【舞台】「血の婚礼」(にしすがも創造舎体育館、東京・西巣鴨)
寺山×蜷川の舞台「血の婚礼」を観に行った。
会場は元・中学校の体育館。
こういう施設も面白いね(まぁ利用料は結構お高いらしいけど)。
「血の婚礼」はもともとロルカの詩のタイトルで、当然、それを踏まえての台本であろう。
最初はどこがどう血の婚礼なんだかさっぱりわからないが、そのうちに「ああ、この人が」みたいに登場人物の役柄がわかってくる。
劇中に引用されるように、ロルカの言葉である「血を流して死ぬ方が、血を腐らせて生きるよりマシだ」というのが、要だったか。
なんらか西洋的なことに、この台本では光とは理性である。
闇とは自然(ないし本性)である。
先述のロルカの言葉は情熱であり、理性ではない。
であるから、紀州の未開の山中のように、生命に覆い尽くされた世界で語られるような(すなわち中上健次的な)ソレは、停電後(すなわち闇)においてより大きな力を持つ。
しかし、最後に二人の男がやりあう理由がソレ(「燃え上がるように生きたい」情熱)かと言われると、どうもそうではないような気がした。
闇によって本性がさらけだされているとは思うのだが。
もっと、何と言うかこう、「澱んでしまった以上、生きていてもしょうがない」みたいな、「腐りながらも生きていくことへの恐怖」みたいな感じ?
キリがないので、しちめんどうな感想はこの辺でやめるとしやう。
演出で面白かったのは、舞台上でずっと雨が降っていたこと。
舞台の端(観客側)から1メートル弱の横のライン一筋で、ほとんどずーっと雨が振っているのだ(涼しくてよかった(笑))。
おかげで、前列はみんな最初から最後までビニールシートで自己防衛(笑)。
役者ももちろんそこに入ればずぶぬれである。
これは体力消耗するわ。役者泣かせ?
もう一つ役者泣かせなのは、この演出、面白いんだけど、雨だれの音のせいで台詞が聞き取りにくくなるという難点がある。
たとえばヒロインの中嶋朋子、演技はいいんだけど声が若干小さい。
一番前の列で聞いてあのくらいってことは、後ろの方の客席まで届いていたかどうか怪しい。
そうした環境でも「よく聞こえる」役者さんも、もちろんいるんだけどね(半数くらい)。
電波少年役の田島優成は、聞き取りやすかった。
前回の出演のときも思ったけど(はっきり思い出せないが「じゃじゃ馬」ではないかと…)、彼はイイよね。
逆に、主役のクボ塚は一本調子で私的には「?」だった。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント