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2002年2月22日 (金)

舞台:「アンドロマック」★劇団四季

■演目:「アンドロマック」
■原作:ラシーヌ
■演出:浅利慶太

四季がラシーヌのアンドロマックをやるというから見に行ってきた。
実は昨年11月に読んだばかり。ここの日記でも触れたことがある(11/15)。
あっ!! オレステースのことをオイディプスとか書いてる!! バカだ~!!(泣)

さておき、結構楽しみにしていったのだが‥‥。
私にはつまらなかった。

特にショックだったのがオレスト役の芝さんの出来が悪かったこと。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダはあんなに良かったのに‥‥ストリートプレイに向かないってことだろうか?
あるいは今夜の公演が全体に見てとりわけ悪かったのかもしれないが‥‥。

ピリュスもオレストもなんかただのサラリーマンとゆーか、全然特異性がなかった(そーゆー演出なのか?)。
英雄らしさなんて光年単位で遠ざかってたし。
傲岸不遜、癇気、無邪気さ、そういったものは何も無い、普通の男。
特異性がないと何がいけないのか? 「悲劇」にならないんである。

それより何より問題なのは、言葉に力が無い。
こんなクライマックスの無い(殺害場面などドラマチックな場面は「見てきた」奴が語るだけ)、しかして台詞は喋り通しに喋らなければならないような台本で、言葉に力がなければどうなるというのか。
場が持たない。
オレスト(オレステース)のこれからの運命を暗示するようなもの狂おしさも、
生ける屍として嫁ぐアンドロマック(アンドロマケー)の不気味な神性も、
契約を汚しながら目前の幸福に盲目なピリュス(ネオプトレモス)の愛すべき愚かしさも、
稀代の美女ヘレネーを母に持つエルミオーヌ(ヘルミオネー)の残酷なプレッシャーも、
言葉が活きなければ観客には伝わらない。

なぜか脇役陣はそこそこ力があって、つい注目してしまったのだった(笑)。
また、エルミオーヌ役の坂本さんは、脚本の力もあっただろうが、中ではよく健闘していた。
アンドロマック、難しいんだよね。タイトルロールのくせに出番も台詞も少なくて。

しかしまぁ、発見はあった。ピリュスもオレストも神様を汚しているんだねー。
自分の運命を自分で呪ってしまったんだねー。かわいそー。
そう、やはり悲劇なのだから、最後は「かわいそう」で終わらなければ。
それがないのは、失敗だろう(ファンに殺されるかもしれん‥)。

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