読書:『語り手の事情』★酒見賢一
■著者:酒見賢一
■書名:『語り手の事情』
■出版社:文藝春秋(文春文庫)
■出版年:2001年7月10日
■定価:\524.-
う~ん……何といえばいいんだろう。
もともとこの作家のことは『墨攻』『陋巷に在り』などで知っていたのだが……
それと似通ったものかと思って買ってみたら、ポルノすれすれのエロエロ小説だった(笑)。
なんてこったいオリーブ。
でも全部読みました。読めるからね。
まぁ……新世紀に贈る好色文学の再来?(笑)
童貞喪失希望とか、トランスジェンダー希望だとか、SM噺だとか、性の話題(つーか、作中でも語られるとおり「妄想」)を次から次へとこなす「語り手」が主人公であるのだが……
確かにポルノ小説ではない。
だってね……さすがにここでは書けないが、該当する人体器官名を逐一並べてそれが何にどうしてどうなったって詳述されると、全然味気ないんだわ。
しかして内容は爛れている。
内容は爛れているが、官能を第一義としていない(言葉によって詳述することに命を賭けてるってことは、官能第一じゃないでしょ)、その意味でポルノではない。
だからといって、小説として「面白い」かっていうと面白いとは思わないし、「感動する」かっていうと、全然感動しない(笑)。
読み終わったときにやってくる「すかっとした!」「ああ面白かった!」「続きが読みたい!」「今夜は寝られない!」「涙が止まらない…」といったもろもろが……ない。
そりゃ笑いましたよ、途中では。
筆力はあるからつるつる読めるし、展開がどうなるか一応気にはなる。
馬鹿馬鹿しさの極致のような妄想に呆れ返ることもあれば、あまりにくどくどしい表現に笑い転げることもある。
でも読了感はほとんどありません。
だから、そういう本も好きなひとにだけオススメします。
あ~、ところでこの作家、うちの父親もファン(?)なんだが……
私がこの本を渡すのって……すごく抵抗あるんだけど……でも父親がどっかで買ってきちゃったらそれはそれで困るし……どうしよう……(汗)
▼この本はこちら。
語り手の事情 (文春文庫)
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