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2003年2月12日 (水)

コンサート:ヘンデル「メサイア」★レザールフロリサン

■演奏:レザールフロリサン(ウィリアム=クリスティ指揮)
■独唱:スン・ハエ=イム(ソプラノ)、ソフィー=ディンマン(ソプラノ)、クリストフ=デュモー(カウンターテナー)、イアン=ペイトン(テノール)、ポール=ゲー(バス)
■日時:2003年2月12日(水)19:00~
■会場:東京オペラシティコンサートホール(タケミツメモリアル)
■曲目:オラトリオ「メサイア」

まず音を聞いて、驚いた。
なんてやわらかい音を出すんだろう。
新鮮だった。

レザールフロリサンとは、「Les Arts Florissants」すなわち「花咲ける芸術」を意味する。
もともとシャルパンティエ(知らないなぁ…)が作曲した劇音楽の題名を、アンサンブル名に拝借したらしい。
17~18世紀フランス音楽を中心に、同時代のヨーロッパ作品復興に大きく貢献してきた楽団ということだ。

古楽というと、今まではストレートでストイックな演奏ばかりをイメージしていたが、ここのは違った。
物凄く抒情的である。
それから、BCJ(バッハコレギウムジャパン)などが「ソロの演奏を寄り集めている」趣を持っているのに対し、もっと全体的なイメージがある。あまり個々の楽器は目立たない。その代わり、アンサンブル全体で編み上げる音色が、まるで生き物のようだった。

面白かったのは、器楽が合唱と同じように歌うように弾かれていた部分。
何カ所かあったのだが、たとえばソプラノ(合唱)と同じメロディを、全く同時にヴァイオリンたちが弾く小節があると、ヴァイオリンは「伴奏」ではなく、「一緒に歌って」いるのだ。同じく、バス(合唱)と同じメロディをチェロたちが同時に弾く、そのときも、チェロは合唱の一員のように歌っていた。

歌声と同化するなんぞ、音がやわらかくなければできない芸当である。
BCJはドイツ的な、乾いた音のイメージがあるが、こちらはばりばりフランスのイメージ。やわらかくてやわらかくて。「洗練された」とか、時によっては「絢爛な」とすら言えそうな演奏だったと思う。
多くの古楽演奏者たちが、おそらく「宗教的」に彩るだろうこの曲を、むしろ「ドラマチック」に作り上げていた。なるほど、彼らは自分たちで言うように「オペラ・オーケストラ」なのだ。

そして何度聞いても、ヘンデルの曲の美しいこと。ハレルヤなんか涙が出る。
スタンディング・オベーションもあって、拍手の渦。
クリスティはちゃんとアンコールにハレルヤの部分を再演奏してくれた。うんうん。
会場はお世辞にも「満杯」とはいえなかったけれど、あれだけ拍手を受ければ彼らも満足なのではないか。

ところで、後ろでも音はいいはずだからと今回はA席を買ったのだったが、後悔しきり。
音がどうとか、目に見えないとか、そういう不満ではなく、席が最後方にあると「遅れて入ってくる人間のたてる音がうるさい」ということに気づいた。
ううう。
しかも今回は、モルガン=スタンレーとかゆー会社がスポンサーについており、その会社の社員が招待されたのかゴロゴロ来ていて(客集め?)、そいつらがことごとく「遅れて入ってきて」「足音高く席に着く」愚挙を冒していたのだ。もぉ。腹立つなぁ。遅れて入ってくるのはしょうがないけれど、もうちょっと遠慮しろって……。声を出すなんて論外だ。
今度は絶対にS席を取る。
少なくともそんな変なことでは悩まされずに済むだろう。

さて、来週はBCJの定期演奏会、再来週はミシェル=コルボの「ヨハネ受難曲」がある。
いろいろ聞き比べるのも楽しみだ。

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