入れたのがフーバー長官とは、知らなんだ。
図書館の分類カードとか(お世話になったよね、学生のころ)。
そういう面では偉い人なんだけどねぇ。

そして人間としての面について言えば……ネタバレになるので書けない(笑)。
でも、相思相愛の相手をお互いに見つけ出せた人間は、それだけで本当は幸せなんじゃないかな。
他にどんな辛い現実があっても(水仙とか……ごほごほ)。

二時間超と長いけど、あっという間に終わる。
観て損はないと思う。

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2012年1月29日 (日)

【音楽】寺神戸 亮「バッハとの対話」(さいたま芸術劇場、埼玉・与野本町)

「バッハとの対話」Vol.3(1/28)、Vol.4(1/29)を聴きにいった。
曲目は以下のとおり。

Vol.3 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲演奏会 1
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番 ト短調 BWV1001
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV1005
【アンコール】
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲第12番 イ短調 TWV 40:25 より 第2楽章 ヴィヴァーチェ
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ短調 BWV 1003より 第3楽章 アンダンテ

Vol.4 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲演奏会 2
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番 ロ短調 BWV1002
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ短調 BWV1003
J. S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
【アンコール】
J. S. バッハ: 無伴奏チェロ組曲第6番 ニ長調 BWV 1012より 第5楽章 ガヴォット I & II
J. S. バッハ: 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番 ハ長調 BWV 1005より 第3楽章 ラルゴ

バッハ、いいねぇ。美しい。

寺神戸亮を知ったのは、もう十年くらい前になるのかなぁ。
そのころはバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の定演に通っていて、いつも枯れた味わいのヴァイオリンの音色ばかり聞いていたのだが(それはそれで「味」なんだと思うけど)、あるとき同じBCJの、定演ではない別枠の演奏会で、寺神戸亮が弾くヴァイオリンを耳にしてその音色の豊かさに仰天したのだった。
そのとき以来、気にはなってたんだけど、BCJにまれに客演するとき以外、なかなか演奏を聴く機会がなかった(演奏会があっても遠かったり予定が合わなかったり)。
今回はこうして堪能できて嬉しい。

初日。
第一曲目の第二節だったか、フーガの部分で偉く難儀しているように聞こえたが、他の部分は流れるよう。
気持ちよくてうとうと。
第三曲目は、緑の中を駆け抜けるようにして終わってしまった。

二日目。
前半はやっぱり気持ちよくてうとうと(外が寒かったし、駅から会場まで歩くし……)。
第三曲目はすごく難しそうで、はらはらどきどきしながら聴いちゃった。
聴きながらぼんやり思ったのだが、不思議と「繰り返し」が嫌にならない、バッハって。
(ブルックナーなんかでやられると体調によっては「もういい!」と叫びたくなることがあるが、バッハだと「もっとやって」と思っちゃう)
美しかった。
演奏が始まる前は体調がイマイチで、「サイン会なんか並ばずに帰ろう」と思っていたのだけれど、演奏が終わってみたら、うっかりサインもらいに並んでた(笑)。

それにしても、今回の客層はものすごくよかった。
ちゃんとヴァイオリン弾き終わって彼が手を下ろし、音の余韻がなくなってから一斉に拍手する。
最近は「余韻」を味わいもせずに「曲が終わった」と思うや手を叩き始めるお馬鹿さんが多いので、近年ないマナーのよさにびっくりだった。
おかげで最初から最後まで心安らかに聴けたのだった(まぁ初日に小音量アラーム鳴らしたおバカはいたけど(笑))。

またこういう企画があるといいな。

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2012年1月28日 (土)

【舞台】コンドルズ「十二年の怒れる男」(さいたま芸術劇場、埼玉・与野本町)

夜の部を観てきた。
相変わらずいろいろ可笑しかった。
「ゴ・キ・ブ・リ★ハンターっ!!」で始まって(笑)、楽しく二時間笑い通し。
なんでああ可笑しいかね?(笑)

私は割とコンテンポラリー好きだけど(注:わかるわけじゃありません、むしろ全然わからない、ただクラシックバレエのような気恥ずかしさナシに観られるのが好き)、ダンスに詳しいわけじゃなし、観客としても素人。
そういう人間でも楽しめる舞台だと思う、毎度毎度。
むしろ「ダンスってよくわからないけど……」という人でも十分観られる。
コントとか影絵とか、いろいろ爆笑できます。
まぁ、クマちゃんの活躍がなかったとか、どこが「怒れる」なのかよくわからんかったとかはあるけど、でも面白かった。

