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2009年8月25日 (火)

舞台:納涼大歌舞伎「豊志賀の死」「船弁慶」

歌舞伎座の八月公演、納涼歌舞伎の第二部を見てきた。

「豊志賀の死」
いや~、コワくて面白かった。
元ネタが落語なので、語り口はどうも落語っぽくて可笑しいんだけど、何しろコワいんだよ福助が(笑)。
なんであの人、あんなに上手いんかな(感心)。

あらすじは、新吉(勘太郎)は年上の師匠・豊志賀(福助)の看病をしているが、豊志賀は新吉と若いお久との間を疑い、嫉妬丸出しで愚痴をこぼす。あんまり煩く言うので新吉も疲れてしまい、お久と行き会って寿司屋で話すうちに一緒に逃げようということになる。そこへ現れる豊志賀(病気で立つこともままならないはずなのに…)。新吉は仰天しておじさんの家に逃げ込み、もう師匠のもとへは帰らないと言いはるが、おじさんに「今までの恩を考えろ」と諭されてようやく帰ることを約束する。ところがそこへ現れたのが……。

まぁ……。
観ないとわからないかも……。
とにかく福助が怖かった(笑)。
怖かったんだってば(笑)。
最後なんか、みんなおそらく「こうなるんじゃないか」って「予感」があるんだけど、それにもかかわらず会場全体で「ぎゃっ!」と驚いてしまった。
スジというか先の展開がなんとなく読めるのに、なんであんなにコワいのかね?(笑)
福助もコワいながら、新吉やおじさんや噺家のさん蝶のこわがりっぷりがまた可笑しくて、笑い転げられるんだけど、なぜか同時にしっかりコワさが伝わってくるのだった。
みんなうまいわ。脱帽。


「船弁慶」
昔ながらの歌舞伎。
能が起源の「松羽目物」と呼ばれる演目だ。
長唄連中も出てきて朗々と謡うので、かなり眠い(笑)。

あらすじは、前後編にわかれているカンジ。
前段では、落ち行く義経に弁慶が静御前を置いていくよう諭し、義経が承知すると静は舞いを舞ったあとで仕方なく去ってゆく。
後段では、静と別れた義経一行が船に乗りこみ、1.弁慶が船頭に「乗ってやったんだから祝儀に舞え」と言って船頭や船乗りが踊る。2.にわかに海が荒れるや、平知盛の亡霊が現れて義経と戦おうとするが、弁慶が数珠と読経で退散させてしまう。

船弁慶、というタイトルが示すように、この演目の主人公(シテかな?)は弁慶なんだよね(きっと)。
でも弁慶サマ、なんとなく、ぶいぶい言わせて無理を通してるように見えるんですけど(笑)。
だって、静御前は「置いてけ」って帰しちゃうし(義経よりエラソー)、なんだって義経が乗っただけで船頭が喜んで踊らなきゃならないのだ?(笑)
(もっとも、この船頭役が三津五郎で、妙にいろっぽい踊りを披露してくれちゃって、それはそれでエラい可笑しかった)

それに知盛の亡霊の退治され方が哀れだった。
義経と切り結ぼうとしたとたんに弁慶が間に割って入って(ちったぁ戦わせてやれよ…)、

ジャリジャリジャリ

と数珠を揉んで鳴らす。
そうすると知盛の亡霊は勢いを削がれて、苦しみ怯んでしまう。
知盛は何度もがんばって義経に打ちかかろうとするんだけど、そのたんびに弁慶が

ジャリジャリジャリ

と、邪魔するんである(主人公なんだから邪魔なんて言っちゃいけないのかも…?)。
何度も何度も、

ジャリジャリジャリ

ですよ、皆さん。
いやね、「霊験あらたか」を表しているんでしょうけど、数珠をジャリジャリと知盛の耳元で嫌がらせのように鳴らしている姿を見ると、観ているほうはつい苦笑しちゃったりして(だってなんだか滑稽なんだもの)。
そのおかしみばかりがなんとなく印象に残ってしまったのだった。

しかし、やっぱり豊志賀だね。福助コワい(笑)。
楽しめました。


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