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2003年9月の記事

2003年9月28日 (日)

コンサート:カティア=スカナヴィ☆ピアノリサイタル~「ピアニスト100」65/100

■演奏:カティア=スカナヴィ
■日時:2003年9月28日(日)15:00~
■会場:彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
■曲目:カール=ヴァイン ピアノ・ソナタ(1990)
    ラフマニノフ   練習曲集「音の絵」より op.39-2~5
    シューマン    謝肉祭 op.9
    リスト      「ヴェネツィアとナポリ」より第3曲「タランテラ」

久々に女性ピアニスト!
と、気合を入れて行ったら、なんとお腹が大きかった。
これで二人目だ~。
よくみんなそんなお腹で、ちゃんと演奏するな~。
そんな体力使って大丈夫なのかー? 心配……。

えーと。ロマンティックな演奏だったように思う。
ただ、シューマンの謝肉祭ではミスが多かった。あれがなければ……あれがなければ…!!

最初のカール=ヴァインのソナタは現代音楽で、ピアノじゃないみたいだった。
いえ、ちゃんとピアノの音色なんですけどね。
なんと言ったらいいかよくわからない。

どうもうろ覚えだが、全体に、映画音楽を聴いているような感じがした。
ムーディーってことなんだろうか?
あとは、一人でオーケストラ全部を引き受けているかのような音飾がよく出ていたように思う。
それで「ピアノじゃないみたい」と思ったのかな?
あれだけペダルを使って、一寸も濁りがないのはさすがプロ。

珍しく、CDの販売がなくて吃驚した。
サイン会は今年はあるほうが珍しいようだけど、CD販売は必ずやるのになぁ(彼女も何枚か出してるはず)。
関係ないけど、真後ろの背広たちがマナー知らずでちょっとストレスだった。

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2003年9月26日 (金)

展示:アレクサンドロス大王と東西文明の交流展★東京国立博物館(上野)

面白かった。
「どういうことを言わんとしているのか」というのがよくわかる展示だった。
要するに「西から東へ、図像学的にこういうものが流れてきたんだよ~」という話である。

そう、とても面白かった。
面白かったのだが。
ちょっと強引では? あるいははしょりすぎでは?
たとえばギリシアでいう北風の神ボレアス、彼が描かれた陶器が展示されて、その次にインドあたりの風の神(名前忘れた)の彫刻された石が展示される。インドの風神の頭上に、風の動きを意識して彫られたヴェール、このヴェールが風をはらんだ様子が、ちょうどボレアスの風にたなびく衣裳の意匠を受け継いでいるという。
そこまでは百歩だろうがなんだろうが譲ろう。
しかしそれが日本に入って、酒井抱一の「風神雷神図」の風神の、風をはらんだ衣になるってのはどうかね?
そもそもなんで出している作品例が酒井抱一なのだ(好きだけど)。
その前に光琳がいて、さらにその前に宗達がいるだろがー!!
しかも宗達も何らかの図像を元に描いているそうで、それについて触れないのはおかしい。
(もしかしてオーディオガイドで触れていたのか? そんなの詐欺だ)

もうひとつ。
なんでもかんでも「到涅槃」にするなぁあああ!!
どうもエロティックな構図の、やはり図像的な西から東への移動も追っていたのだが、にゃんでもかんでも「これが仏教で言う到涅槃を表すようになり」ってやられるとちょっと……ちょっと……。
そんなのいくらでも言えるじゃん!!
まぁ、「着眼点が面白いだろう」と言われれば確かにそうで、「いくらでも言える」からといっても圧倒的に言わないことのほうが多く、そこでちゃんと「言う」ということの意義もわかるつもりではあるのだが………。
いかんせん論拠が弱い。
せめて「それ以外ではないことの証拠」でも挙げてもらえたらよかったが。
「到涅槃の概念が浸透する前はこうで、浸透したあとはこうなった」とか「概念の輸出と図像の輸出が同時期だった」とか、「これが渡ってくるより以前はこういうものは無かった」とか、そういった比較検証でもなんでも。だめか?
(それともそれもオーディオガイドだったのか? そりゃ詐欺だ)

と、不平も並べてしまったが、総じて面白い展示だった。
上記のような意見が出てくるということは、主催者の意図を(多少の間違いはあれど)見る側が受け取っているということであるのだから。
頑張ってるなぁ、東博。
キュレータが苦労していることだろう。
でもそれだけ手応えはあるのではないかと思う。
今度は常設展示を見に行ってみよう。
いつか、また金曜日の夜にでも(←空いてて好きな時間帯)。

