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2001年12月 5日 (水)

読書:『世界のはての泉』

■著者/訳者名:ウィリアム・モリス/著 川端康雄/訳 兼松誠一/訳
■出版社名:晶文社
■発行年月:2000年01月

「永遠の生命を得られるという神秘の泉をさがして旅に出た若き騎士ラルフの愛と冒険の物語。」

いや、確かにその通りでございますが。
モリスはインテリア=デザイナーおよび本の装禎家として有名だが、何本か小説も書いている。ほとんどがこうした中世冒険モノだ。
冒険モノといっても、彼の作品は「血湧き肉踊る」式のものではない。
基本となる「理想」があってそれを追いかけていくような、なんといったらいいか、美のイデアに貫かれているとでも言おうか。
戦闘も恋愛も死の別れもあるのに、静かで、平板で、ちょっと独特な作風である。

ま、この話は読んで「つまらなかった!」とは思わなかったので、中世騎士の美々しさに興味のある方はどうぞ。雄雄しさじゃなく美々しさね。
それから人生の試練と昇華。たぶんこれはモリスのどの作品にも共通するテーマなんだと思う。

上下二巻でハードカバーのため重い。でも内容は全然難しくないので、割と早く読めるはず。
ただし、全体に観念的なので、登場人物への感情移入はどうしても浅くなってしまう。そういうのが苦手なヒトにはオススメできない。

▼この本はこちら。
世界のはての泉 (上) (ウィリアム・モリス・コレクション)

世界のはての泉 (下) (ウィリアム・モリス・コレクション)

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