展示:阿修羅展(東京国立博物館、東京・上野)
東博でやっている阿修羅展を見てきた。
昼間は1時間待ちだそうなので、16時半ごろ行って、18時閉館までのんびり見て回った。
(通常、火・水・木は17時閉館だが、好評につき18時まで開館時間延長中。さらに金曜だけでなく、土・日も20時まで開館に)
面白かった。
ここの展示はイイよね。
例の如く第一会場と第二会場に分かれている。
第一会場は創建当時の鎮壇具(ちんだんぐ、お寺が永いこと無事に立っていられますようにという祈りを込めて礎石の下だか中だかに埋める鎮めの品々、だったかな)と、天平時代の像がたくさん(阿修羅像はこの会場のラストにおわします)。
第二会場は、鎌倉仏教彫刻だ。
鎮壇具には、水晶などの天然石が多く、丸々と研磨されて非常に美しかった。
いいなぁ、あの碁石状の水晶とかガラス玉とか。
ころころきらきら。
うちにも欲しいなぁ(笑)。
天平時代の仏像その他は、脱活乾漆造りという、麻布をウルシで何層も塗り固める技法で造られている。
木彫じゃないんですな。
おかげでモロいことこの上なし。
造形も、線が細くて静謐な感じ。立体のくせに平面的だ。
そのため、迫力はない。が、見る者に何かを静かに訴える。
今回の展示では、阿修羅を除く八部衆七体と、十大弟子のうち六体(そのうち三体は4月20日でお帰りに)が広い会場の左右にずらり勢ぞろい。
こうやって見ると凄いなぁ。
その会場を抜けて、阿修羅サマの部分アップ映像を映すモニタの通廊(まるでアミューズメントパークの待機用スペース)を潜り抜けてやっと、やっと、阿修羅像が見えてくる。
しかしまだ近くには行けない(笑)。
手前のスロープを降りて、もう一度折り返してやっと、やっと、阿修羅像が今度こそ間近に(1メートル以内くらいに)観覧できる手はずになっている。
私たちは割とさっさとスロープを降りちゃったけど、これ、混んでる時間帯はぎゅうぎゅうで、きっと少しずつしか列が動かないんだろうな。
係員の指示に従って、時計回りにぐるっと阿修羅像を見て回った。
これも、意外と平面的。
六臂のせいで、写真からは立体的なイメージを得ていたのだが、それよりは平板な造りだった。
まぁ、像のバランスとか、目的とかを考えると当然なのかも。
ウデは、これまでのどの像よりも細く、ただの丸木のようで、非現実的だ。
もっともそうした非写実性がかえって、異形の神としての存在感を出すことに貢献しているのかもしれない。
阿修羅像を堪能したあと、第二会場へ。
こちらは鎌倉期に再建されたときの仏像などだが、天平の方々とあまりに違って、ただただビックリ。
まず、いきなり凄いパワーの四天王が並んでいて、度肝を抜かれる。
四体とも康慶(運慶の師匠?)の作品で、筋骨隆々、「平面」のヘの字も見当たらないような三次元造形だ。
ちょっとイタリアルネサンスを思い出したりして。
すごく肉肉しい、四天王。
先の阿修羅像とは懸け離れている。
また、踏まれている邪鬼がどれも可笑しい。
踏まれつつ余裕のあるヤツもいるし、「なぜこんな面倒な髪に?」と思うようなヤツもいる。
そしてさすがは慶派、槍などに付ける房飾りまで木彫で作っちゃっている。
……房飾り、ホンモノをつるせばいいと思うんだけど。
「何もかも彫らずにはいられない」んだろうな(笑)。
四天王の次は菩薩立像。でかい。
そして横から見ると、四頭身かせいぜい五頭身しかない!(笑)
まぁ、しょうがないんだよね、下から見上げると、頭は小さく見える。
四頭身ぐらいにしておくとちょうどいいバランスに見えるから。
八頭身なんかにしたら、見上げたときに頭が小さすぎて、有り難味が薄れそう(笑)。
最後に如来サマの頭部だけ。
これは運慶の作らしい。
下は……下だけもっと後世に別の人が作ったのかな。それで持ってきてないのかな。
まぁ、木彫はやっぱり見慣れているせいか、落ち着くね(笑)。
なんというか、空気に違和感がない。
再建予定の中金堂の模型(あんなパーツの多いモノ、よく造ったなー)も見たあとは、ミュージアムショップで中央の店舗のあまりの高額さにおそれをなして逃げ帰りましたとさ(笑)。
いやー、面白かった。
これは1500円でも観に行く価値があると思う。
畢婆迦羅、鳩槃荼、羅ゴ羅(ゴの漢字出ない)はお帰りあそばしてしまうが、他のものだけでも十分な見応えだ。
会期は6月7日(日)まで。
▼この展示の紹介ページはこちら。
東京国立博物館 特別展 興福寺創建1300年記念 「国宝 阿修羅展」
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