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2002年5月 3日 (金)

『アルト・ハイデルベルク』★マイアーフェルスター

■書名:アルト・ハイデルベルク
■著者名/訳者名:マイアーフェルスター・著/番匠谷英一・訳
■出版社名:角川書店(角川文庫)
■発行年月:1958年初版発行

有名な劇『アルト・ハイデルベルク』の原作。『学生王子』の名のほうが有名かもしれない。
他の媒体であまりに有名になってしまったゆえ、逆に原作は読まれないという黄金パターンを踏んでいる。
私も今回初めて読んだ。

内容は、カルスブルク公国の公子(王子さまと思っておけばよろしい)カール=ハインリヒがひとときハイデルベルクへ留学し、恋に友情に乱痴気騒ぎに青春を謳歌するが、やがて国へ帰らなければならなくなる。国許で過ごすうちに自由の気風を忘れ、暗くて冷たくて無感動な石のような人間へ変わっていくが、あるときあることがきっかけで二日限りの旅行を思い立ち‥‥とまぁ、ロマンスの常道を行くようなお話。

アルト・ハイデルベルクとは、Good Old Heidelberg、「古きよきハイデルベルク」といったところか。
古都ハイデルベルクの自由な風、自由な空、わがまま一杯な学生たち、酒と喧嘩、そしてかわいい娘さん‥‥‥
だが我々はいったいなんと多くのものを置き去りにしなければ大人になれないことか。

本当にこんな世界だったのかしらんと思うが、恋愛に関して言えば、かの大ゲーテもハイデルベルクで熱烈なる恋愛詩を書いたそうであるし、昔から男を恋に誘う街ではあるらしい。

ん~‥‥小説自体の出来はさほどでもないという気が私はする。別に読んでも読まなくてもよろし。
全体に綺麗な話。綺麗に恋が始まって、最後も綺麗に別れる。
「身分違いの恋物語」とかが好きな人にはいいかもね。
変にどろどろしていないし。
カールの孤独感は本当はもっと大きかろうと思うが、割と淡白。
ただ、「どうなるの。このまま石になっちゃうの?」と心配はさせる。
もちろん最後に救いあり。軽~く読むべし。

▼この本はこちら。

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