読書:『帰りたかった家』★青木玉
■書名:帰りたかった家
■著者名:青木玉
■出版社名:講談社(講談社文庫)
■発行年月:2000年02月
今度の本は、露伴と過ごした話ではなくて、主に実の父親に拘わる話がまとめられている。
『帰りたかった家』とは、父と母と自分とが幸せに暮らしていたころの家である。
内容は読んでいただくとして、これを読むと昔の生活の様子が実によくわかる。
うまく描かれているのだ。いいなぁ、こういうの、などと思わされることもしばしば。
そうした日常の描写の上に、切なさが屹立する。
しかし、やはり『小石川の家』には敵わない。
あちらは滅茶苦茶面白かったが、こちらは、上質なエッセイという感じだ。
読んで損はしないけれど、『小石川‥』のように次へ次へと貪るように読み進む本ではない。
そこらへんが優しくて凡庸な父と、質実・緻密にして洒脱な露伴との差でもあるのだろう。
文章に関して言えば前作よりもこなれていると思う。
読んで損はしない。でも先に『小石川‥』をたいらげることをオススメする。
▼この本はこちら。
帰りたかった家 (講談社文庫)
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