舞台:「雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた」(シアターコクーン、東京・渋谷)
脚本: 清水邦夫
演出: 蜷川幸雄
出演: 鳳蘭、三田和代、真琴つばさ、中川安奈、毬谷友子、石井愃一、磯部勉、山本龍二、横田栄司、ウエンツ瑛士、古谷一行 他
面白かった。
というか、正確には舞台のパワーに圧倒された。
それにしても、鳳蘭って、すごいオーラだなぁ。
そんなに出番は多くないのに、出た途端に目がそっちに行っちゃう。むぅ。
あらすじ とある百貨店、真夜中。突如、音楽が響き、闇を切り裂いて大階段が現れる。夜な夜な「ロミオとジュリエット」の稽古に励んでいるのは、新村久(古谷一行)をはじめとする壮年の男性たち。かつてこの百貨店に創立された石楠花少女歌劇団の熱狂的ファンであった“バラ戦士の会”の面々である。ジュリエットを演じるのは歌劇団の名花と呼ばれた風吹景子(三田和代)。三十年以上前、空襲により歌劇団が消滅した事実を受け入れられず、未だゴールデンコンビといわれた相手役、男役スターの弥生俊(鳳蘭)を待ち続けている。新村たちは、景子の少女のような危うい精神をなんとか守ろうと、歌劇団再結成を呼び掛ける新聞広告を出し、稽古につきあっているのだった。新村たちの奮闘を冷ややかに見つめる新村の義妹・加納夏子(中川安奈)や北村次郎(ウエンツ瑛士)など若い世代も、次第に彼らの不思議な情熱に取り付かれていく。歌劇団の歌姫であった直江津沙織(毬谷友子)をはじめ、メンバーたちが集まり始め、華やぐ百貨店。妹の理恵(真琴つばさ)の手にすがりつつ、ついに俊がその姿を現した。謎めいた瞳をサングラスで隠して・・・。
………。
めんどくさいからもう感想書かないでもいい?(笑)
鳳蘭はかっこよかった。
真琴つばさもかっこよかった(きちんと娘らしい娘役を演じつつ、憎悪を感じさせるカッコイイ役どころだった)。
そして三田和代は、老女にして少女という役どころをきっちり演じ、台風の目として君臨していた(だって全部全部ここが…彼女の「情熱」が「元凶」だったもん)。
他のヒトもよかったけど、いちいち書いてるのがめんどくさい(ごめん)。
清水作品にしては、珍しく素直に楽しめた。
いや、そういえば一つ前の、「わが魂は輝く水なり」も面白く感じられたんだよね。
もしかしてようやく私の中に「シミズ回路」ができたのか?(笑)
しかしまぁ、脚本のせいなのか、演出のせいなのか、最後がいきなりギリシア悲劇になったのには笑った(あれってどう考えてもコロスだもんなぁ)。
ハッピーエンディングで済むわけがないとは思っていたが……。
残された人々は果たして「生きている」のか「生きている振り」をしているだけなのか。
……どっちでも同じことなのかも。
情熱を何かに振り向けることが「生きている振り」ならば、それはまさに「生きている」ことではないだろうか。
明日への情熱を持てないことは、生きながら「死んだ振り」して過ごすことに他ならないのではないか。
閉塞しきった現代人のように(もちろん私もこちら側)。
生きている振りをする死人と、死んだ振りをする生者と、どちらがより生命感に溢れているかといえば、おそらく前者だろう。
なんかわけわかんなくなっちゃったけど(毎度のことながら)、楽しめるし、上手く言えないが「すごい」舞台だと思う。
私が行った回は、最後はスタンディングオベーションの嵐だった。
まだまだ、30日までやってます。
▼公演情報はこちら
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/09_juliet/index.html
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