読書:『復讐法廷』
書名: 『復讐法廷』
著者: ヘンリー・デンカー (著), 中野圭二 (翻訳)
頁数: 437ページ
出版社: 早川書房 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ISBN: 978-4151784019
発売日: 2009/9/10
あらすじ その時、法は悪に味方した。娘を強姦・殺害した男が法の抜け穴を突き、放免されたのだ。父親は憎むべきその男を白昼の路上で射殺し復讐を遂げるが、自首した彼に有罪判決が下ることは確実―しかし、信念に燃える少壮の弁護士ゴードンはこの父親を救うべく勝ち目のない裁判に挑む!規範と同情の狭間で葛藤する陪審員たちは、いかなる決断を下すのか。法と正義の相克を鋭く描き切ったリーガル・サスペンスの先駆的傑作。
最後の3分の1ぐらいは読むのを止められなかった(笑)。
白状すると、最初のうちは「それほどでもない」と思っていた。
だれが主人公かわかりにくかったし、「結局、法廷モノなんだよね」と思うとあまり積極的に「読もう!」という気になれない。
どうやら主人公らしいベン・ゴードンは、青臭くてうんざりしちゃう部分がしょっちゅう出てくるし……。
つまらないわけではないのだが、なんとな~く消極的な態度でずっと読んでいた。
ところが、なぜかどこかで(3分の2ぐらい行ったところかな)スイッチが切り替わって、今度は止まらなくなっちゃった(笑)。
だから、「面白いミステリ」なんだと思う。
何が面白いのかと聞かれてもちょっと困るんだけど……。
ベン・ゴードンが開き直ったあたりからが面白いんだな。
開き直るというか目覚めるというか。
「なんだ、こいつは何をやらかすつもりなんだ?」という期待が、一気に膨らむ(それまでと期待の度合いが全然違ってくる、そのあたりの盛り上げ方が上手いかも)。
人物に対しては丹念に書かれている印象。
ちょっぴり、あれもこれもと手を出しすぎな気もするけど(笑)。
あとは、陪審員たちのやりとりをもうちょっと読みたかったかな。
その部分がほんの少し不完全燃焼。
それでもまあ、十分に面白かったんだと思う。
手放しで褒められないのは、アーチャーやガードナーに見られる「ウィット」が私にはちょっぴり足りなかったように思うから。
しかしそんなことは置いておいて、引き金となった事件がなぜそういう判決になったのかについて唖然としたあとで(「こんな判決があっていいのか?」)、とにかく正義が貫かれる、しかもエンターテイメント作品としてもちゃんと仕上がっている、その点で十分に「いい作品」だと言えるだろう。
通勤にもどうぞ。
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復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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