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2003年9月25日 (木)

この日。
なんとなく歩いて帰りたくなって、新宿から家まで歩いた。
新宿は霧が出ていた。
西口の高層ビル群は、いずれも上方を見ることができない。
霧に覆われて。
ちょうど20~30階あたりじゃないかと思うのだが、それより上はどのビルも見えない。
霧の中にてっぺんが隠されてしまって、まるでいつもと全く違う場所のようだった。

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2003年9月21日 (日)

展示:ガラスの酒器・ヨーロッパ~ローマン・グラスからアール・デコまで~★サントリー美術館(赤坂見附)

はっと気付いたときにはもう最終日間近。
招待券は2枚あったが、相方の都合のつくはずもなく、消化のため一人で出かけた。
まぁ、大雨だし。
一緒に行ってもらう相手がいなくて却ってよかったかも(出かけるのが気の毒なほどの大雨)。

客なんてだれもいないだろうと思って行ったら、みんなチケットの消化が目的なのか、いるわいるわ(笑)。最終日だからかなぁ。雨の中をご苦労だなぁ。
ほとんどのひとが招待券を持っているようだったので、入り口で「差し上げます」というのもやめた。

ガラスの、それも酒器ばかりを集めて展示してある。
ガラスの歴史は実は古い。もしかすると陶器より古いかも(土器じゃなくて陶器ね)。
金属器を模したとされる酒器があって、このへんは陶器と同じ扱いだったのかもな~。
でも陶器よりガラスのほうが見た目が綺麗だもんな~、絶対扱いの格が上だよな~。

古いものは古いのだが、ローマを越えたらあっというまに近代になっちゃって、
「お、綺麗なガラス」と思って見るともう18~19世紀(笑)。
古いんだか新しいんだか。
そういえばヴェネツィアのガラス器がいくつか陳列されていて、見ているうちにまたムラーノ島へ行きたくなってしまった。

最後のほうにバカラ、ラリック、ガレなどの酒器も置かれていた。
ガレはやっぱり面白い。
結局のところ私は、ラリックあたりの、幾何学的ですっきりしたデザインが好きみたい(ガラスは)。
ラリックのTokyoシリーズが一番気に入った。
バカラもシンプルで好き。
いったい何を見に行ったのやら(笑)。

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2003年9月20日 (土)

舞台:ヴォイツェク (Woycek)★東京国際フォーラム

■演出:ロバート=ウィルソン
■音楽:トム=ウェイツ
■原作:ゲオルグ=ビュヒナー
■出演:ベティ・ナンセン劇場(デンマーク)

「新生オペラ」とチケットに書いてあったので、「オペラか~」と思って見に行ったら違った。
ミュージカルだった。
題材がえらく重いので、「ミュージカル」と銘打つには抵抗があるのだろう。
でもミュージカルだ! オペラじゃない!
(狭量と言われようが、いかなる場合でも「マイク」などの増幅デバイスを利用する舞台を、私は「オペラ」とは絶対に認めません)

ヘンなミュージカルだったよー。
しかも一番最初を見られなかったので、さらにわけがわからない。
主人公のヴォイツェクは、貧しい善良な、でもモラルのない小市民。モラルがないというか……どういえばいいんだろう、貧しいゆえに、「よくない」といわれることも抵抗なくしてしまうようなところ、とでもいうのか。でもそれも周囲の批判でしかないのだが。
貧しいながら、ただひたすら「生きている」ヴォイツェクに、人々はいろんな注文やケチをつける。
ヴォイツェクはどんどん壊れてゆく。
そして愛する妻(でも結婚してないよなぁ?)の浮気が発覚した(浮気相手の男がわざわざご丁寧に教えてくれた)その時点で耐えられなくなり、妻を殺してしまう。残されたボウヤはひとりぼっちに……。

「アヴァンギャルド大好き」なひとにはいいでしょう。
でもオーソドックスなカタルシスを求める人間には向かないんではないかなぁ。
音も総じて耳に五月蝿く、ときどき歌われるバラードだけが美しく光っていた。
「お前が手にしなければならないものは何にもない」

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2003年9月19日 (金)

