コンサート:ヘンデル「メサイア」★バッハ・コレギウム・ジャパン
■曲目:ヘンデル「メサイア」
■奏者:バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)、スザンヌ=リディーン(ソプラノ)、波多野睦美(アルト)、ヤン=コボウ(テノール)、ステファン=マクラウド(バス)
■日時:2001年12月24日(月・振休)17:00~
■会場:サントリーホール・大ホール(山王溜池)
「メサイア」とは救世主、すなわちキリストのことである。
ヘンデルなので歌詞がすべて英語だった。当たり前といえば当たり前だが、最初にちょっと吃驚した。
音楽は崇高である。受難曲や他のオラトリオのようなドラマチックさはないが、ピュアで壮麗で、チャントのスケールを限りなく拡げたような、聖夜にふさわしい曲だった。
BCJの演奏は今回もノッていた。カンタータより性に合ってるんじゃないか、こういう大きめの曲のほうが?(定期演奏会ではバッハのカンタータを取り上げているのだが、日によって当たり外れが激しい)
ソリストたちも、「絶賛」とまではいかないが、よかった。皆さん、いい声ですね。惚れ惚れ。
波多野さんはきれいなアルトなんだが、声量がちょっと気になるにゃ~。
それにしてもソロもコーラスもみんな、何語だろうと流暢に歌うのには感心してしまう。英語はもとより、ドイツ語フランス語イタリア語ラテン語と、なんでもござれなんだろうなぁ。ギリシア語やヘブライ語も射程内に入るのかしら?
難を言えば、第3部のトランペットのオブリガートが悪かった。テンポが一人で速すぎるのだ。
楽器とあわせるだけの部分はまだ誤魔化して聴けたが、第48曲のバスのアリアとの共演はまるでいただけなかった。だって全然合ってないから。ああ~、バスのアリアが~、もったいない~(涙)。
もうちょっと回りの音を聴けって…。明らかに速すぎるよ。そりゃー古楽器だから吹くのが大変なのはわかるけどさ…。トランペットの音自体はよく出ているだけにもったいなかった。
第2部最後の第44曲、ハレルヤの荘厳な合唱・合奏はすばらしかった。体が震えそうなくらい。
この曲が始まると同時に、立ち上がったお客さんが何人か見られた。信者の方々だろう。
ハレルヤは「メサイア」中いちばん有名な曲だ(あなたも聴けば「ああ、これね!」と言うはず)。
よくこの部分だけ抜粋で演奏されるが、どちらかといえば単線的な演奏が多い。ここで聴いたそれは、とても重層構造的なハーモニーを体現していて、同じハレルヤとは思えないくらい美しかった。繰り返し繰り返し「王の中の王、主の中の主」と合唱が階調を上げていくのとともに、聴衆の高揚感も高まっていく。圧倒的だった。
圧倒的といえば、第3部最終曲(つまり全体の最終曲でもある)のアーメンの合唱も凄かった。こういうのを聴くと、どんな美しいソロも合唱には敵わないのではないかと思ってしまう。
そうそう、最後にアンコールのプレゼントがあった。BCJの合唱のみでドイツ語の「きよしこの夜」を歌ってくれたのだ。これも美しかった。
実に久しぶりに、実に画趣のある、そして心豊かになるようなクリスマス・イヴを過ごすことができた。幸いなるかな。
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