百聞は一見にしかず。
埼玉公演は終わっちゃったけど、どこかでぜひ一度観に行ってほしいので、これ以上詳しいことは書かない(感想を手抜きしているわけではない……ええ、決して)。

ちなみに、夜の部のあとにあったアフタートークで、どうやら昼の部のあとに振り付けを変えたらしいことが判明。
今回のダンスのテーマとして「椅子」を使う振り付けを駆使してあったのだが、それを観た昼の部の観客が感想に「体力的にラクしてますね」(←椅子によく座ってるから)と書いたのを読んで、「にゃにおう!?」と奮起、その場で振り付けを変えたらしい(笑)。
おじさんたち、すごーい。
これからもその調子で頑張ってほしいなー、プロダンサーもプロじゃないメンバーも等しく。

そして今回はついに!!(←自分的に大きな出来事)
帰ってからさいたま芸術劇場以外のコンドルズのチケットも取っちゃったのであった!
さらに気になって平原慎太郎のソロ公演チケットも取ってみちゃったのであった!
コンドルズ公演は3月23日(金)~27日(火)に世田谷でやるよ。
(その前には地方公演もあるよ)

▼詳しくはコンドルズのHPでどうぞ
http://www.condors.jp/


おまけ
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終演後、出演者が直接物販を担当。
こういうところも手作り感というか、味があるよね。

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2012年1月25日 (水)

【読書】『祝宴』 ディック・フランシス

書名: 祝宴
著者: ディック フランシス (著), フェリックス フランシス (著), 北野 寿美枝 (翻訳)
価格: ¥ 987
頁数: 510ページ
出版社: 早川書房 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ISBN-13: 978-4150707422
発売日: 2010/04

あらすじ マックス・モアトンは人気レストランを経営する前途有望な若きシェフ。しかし、彼が料理を担当した伝統の2000ギニーレースの前夜祭で食中毒が発生し、店は閉鎖に追い込まれてしまう。さらにレース当日、パーティ会場で爆弾テロが発生し、多くの死傷者が!前日の食中毒と爆弾事件には繋がりがあると直感したマックスは、汚名返上のため調査を開始する。息子フェリックスと初の共作を果たした競馬シリーズ、復活第二弾。

いやー、面白かった。

実は初のディック・フランシス。
以前から読もう読もうと思ってはいたのだが、いかんせん、ハードカバー本は厚くて重い。
「文庫で読めばいいじゃないか」と言われても、家族内にディック・フランシスのファンがいると、ファンはだいたい待ちきれずにハードカバーの単行本を買ってしまうので(文庫が出るのはもっと先)、ハードカバーなら無料で読める、という状態だったのだ。
で、読んだことがなかった。もったいないことに。

ともあれ、面白かった。
他に言いようがない。
どこが面白いんだろうなぁ???
読書で面白い・面白くないを分けることは簡単だけど、「じゃあどこが?」と聞かれて答えるのはすごく難しい。
でもとにかく面白かったの!!(←で、誤魔化そうとしている)

フランシスも、イギリス作家の例に漏れず、ちょっとしたところにウィットがあっていい。
いろいろあって携帯電話の代替機を手に入れるくだりなんか、実におかしかった。
「ええ~、こんなひどい目に遭った人に、そんなこと平気で言うの~!?」
と、携帯ショップの店員の横柄な態度を見せ付けられて、主人公に同情しきり。
いちばん同情したのはここだったかも(笑)。
だって本っっっ当にヒドイんだもん、店員の応対が!!!
携帯ショップの店員の応対がヒドイのは、万国共通なんだねぇ(笑)。
日本だけじゃなかったんだー。

と、本編と全然関係ないところを紹介してしまったが……。

とにかく「どうなっちゃうんだろう?」と先を読まずにいられなくなる、でも必要以上には焦らされない(つまりテンポがいい)、そういう「展開の上手さ」があると思う。
通勤のお供に持っていけば、通勤が楽しくなること請け合い。

乗り過ごしキケン度 ★★★★

▼この本はこちら。4時間半くらい。

祝宴 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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2012年1月24日 (火)

【映画】「ワイルド7」

友人につきあって、観に行ってみた。
思っていたよりずっと面白かった。
でも全体に、暗い。
もうちょっと明るく作ってほしいなぁ。
あとは、もっとバイクアクションを入れてほしかった……!

