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2009年5月 2日 (土)

読書:『チャイルド44』

書名: チャイルド44 上巻 / 下巻
著者: トム・ロブ スミス (著), Tom Rob Smith (原著), 田口 俊樹 (翻訳)
ページ数: 394ページ
出版社: 新潮社 (新潮文庫)
ISBN-13: 978-4102169315 / 978-4102169322
発売日: 2008/8/28
定価: 740円 / 700円

あらすじ スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。

実はいつ読み終わったか思い出せない。
まぁいいや、どうでも。
ええっと、話はだいたい上記あらすじのとおりです。
そして、どうやらこのオハナシは、文春の年間ミステリ第一位に選ばれたらしいです。

面白いといえば面白いけど、私はそれほど好きじゃない。
回りくどすぎ。
そしてユーモアがにゃにもにゃい。
やっぱりねー、ユーモアのないミステリって、読むのツライよ。
ハードボイルドだって、上手いヤツはユーモアを絡めてくるから、ワクワク読めるのよ。
このお話にはそういう部分が皆無なのよ。

旧ソ連の人々の在り様や生活について描き出す手腕は、確かになかなかのものだ。
閉塞感あふれる文体っていえばいい?
話の筋立ても上手いといえば上手いんだろう、全部最後にはつながるから。
あとは何より人物造形がしっかりしている。

でも好みじゃないー。
面白いと思わなかったわけじゃないけどー。
再び読もうとは思わないー。
ミステリとして見たときに、まず動機が弱い。
その点で工夫しなかったため、せっかく艱難辛苦を乗り越えて犯人の居所にたどり着いたのに、最後の決着がちとショボく感じられる。
ショボいといえば、ヒロインのライーサは途中まではかなりスラヴの人っぽかったのが、最後にまるでアメリカ人のようなセリフを言ってみたりして、ちょっとがっかりだった。
作者はどっかとどっかの民族のハイブリッドのはずだが(イギリス人です)、結局、西欧人の観点からは逃れられないのか、などとナマイキに思ってみたり……。
スラヴの人々と、欧米人って、メンタリティが異なると思うんだよね、本来。

しかしまぁ、世界的には大反響だそうで、メル・ギブソンを抑えてリドリー・スコットが映画化の権利を獲得したそうだ。
映画向きではあるかも。

ちなみに旧ソ連(スターリン時代)のヒサンな実態が描かれているせいか、ロシアでは発禁処分だそうだ。
そんな処分にしなくても、ロシアの人々がこの本を喜んで読むとはとても思えない。
たぶん、読むと不愉快に感じるんじゃないかな、過去の傷を抉られているようで。
わざわざ発禁にしなければ単なる「ワーストセラー」で終わっただろうと思うのに。

あ、あと、最後に、翻訳の日本語は、ちょっと癖がある。
「~~だが。」「~~なのだが。」
といった、逆説によるトメを多用していて、ウザイ。
それさえなければ、読みやすかったんだけどなー。
ああいうイレギュラーな止め方って(体言止とか)、ポイントで使うのは効果的でいいんだけど、多用するとカッコよくもなんともない、ウザイ表現に成り下がるから不思議。
まぁ、他の部分は問題ないので、無視して読みましょう(笑)。

▼この本はこちら。合わせて7時間くらいかなぁ? 細切れに読んだからわからないや。
チャイルド44上下巻

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