読書:『よろずや平四郎活人剣』★藤沢周平
■著者名:藤沢周平
■出版社:文芸春秋(文春文庫)
■発行年月:1985年12月
■販売価格:上下巻・各590円(税抜)
「喧嘩、口論、探し物、その他よろずもめごと仲裁つかまつり候」。
神名平四郎は旗本の食い詰め三男(くらい)。妾腹の子というのもあって、道場で知り合った明石半太夫に「自分たちで道場を開かないか」と持ちかけられ、一も二もなく同意、家からなけなしの5両をもらって差し出したが明石はそれを持って夜逃げしてしまった……。
今さら神名の家には戻れず、裏店に棲みついた彼が考え出した奇妙な仕事とは、「よろずもめごと仲裁」だった……。
いやぁ、面白い。
世の中にもめごとは山のようにあるが、「金を払って他人に解決してもらおう」と思う人間はほとんどいない(笑)。
神名の甘い思惑は外れ、最初は全然客が来ない。
それでも友人の北見に紹介してもらったりして糊口を凌いでいく「食い詰め浪人」ぶりが、なかなかリアルで楽しい。
ただこの神名、剣術の腕は立つ。ついでに弁舌も立つ(笑)。
そのうちに「よろずもめごと仲裁人」の名前も口コミで広まって……
この「よろずもめごと」は、市井のひとびとが相手である。
夫婦喧嘩から、恐喝、誘拐、いろんなケースが登場してくる。
それとは別に、全連載を通して、2本のストーリーが用意されている。
一本は「ご政道」。
平四郎の兄(バリバリの目付け)を通して、天下の大きな流れが語られていく。もちろん剣戟つき。
もう一本は「恋愛」である。
平四郎には一応いいなずけがいた。しかしその早苗といういいなずけであり平四郎の初恋の相手である娘の家は潰れてしまって、今ではどこにいるのかわからない……。
いやぁ、やっぱり藤沢ってうまいわ。
読ませる読ませる。
上下巻二巻組だが、あっという間に読んでしまった。
江戸モノが好きな方には特にオススメ。
▼この本はこちら
よろずや平四郎活人剣〈上〉 (文春文庫)
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