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2009年4月10日 (金)

コンサート:BCJ第84回定期演奏会

■演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
■独唱:レイチェル・ニコルズ(ソプラノ)、加納悦子(アルト)、ゲルト・テュルク(テノール)、ドミニク・ヴェルナー(バス)
■日時:2009年4月10日(金)19:00~
■会場:東京オペラシティコンサートホール(タケミツメモリアル)
■曲目:J.S.バッハ=メンデルスゾーン:
      マタイ受難曲 (1841年上演稿)

今回のマタイはよかった。
メンデルスゾーン稿にもかかわらず(笑)。
最初に鈴木雅明が挨拶に出てきて、マタイを初めて聞く人に「これはメンデルスゾーンが編曲したマタイであって、これがいわゆるマタイだとは思わないでください」と、簡単に説明していた。
私はマタイは何度も聞いているけど、それでも、説明しておいてもらえてよかった。
どうも楽曲の3分の2ほどをサッパリ切り捨てているらしいのだ(笑)。
知らなければ、「えっ、どうしてどうして???」とぐるぐる悩んで、音楽を聴くのに集中できなくなるところだった。

全体に若々しいマタイ受難曲だったように思う。
以下、一言(三言?)ずつ。
各楽器は特に言うことなし。あえて言えば、チェロがときどき「?」という音を出していなかったか?(チェロじゃないかも濡れ衣かも……)
でも全体にレベル良し。昔は遠くなりにけり……なんてね。

ソプラノは実に美しい声。でも留まらずに全部流れてっちゃうんだよなー。「より音楽的だ」といえばそうかも。
アルトは、やや近代的な感じ(メンデルスゾーンだから?)だったが、日本人であの体型であの声量はすごい。小さめにコーラスを付けるようなときでも決して埋もれないのは素晴らしい。
テノールは、もう言うまでもないでしょ。彼でなければレチタティーヴォは全部退屈しちゃうって。今やゲルト・テュルク以外のエヴァンゲリストを退屈せずに聞ける自信がない。今回も表情豊かで、声も豊かで、素晴らしかった。
バスは、この人はどっちかっていうとあまり深みのない声なのだが、今回の若々しいマタイにはかえって合っていた気がする。イエスも若々しく感じたりして。

そして何よりも合唱が、素晴らしかった。
特に、左右あるうち、向かって右側の一隊。
非常にやわらかく歌い上げるところが何箇所かあって、もう聞いている間中ドキドキですよ。
流行の「地声全開」みたいなのじゃなくて、こういうやさしい歌い方ができるのっていいなぁ。
こういう、しみとおるような合唱が、聴きたいんだよね。
テノールの真ん中の人が、体全体で歌っているようで、よさげだった。
次回からは彼に注目してみよう。

楽曲は、確かにかなりの部分が削られていて、私の好きなアリアもなくなっていたりした(笑)。
民衆が「ユ・ダ・ヤ・の・お・う・さ・ま!」とかって嘲る部分もなかったような?(聞き落とし?)
それでも一応、一般的なポイントはすべて抑えてあって、「マタイ」らしいドラマチックな受難曲に仕上がっているのだから、凄いやメンデルスゾーン。

実はBCJで、マタイで、これだけ満足したのは初めて(テノールは毎回サイコーですが)。
それがメンデルスゾーン版っていうのは微妙だけど(笑)、短くなった分、演奏に時間をかけられたのかもしれないな。
それにつけても、こういうときに限って(いや、こういう公演だからこそ?)、プログラムが売り切れて手に入らなかったのは残念なことだった。

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