コンサート:Nathalie Wise★原宿クエストホール

バンドとはいわないなぁ。ユニット、と、いっておこう。
Tokyo No.1 Soulset のビッケ(spoken words)、undercurrent の斎藤哲也(p/kb)、それから高野寛(vo/g)の3人が組んでいるユニット、Nathalie Wise(ナタリーワイズ)のライブに行ってきた。
今回も電子ヴァイオリン、チェロ、ベース(エレキもコントラも)の共演者がついて、さらに坂本美雨というゲストボーカルも迎え(こういうことには疎いのでその坂本美雨がどういうひとだかよくわからないのだが…)、20時から2時間ばかり、語りかける音楽にどっぷりと浸った。
あ~、なんか気持ちよかった。
椅子に座れてよかった(笑)。

6月ごろかな、彼らは「film,silence」というアルバムを出していて、なかなか耳に心地よい一枚である。
その再現のようなライブ。
「リズムにノらなきゃ損!!」みたいな押し付けがなくて、私にはとても有難い。
(ディスコ的なの好きじゃないし、それを押し付けられるのは凄い苦痛)
最初から最後までリラックスできる場と音楽だった。

関係ないけど、コントラバス、いいね無茶苦茶かっこいい(笑)。
唐突だけど、斎藤さん(キーパースンだと思う)おかしいね。でも無理して喋らなくてもいいよ(笑)。
いや、この際だから全員、無理して喋るな。MCは要らない。音楽だけで十分だ。満腹。

そしてつい、帰りにコンサートTシャツを買ってしまった(もう9月なのに…)。
高かった……チケット代金と同じだった(笑)。
まぁ、これが彼らの活動資金になると思えば。

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2003年9月12日 (金)

コンサート:第60回定期演奏会★バッハ・コレギウム・ジャパン 9月12日(金)

■演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン (BCJ)
■独唱:スザンヌ=リディーン(ソプラノ)、パスカル=ベルタン(カウンターテナー)、ゲルト=テュルク(テノール)、ペーター=コーイ(バス)
■日時:2003年9月12日(金)19:00~
■会場:東京オペラシティコンサートホール(タケミツメモリアル)
■曲目:J.G.ヴァルター コラール『備えをなせ、わが心よ』
    J.S.バッハ
    コラール『私は、どこに逃れることができよう?』BWV646
    コラール『われらが神こそ、堅き砦』BWV720(以上3曲、オルガン独奏:今井奈緒子)
    カンタータ115番『備えをなせ、わが心よ』BWV115
    カンタータ 5番『私は、どこに逃れることができよう?』BWV5
    カンタータ 80番『われらが神こそ、堅き砦』BWV80

なんだかものすごく久しぶりに聞いた気がする、BCJ。
コントラバスがいつものひとじゃないような気がするのだが、どうしたのだろう?
(↑通奏低音グループ、お気に入りなんだもん)
だからといって別にレベルが落ちるわけではない。
レベル……。
レベル、絶対にあがってると思う。
私が一番最初に聞きにいったとき、それはそれはぼーよー(茫洋)としたカンタータで、
「カンタータそのものがつまらない(?)んだな」と思った覚えがあるのだが、
最近ではそういう「つまらない」カンタータにはお目にかからなくなった。
だから逆に、「あのときは演奏がつまらなかったんじゃないの?」と思うようになった。
その頃から比べると、格段に演奏技術があがって、しかも(ここ重要)安定するようになった。
と、私なんかは思うのだが。
(独唱者は以前からレベル高いし安定しておりますが……ゲルト=テュルクってすごいー)

オルガン、最初の曲を聞き損ねた。間に合わなかった。
なぜ徒歩20分のところへバスで20分もかかる?(怒)
まあしょうがないとして。

合唱は相変わらず美しい。
でも以前のような揺さぶりは最近ちょっとないなぁ。
ヴォリュームの問題ではない。
むしろ今回、音量は豊か過ぎるくらいだった。一瞬、「このホールじゃ狭すぎる?」と思ったほど。
どの楽器にしてもそれはそうで……なんだったんだろう? 単に私の耳が過敏になっていたのか?

途中で、ヴァイオリンパートが、他のパート(ソロ)を引き立てるような弾き方をしていて、びっくりした。
以前はそんなことしなかったと思うな。
進化し続けている、と、思う。

時間が押していたのか、アンコールはなかった。残念。

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