以下、原作のファンのたわごと。

ユキは大好きなキャラなんだけど、映画版はとにかく性格が暗い。
もっと明るくしっかりした女の子なのにぃ~。

とにかく明るく、笑える部分を作ってほしかったな~。
明るさがなければワイルドなんかじゃないのだ。
暗いばっかりだったら「タフネス」が見えなくなる。
タフじゃないワイルドなんて、ないだろう?
(ついでに書いておくと、ある種の明るさがなければ「ニヒル」もあり得ない)

映画版ワイルド7のメンバーで、名前が漫画と同じなのは、ヒバちゃん、世界、ヘボピー、オヤブンの4人のみというよくわからん仕様(そしてほとんど「名前が同じだけ」(笑))。
パイロウなんて変なの出さないで、「両国」出してくださいよ。
ソックスってのも出てくる意味がよくわからん。
最後のコインのくだりだけ?? あそこのためだけに出してるの??
「八百」の代わりにしちゃあ、女と絡まないし。
そしてB・B・Qはサイコーにわからなかった。いったい何なの、このキャラ???

草波さんだけは最高に草波さんだった(笑)。
もう原作どおり。
そーですとも、草波さんはまさにこういう人だよ(笑)。
草波さんが草波さんだっただけで、あとはすべて許してもいいや(笑)。
そして、この映画で一番笑えたのは、検事長が草波さんに向かって「後悔してるよ。●●な部下を持って」って言う場面。いや、笑った。
だから、こういう場面をちゃんとちりばめてくれればもっと面白くなると思うんだけどなー。

あとは、ワイルド7の面々が、実は警視正に相当する地位の持ち主だっていうのがどこにもなかった~。
警官にバッジを見せて、相手が仰天恐縮するくだりとか、入れてほしかったー。
とにかくそういう「笑える」部分が少なすぎー。

全体に香港ノワール的なところがどうも自分的にはイマイチ。
もっとワイルドに行こうよ。

とはいえ、バイクのシーンはカッコよくてどきどきしたし、やっぱり面白かったんだと思う。
続きは作らないのかなぁ?

追記:
観に行った理由の一つに、習い事してるところの先生が出演してるからってのがあった(笑)。
ちょっとドキドキしながら登場を待っていたら……
おお、先生、中ボスじゃないですか!
大写りもあったし、グー!!
全体にまあまあ面白くて、草波さんはケッサクで、個人的に先生もバッチリ観られて、総合的に満足できる一本でしたとさ。

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2012年1月17日 (火)

【舞台】蜷川「下谷万年町物語」(シアターコクーン、東京・渋谷)

唐十郎の脚本を、蜷川演出で。
唐十郎自身も出演者に含まれるが、ダブルキャストで、この日は違ったようだった。
主演は、宮沢りえと藤原竜也、それに西島隆弘。

ツイッターで当日書いたけど、ある意味で悪い夢のようだった(笑)。
「まるで悪夢だ」とかって言われるときのようなどうしようもなく恐ろしいものでなく、もうちょっと軽い、でも見てる間はうなされそうな「悪い夢」。

男娼の町というから、どんだけ卑猥かと覚悟して行ったけど、むしろこれまでに観た井上ひさしの脚本の猥雑さにははるかに及ばない。
たぶん、井上ひさしの脚本の方が、リアリティが強いのだ。
だからいいとか悪いとかではなくて。

突飛さや脈絡の無さに振り回されはするけど、「不条理劇」というほどではない。
そのへんの度合いや、前述のリアリティの薄さが、ちょうど「夢」に似ていると思うのだ。
現実と見紛う事態なんだけど、どこかおかしい、そして自分ではコントロールできない方へできない方へと転がっていってしまう、そんな感じなんかが。

実際、「開幕ベル」と称して何度も鳴らされるアレは、ただの「目覚まし」の音でしかないわけだから、やっぱり「悪い夢」だったんだ。
と、妙に納得したのだった(勝手に)。

藤原竜也は相変わらず。まぁ、安心して見ていられる。
西島という男優は初めてか??
(シェイクスピアに出てたっけ?)
ときどき聞き取りにくかったけど、こちらもまあまあ。
宮沢りえはエネルギッシュだった。
彼女は、大竹や白石のような才はないようだけれど、とにかくエネルギッシュでいい。
あとは六平さんが楽しくて(?)よかった(笑)。

それにしても、コクーンのA席は酷かった。
まともに見たい人は決して取らないように。
(A席があれでは、B席なんてもう……推して知るべし)

▼公式サイトはこちら
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/12_mannencho/

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