読書:『近代能楽集』
著者:三島由紀夫
発行:新潮社(新潮文庫)
発行年:1981年
能の演目を近代戯曲風にアレンジした短編集。すべて戯曲です。
単なる現代風アレンジということではなく、能楽の持つ自由度の高い時間空間の展開方法など、古典能の様式や主題を貪欲に取り入れようとしている、野心作といえるでしょう。
私は先日、蜷川の「近代能楽集」をさいたま芸術劇場へ見に行って、その会場でこの本を買ったのですが、舞台も原作もよかったです(ちなみに舞台ではとりわけ壌さんの小町が圧巻でした)。
舞台で取り上げたのは「卒塔婆小町(そとばこまち)」「弱法師(よろぼうし)」の二編だけでしたが、文庫には他に数編収録されています。「班女」「葵上」「邯鄲」など、どれも面白いです。
日本語はすべて美しいし(言葉の汚い小説家に爪の垢を煎じて飲ませたい…)、構成はどれもいやらしいし、さすがは三島。読ませます。
戯曲ということでとっつきにくいかもしれないけど、皆わかりやすく短いので、三島入門にもいいかもしれません。個人的には『仮面の告白』がイイと思いますが…。
それにしても古典の持つ普遍性ってスゴイ……。どの時代に置き換えても違和感がないのは、凄いことです。
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