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2010年12月13日 (月)

コンサート:ピエール=ロラン・エマール ピアノ・リサイタル(東京オペラシティ、東京・初台)

ピエール=ロラン・エマールのピアノを聴きに行った。
この人のピアノは何年か前に埼玉で聞いたことがあって、ちょっといいなと思っていた。
アンコールは何曲でも弾くし、サイン会でもフレンドリーだったし、人間的にも魅力的なピアニストだな、と。
ものすごく久しぶりに名前を見つけて、なんとな~くチケットを取ってしまった。
ホールがタケミツだし(贅沢でいいホール♪)。

こういうリサイタルでは手持ち無沙汰な感じがして、ついプログラム(演奏者紹介や曲目紹介)を先に読んでしまうのだが、今回はあえてそれをやめてみた。
曲名も作曲者名もあまり見ないことにした。
ただ、前半と後半で何曲ずつあるかだけチェック。
この演奏会では、「本人の芸術的希望により、拍手は前半最後と後半最後のみにお願いします」という札があちこちに立っていたからだ(何曲あるか数えておかないと、どこで拍手すべきかわからない(笑))。
「?」と思う人もいるだろうけど、私は共感を覚えた。
曲と曲の間で拍手されると、世界が切れちゃうんだな、きっと。

彼の演奏は非常に美しくて、でも綺麗なだけじゃない、パワーのある演奏だった。
力を込めて弾くところなんか、全身でピアノと戦うようにして鍵盤を叩く。
目を閉じていても、そういう力の込め方が伝わってくる(ので、つい目を開けちゃうとやっぱりピアノと戦っているのがわかる(笑))。
メシアンはやっぱり難しくて私にはよくわからんかったけど、どの曲も非常に美しかった。

特に後半のラヴェル。
これもほとんど目を閉じて聴いていたのだけれど、鳥のさえずりに聞こえたり、光が当たってきらめく様に聞こえたり、水の中にいるように聞こえたりする。
最初にも書いたとおり、今回はパンフレットをほとんど見ずに聴いたので、メインタイトルの「鏡」までは読んでいても(曲数数えたときに読んじゃった)、個々のサブタイトルは全く見ていなかった。
でもって、あとからサブタイトルを見てみると……鳥がいるね。水もあるし、朝日も。
なんかすごいや。

アンコールは、以前もそうだったが、時間の許す限り弾いてくれた。
フツーは3曲、多くても4曲なんだけど、この人の場合は全く油断ならないことを学習済みなので、席を立つのを我慢してひたすら拍手。
やはりというべきか、結局8曲も弾いてくれたのだった。
私の知る限り、他にいません、ここまでサービス精神旺盛なピアニスト。
(あとは、ちゃんと人前で一日中でも引き続けられるような『体力』があるんだろうなー、いい意味で)

演奏会のあとはサイン会。
ホントーにサービス精神旺盛だよなー……ま、サインをもらうためにCDを買うとはいえ。
しばらく並んで待って、やっと登場した。
埼玉のときのような時間的余裕がなかったので、割と流れは機械的だった。
ただ、人懐こそうな笑顔でCDを渡してくれた。
こういうリサイタルなら、仮令(たとえ)現代音楽でも聴きにくるのもいいかな、と、思ったのだった。

曲目:
バルトーク 4つの哀歌 op.9a から 第4番
リスト   巡礼の年第3年 から 「エステ荘の糸杉に寄せて――葬送歌第1」
メシアン  鳥のカタログ から 「カオグロヒタキ」
リスト   巡礼の年第1年「スイス」 から 「オーベルマンの谷」
     *     *     *
リスト   巡礼の年第3年 から 「エステ荘の噴水」
ラヴェル  鏡 [蛾/悲しい鳥たち/洋上の小舟/道化師の朝の歌/鐘の谷]

アンコール曲目:
クルターグ   ピアノのための遊び 第7巻より
バートウィスル HARRISON CLOCKS
ブーレーズ   12のノタシオン より 第9~12番
ベンジャミン  ピアノフィギュアズ より 第6, 8, 9, 10番
メシアン    前奏曲集 より 軽快な数
カーター    MATRIBUTE
シェーンベルク 6つのピアノ小曲 op.19

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